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横浜のキニナル情報が見つかる! はまれぽ.com

いまや絶滅寸前の「横浜メダカ」ってどんなメダカ?

ココがキニナル!

横浜固有の「横浜メダカ」というものの存在を最近知りました。どういう特徴があるのんでしょうか。また保護・繁殖活動の実態はどうなっているのか興味があります。(まさしさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜メダカは、DNA鑑定で横浜固有のメダカと判定されたもの。外見は普通のメダカと区別がつかない。保護活動は横浜メダカの会が中心に行っている。

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ライター:大和田 敏子

「メダカの学校は川の中・・・」と童謡に歌われているように、かつてメダカは、日本人にとって身近な生き物だったはず。しかし、開発や護岸工事によって、メダカはしだいに住処を失い、1980年代からは減少が指摘されるようになり、今や絶滅が危惧される生き物になってしまった。

今回のキニナルは、そのメダカの中でも「横浜メダカ」。そんなメダカがいるんだ?! 一体、どんなメダカなのだろう?
調べてみると、「横浜メダカの会」という横浜メダカを保護する団体があることがわかった。
まずは、同会の会長で戸部小学校の有馬武裕(たけひろ)校長にお話をうかがうことに。
 




横浜メダカとは?
 


横浜メダカの会について話してくれた有馬校長


「横浜メダカの会」は横浜メダカの保存と啓発活動を目的とし、1996(平成8)年に発足。現在、50名程の会員がいるという。横浜メダカは、1999(平成11)年2月、環境庁が絶滅危惧Ⅱ類に指定している。

まずは、「横浜メダカには、どんな特徴があるんですか?」と素朴な疑問をぶつけてみる。
「見た目に特徴があるわけでなく、ごく普通のクロメダカなんです」と有馬校長。
 


横浜メダカ(写真提供:横浜メダカの会)
 

閉館した鶴見区の「環境エネルギー館ワンダーシップ」で見かけたクロメダカ


では、どこで「横浜メダカ」と判定するのか。

それは、遺伝子鑑定によるのだという。

古くから横浜にいた固有種と確認されているメダカは、柏尾川水系に生息する「矢部メダカ」、帷子川(かたびらがわ)の「大池メダカ」、名瀬川の「名瀬メダカ」の3種類。それぞれの川のメダカをDNA鑑定し、雑種でないと判明して、はじめて「横浜メダカ」と呼ぶそうだ。

横浜メダカの会では、最も流域の広い鶴見川水系のメダカがいると考え、活動しているが、現在のところ、確認できていないという。
市内の川や公園、池などにいるメダカはほとんど雑種で、横浜メダカはまずいないのだそうだ。
 


横浜メダカについての研究結果の資料をもとに説明していただく


現在、野毛山動物園では大池メダカが、金沢動物園で矢部メダカが飼育・展示されている。メダカの種類は、その場所にふさわしい水系のものを選び、展示しているのだそうだ。
ちなみに、神奈川県では、ほかに、藤沢メダカが江の島水族館で、三浦メダカが油壺水族館で展示されている。小田原メダカもいるそうだ。

また、市内の小中学校で横浜メダカを飼育することで、保存と同時に環境学習にも役立てており、この戸部小学校でも、2013(平成25)年の4年生の総合活動をきっかけに、横浜メダカを飼っている。
 


横浜メダカを飼育している水槽は2つ
 
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横浜メダカの水槽を前に、飼育についても説明してもらう
 

こちらのメダカは西区役所に展示中。展示の様子は後ほどご紹介!


委員会の子どもたちが中心になって、餌やりや水の管理などをしているという。絶滅危惧種といえど、メダカなので飼い方はそれほど難しくないそうだ。なにより気を付ける点は、他の種のメダカと一緒に飼わないこと。水温25℃くらい、メダカの数は水槽の大きさにあった数に抑えることも大事、水をあまり汚してもいけないが、適正にバクテリアやプランクトンなどが発生している状態が良いのだそう。

戸部小学校以外にも、青木小学校、東品濃小学校、横浜国立大学附属横浜小学校など、いくつもの小中学校で横浜メダカが飼育され、教育活動に役立てている。伊勢山小学校には大きな池があり、1000匹ほどが飼育されているそうだ。



動物たちのSOS展(於:西区役所区民ホール)で横浜メダカを展示!

6月2日~30日、西区役所区民ホールで行われた野毛山動物園企画展「動物たちのSOS展」で「横浜メダカ」が展示された。
 


希少動物の現状と環境について考える企画展だ!


同企画展では、絶滅危惧種について説明したパネル展示や「動物たちの忘れ物・・・?」と題して野毛山動物園の動物の羽や毛、卵などの展示が行われていた。その中で6月25日、26日の2日間限定で横浜メダカを展示。展示された横浜メダカは、先述した戸部小学校で飼育されているものだ。

戸部小学校2年生が見学に訪れた6月25日には、野毛山動物園の担当者による解説もされ、絶滅が危惧される動物について理解を深めていた。
 


絶滅危惧種についての説明を熱心に聞く子ども達
 

横浜メダカについても教えてもらう
 

横浜メダカについて説明したパネル
 


横浜メダカ展示の水槽
 

水槽を泳ぐ横浜メダカ
 

やはり見た目は普通のメダカ
 

熱心に横浜メダカを見る子ども達
 

しっかりメモをとる子もいる!
 

貴重な動物の毛や卵なども展示。クイズ形式で楽しむ!
 

これは先日亡くなったフタコブラクダ、ツガルさんの毛


20分ほどの見学だったが、子ども達は、横浜メダカを含めて、絶滅が危惧される動物に関心を持ったようだ。この後、別室に移動し、紙芝居などを通じて、さらに環境を守ることの大切さについても理解を深める学習が行われた。
 


紙芝居で子ども達に環境保全の大切さを伝える
 

元気に手を挙げ、意見を言う子も多かった


横浜メダカの会では、こうした企画展やイベント、学習などの機会に横浜メダカを展示したり、理解を深めてもらうための説明に出向いたりと、啓発活動にも力を入れている。