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川崎の町工場から生まれた昔懐かしい形の「電気」オート三輪自動車とは?

ココがキニナル!

三輪電気自動車が川崎市の町工場から生まれたらしいです。取材試みてください。(マッサンさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

環境に優しくコストパフォーマンスも良い電気三輪自動車を開発したベンチャー企業「株式会社日本エレクトライク」が自動車メーカーとして誕生した

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ライター:吉田 忍

電気三輪自動車の完成

「コストで考えると、ベンチャー企業が自動車を作るのはありえないんです」という。

まず、部品の自社開発はコスト面で不可能だ。そこで部品を調達して作ろうと考えた。ところが自動車は全ての部品をパーツ単位で購入できるが、部品で買うと完成車の4倍くらいの価格になってしまう。
 


コスト面で挫折しそうになったという


「パーツを購入して組み立てると、どうしてもコストが高くなるんです」
会社設立1年で挫折しそうになった時、インドのタタ・モーターズが世界一安い10万ルピー(およそ23万円)の「ナノ」という乗用車を発売したという話を耳にする。

「ナノが23万円なら、インドなどでタクシーとして使用されている三輪自動車オート・リクシャーは20万円以下で買えるはず」そう考えた社長は、オート・リクシャーを製造しているインドのバジャージ・オート社にコンタクトを取ろうと、インド大使館に掛け合うなどしてみるが、なかなか話が進まない。

ところが、ひょんなことから小中学校時代からの友人にバジャージ・オートを紹介してもらえることになる。そこからはトントン拍子に話が進み、2010(平成22)年に、バジャージ・オートと取引を開始。完成車を輸入し、エンジンを取り外して、電池とモーターに取り替え、シートや保安部品などを交換することで、かなりコストを抑えることができた。
 


これがインドなどで走っているオート・リクシャー(画像提供:日本エレクトライク)
 

エンジンなどを取り外して改造。手前は外したエンジン


これで、量産すればなんとかなりそうというコストの目安がついた。

次に解決しなければならなかったのは、オート三輪に多かった転倒の危険がある走行安定性だ。例えば、車は曲がるときに、遠心力が外側にかかる。三輪の場合、前輪が一つなので、さらに制動力がかかって外側に転倒しやすい。かつて、オート三輪が姿を消した理由には、この走行安定性の問題もあったからだ。
 


例えば左にハンドルを切ると、右前方よりブレーキが掛かると同じ状態になる
(画像提供:日本エレクトライク)


ここではラリードライバーとしての経験とそこで培った人脈が大きく役立った。

低重心設計にし、モーターを2つにして後輪を片輪ずつ制御するという方法で走行安定性の問題を解決。なめらかに、そして安全に曲がることができる三輪の車が完成した。このシステムは国際特許申請中だ。
 


電子制御で右後輪にトルク(タイヤを回す力)を掛け、左後輪のトルクを抜く
(画像提供:日本エレクトライク)


そして最大の難物だったのが、国土交通省での型式認定(かたしきにんてい)を得ること。

型式認定とは、クルマの制作者などが新型車の生産または販売を行う場合に、あらかじめ申請を行い、その後申請のあった車両型式のクルマについて、保安基準への適合性などが審査され、パスすれば認定されるもの。新規事業者が認定を受けるのは極めて困難だと言われている。

「書類を持っていくと、毎回1つずつ直すところを指摘される。それを繰り返していたら7ヶ月かかってしまいました。それでも早い方で、(過去に型式認定を受けた)光岡自動車は6年かかったらしいですよ」

タイヤのテストなども行わねばならないが、そんな設備もない。幸い、社長には昔から親しくしている自動車関係の知り合いがいたから、手伝ってもらったりしてなんとかクリアしたのだという。

「本来、ベンチャーでは無理でしょうね」と社長。
 


他社製をベースに作られた光岡自動車の自動車(フリー画像より)


こうして型式認定を受けた電気三輪自動車「エレクトライク」は、国からの補助金の対象車にもなり、実質100万円で購入可能になった。

エレクトライクは250ccバイクの側車付きというカテゴリーになるので、税金が安く、車庫証明不要、車検もいらない。これもランニングコストを下げることになる。
ちなみに運転免許は普通自動車免許が必要(自動二輪免許は不要)だが、シートベルトもヘルメットもいらない。高速道路には入れるが、最低速度制限のある高速道路では、エレクトライクは最高50kmほどしか出ないので違反になってしまうというのは、ちょっと面白い話。

それでは次に、エレクトライクのスペックを見ていこう。



エレクトロライクの詳細



松波社長の夢が形となったエレクトライク、まずは細部を見てみよう。
 


運転席はこんな感じ。いたってシンプルだ


ハンドルはオートバイそのまま。オートバイのようにグリップを回すと走り出す。ブレーキは車と同じペダル式。
 


スピードメーターや残電池容量は液晶で表示される
 

ハンドル中央のスイッチで前進、ニュートラル、バックを切り替える
 

低重心のため低い位置に設置されているモーター
 

リチウムイオン電池。充電は家庭用コンセントでも可能


試乗させていただいたのだが、アクセルを開けるとグイグイ引っ張られる感じで走る。荷物の積載量は150kgだが、目いっぱい積んでもパワーの問題はなさそうだ。

実際に運転してみると、ハンドルやアクセルがバイクと同じなので、カーブを曲がるときに、つい体を傾けてしまったり、止まるときに地面に足をつこうとしてしまい「あ、三輪自動車だった・・・」とひとりで恥ずかしくなる。
しかし、少し走っていると慣れて、カーブでの安定性も実感できた。

試乗で最も感じたのは「目立つ!」ということ。とにかく、周りの人からほぼ100パーセント好奇の目を向けられる。私が配達を要する商売をしていたら、すぐに注文しただろう。
店名を書いておけば、ものすごい宣伝になること間違いない。
 


このようなボックスを付けることも可能(画像提供:日本エレクトライク)


仕様は以下の通り。
 


 

上記の表にあるように、販売価格は130万円で国の補助金により100万円で購入できるそう。

今年度の販売目標は100台、来年度は200台。年間の生産は200台程度だが、最終的には月産500台を目指す。



アジアの空気をきれいにしたい



国土交通省の型式認定を受け、日本で16番目の正式な自動車メーカーとなったことや、見た目のユニークさでエレクトライクは話題となり、全国、そしてドイツなど海外からも多くの問い合わせが来ている。
そこで富山に工場を作ったが、それでも年間200台程度しか作れないので、まだまだ赤字が続くという。

「電気自動車は環境に優しい乗り物。普及したらその分だけ環境への負荷が減ります。次世代を担う子どもたちにより良い未来を残すためにも、電気自動車を手に入れやすくすることが急務なんです。そのためには最初の何年かは赤字でも構わないと思っています」

続けて、「僕の夢は、エレクトライクをグローバルに普及させて、アジアの空気をきれいにすること。そのためなら、エレクトライクの技術を逆にパジャージ社に提供するといったことも視野に入れています」と松波社長の夢は壮大でまだまだ続く。



取材を終えて



かつて公害の街と言われた川崎から、アジアの空気をきれいにしようという車が生まれた。実現に向けて頑張っているのは67歳にして現役で夢を追い続ける人。

いくつになっても困難に立ち向かっていくことの素晴らしさを知ることとなった。そして、松波社長の話からは、困難にぶつかる度に(記事では省略させていただいたが)助けてくれた友人たちの名前がでてきた。
「同級生、先輩、後輩、仕事仲間に恵まれました」と社長は言うが、その時々に強い信頼関係を築いてきたからこそ協力してくれたのだと思う。
より良い未来に向けて、エレクトライクは松波社長と仲間たちの夢を積んで前進を続ける。


―終わり―
 

取材協力
日本エレクトライク
HP/http://www.electrike.co.jp/

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  • 「高速道路には入れるが、最低速度制限のある高速道路では、エレクトライクは最高50kmほどしか出ないので違反」 パッと見高速道路に見える道路も「高速道路」と「自動車専用道路」や「高規格国道」の別があって、高速道路と言えるのは「(新)東名」「名神」だけだったりするわけだが、実際「高速道路」は無理だけど、「なんちゃって高速」ならOKなのか?なんかその辺の意味合いがよくわからない表現だな・・・

  • 労災病院の踏切で見たことがあります。音は静かで、加速もスムーズでした。あの辺りは道が狭いので、取り回しの良さは魅力だと思います。

  • コンパクトでクリーン、そして低コスト。需要はかなりありそうですよね。期待しています。

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