【横浜の名建築】優美で気品ある女王 横浜税関本関庁舎
ココがキニナル!
横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第9回は、海岸通りにある横浜税関本関庁舎。繊細で優しい印象の中に、威厳と美しさを備えた姿は、クイーンの称号にふさわしいものだった。
ライター:吉澤 由美子
創建時の姿をとどめる4室、そしてクイーンの塔内部
(続き)
控室の先には、税関長応接室。
銀の金属飾りが応接室にもある
こちらの床も、中心が絨毯でまわりがフローリング。
ただしこちらのフローリングは、色の違う木をモザイク状に配したもの。
木のモザイクはかなり珍しい
そして、目を惹くのが日本の国旗の隣にある『税関旗』。
日の丸に似ているが、斜め半分が濃い青になっている
この青は、昔は海を、最近では空港も税関の管轄となったため海と空の青を意味している。
税関長応接室から奥に進むと、税関長室。こちらの床も、モザイクだ。
GHQに横浜税関庁舎が総本部として接収された時、ここはマッカーサー元帥の執務室だった
隅に置いてある脇机は、マッカーサー元帥がいた時にもあったもの。
壁には歴代の税関長肖像写真。初代(右端)はなんと26歳。その貫録に驚く
もしかしたら、マッカーサーがこの脇机に腰かけて、コーンパイプをくゆらしながら部下の報告を聞いたのかもしれない。
そして最後に向かったのが、クイーンの塔。
中庭側は現代的な補修や改築が施されており、塔との対比が面白い
かなり細身の塔なので、内部は階段の回りに少しフロアがある程度の広さ。
繊細な窓金具と無機質な階段は不思議な組み合わせ(画像提供:横浜税関)
補強のため鉄板が貼られているので、小さな物音にもエコーがかかる。
クイーンの塔最頂部は8角形。ドーム部分は天井ボードに覆われている(画像提供:横浜税関)
取材を終えて
日本とは思えない風情があり、ファッション誌などの撮影にもよく使われている
見事に美しく保たれた床や装飾に、歴代の税関職員全員が敬意を持ってこの建物を扱っていたことが見て取れる。
クイーンの塔にまつわる『県庁より高く』というエピソードをはじめて聞いた時、なんだか子どもみたいでカワイイと思ったけれど、今回の取材でその印象はまったく違ったものになった。
『高さ』は、日本を代表する顔にふさわしくあれという気概であり、輸出入を通じて日本を守り、発展に寄与するという税関の矜持が込められたものではないかと。
「クイーンの広場」には、税関の前身だった『運上所』の門が展示されている
日本を代表する貿易の窓口は横浜であり、横浜税関であった。
だからこそ横浜税関庁舎は優美さと共に凛とした気高さを備え、『クイーン=女王』の称号を得たのだと思った。
※室内等は、特別な許可をいただいて撮影しています。
― 終わり―
横浜税関 公式サイト
http://www.customs.go.jp/yokohama/
横浜税関の歴史、横浜港&クイーンの塔の写真など見どころ満載
横浜税関 資料展示室「クイーンのひろば」
〒231-8401 神奈川県横浜市中区海岸通1-1
横浜税関 お問い合わせ
税関広報広聴室
045-212-6053
横浜税関庁舎内部は、年に2回程度、一般公開があります。
税関の創立記念日ともいえる11月28日前後の土日祝日や
開港記念日の6月2日前後に行われます。
三浦虎次郎さん
2013年05月27日 14時34分
長年見たいと思っていた塔の内部を初めて見ることが出来ました。素晴らしい!ありがとう!