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「旧日東倉庫」が年度内に解体へ! 所有者が工事着手! 行政や市民、専門家はどうみてる?

ココがキニナル!

所有者が解体工事に着手した日本大通の「旧日東倉庫」について、所有者や横浜市、市民はどう思っているの?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜市や市民団体が文化財指定へ向けた提案をしてきたが、所有者は解体に着手。市民団体からは落胆の声

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ライター:はまれぽ編集部

文化財指定や土地の等価交換などを提案



国や県、市による「旧日東倉庫」の文化財指定や登録は極めて厳しい状況だった。
というのも、文化財に登録・指定を行う際には所有者の意向が最優先されるが、所有者のケン・コーポレーションは取り壊しの意向を一貫して変更しなかった。

このような状況の中で、歴史的資産の保全活用に関する調査研究などを行う「公益財団法人 横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ、宮村忠会長)」が2014(平成26)年10月23日(木)、「旧日東倉庫」の保存を考えるシンポジウムを開いた。
 


100人以上が集まったシンポジウム

 
当日は横浜国立大学の吉田鋼市(こういち)名誉教授が「『誰もが満足する方法』というのがあるかは分からないが、議論をしていきたい」とあいさつ。

関東学院大学の水沼淑子(としこ)教授が「ケン・コーポレーションにもメリットがある提案をしなければいけないと思う。まずは(ケン・コーポレーションとの)話し合いの場を設けてほしい」と発言。

横浜国立大学大学院の大野敏教授からは「倉庫を指定文化財にすることで容積率を売却し、保存修復費用を捻出できないか」「どこかの市有地と倉庫の土地を等価交換するという方法は有効ではないか」といった意見もあった。
 


活発な議論が交わされたシンポジウム

 
最後に神奈川大学の西和夫名誉教授が「きょうの成果を一つに絞り込むのは難しいが、具体的な提案をいただいた。参考にしたい」と会を締めくくった。



解体工事に着手



所有者のケン・コーポレーションは11月5日(水)、解体工事に着手した。
 


工事名には「解体工事」と明記されている

 
工事期間は11月5日から2015年2月20日までとなっており、明治から大正、昭和、平成と4つの時代の横浜を見守ってきた歴史的建造物が年度内に解体されることが、ほぼ確実となった。

解体の理由について同社広報部は「横浜市や市民団体からさまざまな意見を頂戴したが、社としてあらゆる可能性を検討した結果」と話すにとどまった。
また、解体後の利活用については「現時点で申し上げられることはない」とした。



関係者や市民の声は



解体がほぼ決まった「旧日東倉庫」について、関係者はどう思っているのか。さまざまな声を拾った。
まずは、横浜市都市デザイン室の綱河功(つなかわ・いさお)室長は「保存活用に向けて話し合いを続けてきたが、非常に残念」と話した。

また、ヨコハマヘリテイジの米山淳一事務局長も「このまま取り壊しということになれば、横浜市は『景観を活用したまちづくり』を語る資格はない。専門家と協議して、工事差し止めなど法的措置も視野に活動を続けていく」と声を落とした。
 


保存に向けて募金活動もしてきたが・・・

 
市民の声はさまざまだ。休日に子どもと日本大通りを散歩していた20代女性は「ニュースなどで古い建物ということは知っているが、壊されたからと言って、特に・・・」という反応。

定年退職後は日本大通りを中心にスケッチをしているという70代男性は「本館と一体になると、日本大通りの街並みにとても合う建物だけに、なくなるとさみしい」と話してくれた。
 


完成から100年以上経過しているとは思えないほど街並みに溶け込んでいる

 


取材を終えて



資産として有効に活用したい所有者、保存したい市民それぞれ立場や考え、思いはあるだろう。
シンポジウムで吉田名誉教授が言った「誰もが満足できる方法」が一刻も早く見つかるように願いたい。
はまれぽでは、今後についても随時レポートしていく。


―終わり―
 

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  • 日本大通りは海岸通りとならぶ横浜の歴史であるし、県庁をはじめ官公庁街であるから、市民の気持ちとして横浜開港から今日に至る先人の歴史を受け継ぎたい渇望は当然。経済的観点から言えば日本大通りは横浜・神奈川の中心であるのみならず、ブルーライン、みなとみらい線、JR根岸線の3線に囲まれ、大桟橋前から羽田行きバス、ニューグランド前から成田行きバスが利用できるし、大動脈横浜駅から連綿と続く横浜都心の真っただ中にある。ここまでビジネス環境が整ったエリアにまとまった土地があることも希有であるから、いまの倉庫外観をうまく活かしたハイスペックのオフィスビルが建設できればいいと思います。横浜市の企業立地促進条例をうまく活用して多くの企業本社が入居すればさらにいいと思いますね。または究極の高級商業施設にして差別化を目指してもいい。すでに関内はベッドタウン化が激しいのでマンションは避けてほしいと思います。

  • 何度も書いているが、民間企業に何を期待しているんだ!公的機関は、じゃあいったい何をしているんだ!って話。私は鉄道ファンだが、日ごろ利用もしないで廃止だ廃線だと言って押しかけてバカ騒ぎする葬式鉄が大嫌いな廃線「跡」マニアです。本当にこの場所にこの建物がなければ横浜の街は成立しないのか?他人事で勝手にノスタルジー語るな!保存に金かけただけの投資対効果があるのか?3Dアーカイブで記録して、かつての街を偲ぶんでもまったく構わない。

  • ケン・コーポレーションのホームページを見ると、親玉の社長さんの御尊顔がデカデカと載っていますね…横浜の破壊者として記憶されると良いですね。我々にできることは、こちらのお問い合わせフォームからクレームを入れることぐらいでしょうか。 http://www.kencorp.co.jp/contact/

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