横浜市民がこよなく愛する歓楽街・野毛。そこに“上空注意”という謎の看板があるという。これはなにやら素朴な案件か？　依頼を受けたときはそんなふうにしか思わなかった。副編集長・山岸も「ちょっと前にそのあたりで工事をやっていたから、そのときに設置してそのまんま、とかじゃないかな？」と呑気なことを言っていた。
　

野毛、それは横浜市民の夜の憩いの場

ところが、である。取材を進めるうちに非常に重い事実が判明したのである。以下、呑気モードの野々村が次第に青ざめ、真剣な姿勢になるさまを読者にも疑似体験していただければ幸いである。



“上空注意”の看板はいずこ？

ある秋の午後、野々村は呑気に「中土木事務所」に電話をかけた。依頼者の写真の“上空注意”の看板には「中土木事務所」と記されていたからだ。お忙しい中、取材をOKしていただき、その数日後「じゃ、現地も見ておくか。ついでにどっかで一杯やっちゃうかな～」とハナウタ気分で野毛へ。
　

該当箇所は「叶家さん近くの小路」なので「仲通り」へ。

ところが・・・
　

仲通ですが・・・

ない。
　

電信柱はあるけれども・・・

ないのである。電信柱はあるが“上空注意”の看板がない。この小路ではないのか？　とウロウロするが、「ここで飲んでみたいな～♪」と思う飲み屋が次々に見つかるだけで、一向に“上空注意”の看板は見当たらない。

途方に暮れた野々村は、空腹を満たすため野毛仲通りの一軒へ。
　

呑み喰い道楽、石松さん
　

玉露割りとお通しのはまぐり！

真昼間に飲む酒と魚介料理。サイコーである。そのほかイワシのたたき、カキフライをオーダー。ここでご主人に聞き込みを開始。
　

気さくで親切なご主人・早乙女実さん

野々村：「あのー、このへんで、“上空注意”って看板をご存じないですか？」。
ご主人：「知らないねぇ。どのへんなんだい？」
野々村：「叶家さん近くの路地らしいんですけど」
ご主人：「っていったら、はんこ屋さんのところじゃないかなぁ」

・・・やっぱりさっき見た路地だよねぇ。というわけで、カキフライを揚げていただいている間に、再度、該当路地に実地検分。
　

それっぽい電柱
　

投稿にあった写真

この電柱、投稿にあった写真とよく似ている。しかし看板は見当たらないし、上空を見上げても確かに何もない。
　

秋晴れであった

そこで、撮影場所の側にあったはんこ屋さんにお聞きしてみたところ「あー、この電柱に貼ってありましたよ。以前、このへんの電線の高さを測りに来ている人がいたので、低い電線に注意するようにってことかなと思っていました」とのこと。

なるほど、電線ね。でも、低い電線があると何がそんなに危ないんだろう？　今一つピンと来ないまま、中土木事務所の取材日がやってきた。