2020年から渋滞緩和のため、鎌倉市に入る車が課金されるって本当?
ココがキニナル!
鎌倉市が渋滞緩和の対策として鎌倉市に入ってくる車に対して課金を検討しているそうです。調査お願いします(山下公園のカモメさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
鎌倉市では、道路混雑の緩和対策のひとつとしてロードプライシング(道路課金)を検討。導入時期は東京オリンピックの年、2020年を目標としている
ライター:藤井 涼子
道路を通る車に課金する?
特定の地域に進入、または通行する車から料金を徴収することを「ロードプライシング(Road Pricing)」という。道路混雑の激しい地域の自動車交通量を抑制し、交通渋滞や大気環境の改善を図ることを目的としている。
通行する車に課金?
ロードプライシングの方法は、大きく二つに分けられる。
一つ目は「料金調整型ロードプライシング」。
これは、現在、日本の都市部の高速道路で行われている。例えば、首都高速道路では、横羽線沿線の住宅地域の沿道環境を改善することを目的として、ETC対応大型車が湾岸線または川崎線を利用する際の料金割引が行われている。横羽線を利用した場合と、湾岸線を利用した場合の料金に差を設け、横羽線から湾岸線へ、交通の転換を促しているのだ。
ETC対応の大型車は、通る路線によって割引がある(首都高ドライバーズサイトより)
有料道路の料金を調整することによって、複数の路線間の交通量の需要調整を行ったり、時間帯交通量の需要調整を行ったりしている(日本では、主として沿道の環境を改善することを目的とするロードプライシングを「環境ロードプライシング」と呼んでいる)。
二つ目は特定区域の交通量の抑制を目的とした「課金型ロードプライシング」。特定の地域に進入または通行に課金するというもの。
この方法はシンガポール、ノルウェー・オスロ、イギリス・ロンドンが導入しているが、日本国内で実施した事例はない。
キニナル投稿にある「鎌倉市に入ってくる車に対して課金する」という方法は、外国でのみ実績がある「課金型ロードプライシング」ということになる。
課金型ロードプライシングの方法と特徴
「課金型ロードプライシング」とひと言でいっても、その料金課金方法はいくつかある。導入している諸外国でも、それぞれ違った課金方法を行っているようだ。
基本的なロードプライシング課金方法(鎌倉市ホームページより)
前述のように、シンガポールでは1975(昭和50)年から課金型ロードプライシングを実施。都心部の渋滞を解消するために、都心部への流入車両に課金を行い、交通量を管理している。
シンガポールのロードプライシングの特徴は以下の通り。
シンガポール料金徴収ゲート「ERP」
(国土交通省ホームページより。クリックして拡大)
シンガポールで採用している、課金方法のERPとは、あらかじめ金額をチャージしておいたICカードを車載器に挿入し、路側器を通過時に無線通信で料金を引き落す、という方法だ。車載器を設置していない車や残高不足の車は、ナンバープレートが記録され、後日罰金請求がくる仕組みになっている。
ERPの仕組み
ロンドンでは、2003(平成15)年2月から課金型ロードプライシングを導入。課金方法はシンガポールとは異なり「エリアプライシング」を採用している。
(クリックして拡大)
ロンドンにあるナンバー認識カメラ(左)と課金エリア入り口(国土交通省ホームページより)
ロードプライシングを導入した国々では、交通渋滞の緩和や、バス交通の改善・定時性の向上、という結果を得ているようだ。