財政難なのに移転!? 新市庁舎を建設する理由とは?
ココがキニナル!
横浜の市庁舎移転問題の状況は?建て替えには数百億円かかるのに、移転候補地は新しい津波の被害想定の浸水地域にあたるそうです。これまでの経緯を知りたいです。(maniaさんほかのキニナル)
はまれぽ調査結果!
根本的な建設見直しを求める反対・否定的意見が多い中、北仲通南地区に31階建て140メートルの高層ビルを新市庁舎として建設する案が検討されている。
ライター:吉田 忍
財政への影響は
神奈川県が「緊急財政対策案」を出したが、横浜市においても「将来の人口減少」「さらなる少子高齢化」などが予想されている。
さらに、2013年には横浜市土地開発公社が1500億円の負債を抱えて廃止され、横浜市は約1300億円の債券を発行し負債を肩代わりしなければならない厳しい財政だ。このような状況の中、新市庁舎を建てて大丈夫なのだろうか。
建設費用は603億円だが、市債を発行するので市債償還完了時(38年間)までの支出累計額は、利息などを含めるとおよそ1400億円となる。
しかし、横浜市は最終的にはコスト面でプラスだと試算している。簡単に説明すると、新市庁舎の余剰部分と現市庁舎を民間に貸して、その年間の賃料を19億円の収入と見込んでいるのだ。
さらに、現在、借りている毎年20億円の家賃分との合計がおよそ40億円となり、これを市債償還費用(年約37億円)にあてるので、一般財源を使わなくてもよいという計算だ。
現在、市が借りているビルの一部
現在、近辺の民間事務所需要は決して多い状況ではなく、空室も多いという。ましてや、今、市が借りている20ヶ所4300人分の民間ビルが空き室となる事を考えると、家賃の下落も考えられる。思惑通り家賃収入があるだろうか?
この部分については、現在の計算は12%の空室率での試算だそうだが、さらに精査した試算での最終案を作成するとのことだった。
候補地における地震・津波・液状化の影響は
ところで、北仲通南地区は、地震の最大震度7、津波による浸水1.2m未満と予想されており、液状化の危険度が高いとされている場所。
震度予測 (横浜市資料)
津波における浸水の可能性 (横浜市資料)
液状化危険度予測 (横浜市資料)
内陸部の方が良いのではないのかと聞いたところ、水道や電気などインフラ整備などを含めて考慮すると、この場所の方が内陸部よりも良いと判断しているとのこと。
周辺道路も緊急輸送路に位置付けられており、適しているとされる (横浜市資料)
現市庁舎はどうなるのか
現在の市庁舎は、大学などに賃貸する案、あるいは取り壊して土地ごと売却するなどが考えられるが、相手あっての話。
今決まっているものではない。また、関内地区については、大学誘致のほか、文化・芸術・スポーツなど新たな機能を導入し、関内・関外地区全体の活性化を図るとしているが、具体案はまだ出されていない。
魅力ある立地特性を生かしたグランドデザインを作成するという (横浜市資料)
取材を終えて
新市庁舎建設案は、一般予算を使わないという、あくまでも“案”であり、すぐに行うものではないとの説明だった。確かに来年度予算にも計上されていない。補正予算が組まれれば別だが、平成25年度中の実施はないと言える。
一般財源を使わない計画だが、家賃収入を見越しての試算というのは危険な臭いがする。思惑通りの家賃収入がなければ税金を使うことになる。
横浜市の財政における将来負担比率(将来負担しなければならない負債)は、2011年度の数字で213%(1333市町村中1310位)と非常に高く、将来世代の負担が大きい。
個人的には筆者は、新市庁舎を建設する必要はないのではと思う。
市庁舎はすでに耐震工事がなされているし、民間ビルに入っている部署が危険だというならば、安全なビルに移ればいい。
人口減少などに伴い職員が減れば、賃貸ならばビルを出るだけだ。テレビ会議も行われる現代、同じビルでなければならない不都合も少ないと思う。さらに、財政が悪化することも考えられる。その時には、執務スペースはさらに狭くなるが、賃貸を出て市庁舎に戻ればいい。
買ってしまった土地はジャックモールがそうであったように期限付きで貸せばよい。景気回復が本物になったとき、改めて計画すればいい。
最も多かった「根本的な見直し」という市民の意見を真摯に受け止めて、検討されることを期待したい。
現市庁舎。移転計画は進むのか
― 終わり ―
新市庁舎整備基本構想(案)
市民意見募集の実施結果について
提出されたご意見とご意見に対する本市の考え方
otearaiさん
2016年06月03日 21時53分
新庁舎の建設は認めるとしても市職員が働く建物として贅沢なものは認められない。私が払った市税を無駄づかいしているような建物ならば断固反対する。
老後を考えている老人さん
2016年04月01日 14時02分
市役所の建物に、それだけ多くの資金を投入して良いのでしょうか?超一流企業の本社ビルのような立派な本社ビルに、市のお役人方々は執務するのですか?横浜市の市民は、ものすごく、お金持ちなのでしょうか?待機児童はいないのでしょうか?老人は十分な施設で手厚くされているのでしょうか?もっと、他に、たとえ半分でも予算を廻してもらえれば市民は少しは幸せを感じるのではないでしょうか
yunitake2000さん
2016年03月31日 13時23分
新聞にも横浜市新市庁舎の移転計画が載っていました。総事業費は1400億円です。横浜市土地公社の負債と合わせれば300億円もの不動産負担です。横浜市の歳入は1兆4千億円もあるの金額は小さく見えるかもしれませんが横浜市の経常収支比率は決して威張れた数字ではありません。それでなくても横浜市税金は高いのです。オリンピックのようにアバウトに進めるのではな切り詰めて運営してほしいモノです。林市長の新市庁舎プランは二度目です。数年前関内地区の再開発の起爆剤として新市庁舎建設を打ち上げられました。でも反対意見が多かったので、港地区への移転に差し替えたようです。新市庁舎のテナントリスクも心配です。新市庁舎に移って出来た跡地などはどのようにするつもりでしょうか?ドーム球場ならいざ知らず横浜市民はカジノは嫌いです。何れしても跡地利用計画を含めて全容を説明してからの事業にしてほしいモノです。