2020年から渋滞緩和のため、鎌倉市に入る車が課金されるって本当?
ココがキニナル!
鎌倉市が渋滞緩和の対策として鎌倉市に入ってくる車に対して課金を検討しているそうです。調査お願いします(山下公園のカモメさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
鎌倉市では、道路混雑の緩和対策のひとつとしてロードプライシング(道路課金)を検討。導入時期は東京オリンピックの年、2020年を目標としている
ライター:藤井 涼子
歴史的都市だからこその悩み
鎌倉市では本当に課金型ロードプライシングの導入を検討しているのだろうか? もしそうなら、道路に課金するより先に、取るべき対策があるのではないか? など、キニナル疑問を聞きに、鎌倉市役所へ向かった。
鎌倉駅西口から徒歩約5分。緑が美しい鎌倉市役所
お話を伺ったのは、鎌倉市まちづくり景観部交通計画課・宮崎さんと新井さん。まずは、現在問題となっている道路状況について説明していただいた。
宮崎さん(右)と新井さん
道路混雑の問題を抱えているのは、鶴岡八幡宮から由比ヶ浜までの平地のエリア。
気候の良いゴールデンウイークなどの祝日には、渋滞が特にひどく、普段ならバスで約15分の距離(約3.85㎞)に120分もかかった! ということもあったそう。
(鎌倉市交通計画ニュースより)
このエリアは三方が山、一方が海に囲まれた地形になっている。実はこの地形、約800年前と大きく変わっていない。
中世鎌倉の都市構造の地図
現在の鎌倉地域道路網も、中世の形態(中心部の鶴岡八幡宮に集まる放射状の道路形態)を踏襲している。
今では、年間2000万人の観光客が訪れるという鎌倉市だが、なかなか道路整備が進まないという現状だそう。なぜなのだろうか。
多くの観光客が歩く歩道は狭く、すぐ横を車が通るため危ない場所もある
そこには、重要な文化財や、歴史的に価値がある神社仏閣が数多くある鎌倉市ならではの悩みがあった。
鎌倉の山稜部のほとんどは「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)」に基づく「歴史的風土特別保存地区」に指定されているため、現状地形の改変などが制限され、古来の地形が樹林とともに保全されているのだ。
さらに、社寺や切通などのすべての歴史的に価値がある文化財は「文化財保護法」に基づく史跡に指定され、保護されている。庭園や建造物も史跡・名勝・国宝・重要文化財などに指定されている。
渋滞が問題となっている平地の地域も文化財保護法で史跡に指定
(武家の古都鎌倉ホームページより)
このような理由から、交通渋滞するからといって、短絡的に道路や駐車場を整備するということが困難な状況となっているそうだ。
これまでの渋滞緩和対策とは?
これまでにも、鎌倉市ではさまざまな渋滞緩和のための対策を行ってきた。2001(平成13)年から実施しているという「パーク&ライド」、「鎌倉フリー環境手形」などがある。
パーク&ライドとは、車で鎌倉へ来た人のためのサービスで、指定している駐車場に車を停め、駐車料金を支払うと、江ノ電や指定路線のバスのフリーチケットがもらえる、というもので、車を少し離れたところに停めて、鎌倉の中心部には、公共の交通機関を利用してもらおう、という取り組みだ。
指定駐車場は、七里ヶ浜、由比ヶ浜、江の島、稲村ケ崎の4ヶ所あり、協賛寺社の拝観料割や協賛店の特別サービスなどの特典もある。
江の島のパーク&ライド駐車場の場所(鎌倉市ホームページより)
料金は駐車場の場所によって異なるが、例えば江の島のパーク&ライドを利用する場合は、駐車料金1500円(5時間を超えた場合の駐車料金は200円/30分)で、江ノ電フリーチケット(江ノ島駅~鎌倉駅の1日乗り降り自由)が2枚ついてくる。フリー切符の追加購入は、大人1枚400円・小人1枚200円ですることが可能なので、家族で鎌倉観光を楽しむことができる。
また、電車で鎌倉に来た人には「鎌倉フリー環境手形」というサービスがあり、5つの路線バスと電車の指定区間(江ノ電鎌倉駅~長谷駅)が1日乗り放題となっている。料金は大人570円・小人290円。こちらもパーク&ライドと同様、協賛寺社の拝観料割や協賛店の特別サービスなどのお得な特典が付いている。
鎌倉フリー環境手形のパンフレット
パーク&ライドの2014(平成26)年度の利用台数は、約1万8000台。サービス開始の2001(平成13)年度から右肩上がりで増加している。しかし「目に見えて交通渋滞が緩和した」とは言えない状況だそう。
2012(平成24)年に行った市民アンケートでは「鎌倉地域で生じている交通問題についてどのようにお考えですか?」との設問に対し「深刻であり、対策が必要(耐え難いほど深刻)と回答した人は、全体の約4割に達し「やや深刻であり、対策が必要」と回答した人も含めると、全体の約 8 割に達している。
8割の人が「対策が必要」と答えていた!
更なる渋滞緩和の策として、現在ロードプライシング導入に関する検討が行われているとのこと。
鎌倉でロードプライシングは実現可能?
「ロードプライシング導入には、たくさんの課題があり、導入時期など具体的なことはまだ決まっていない」と宮崎さん。市民や商工業者、公共団体、学識経験者、行政関係者など46名から成る検討委員会を設置し、現在ロードプライシング導入に向けての検討を重ねているそう。
現段階で話し合われている「鎌倉ロードプライシング」の内容は以下の通り。
(クリックして拡大)
課金イメージ(鎌倉市ホームページより)
課金ゲートは10ヶ所程度を設置予定。山に囲まれている地形のため、鎌倉地域に入ることができる道路が限られており、たくさんのゲートは必要ないという。
赤の線がゲートの場所。9ヶ所ある(第11回鎌倉市交通計画検討委員会専門部会資料より)
※クリックして拡大
課金収入の一部を商業・観光振興に充てたり、公共交通の充実や歩行環境の向上に使用したりすることを検討しているそう。
ただ単に自動車に課金するのではなく「自動車から公共交通への転換」が進む、パーク&ライドのような施策を同時に進めている。今回課金された人が、次回公共交通を利用する際に、運賃を割り引く仕組みも検討中とのこと。
鎌倉のロードプライシングイメージ(鎌倉市交通計画ニュース第二号より)
実施するためには、住んでいる市民の方の合意形成や、道路交通法などの法令の整備、実施に伴う費用、近隣市との調整などがあるため、簡単ではないと宮崎さんは話す。
また、来訪者が車を利用する理由として、高齢者や幼児が同乗する、手荷物が多い、立ち寄り先が多いなどがあり、その場合は車を使う必要性が高い。
そのため、鎌倉市では状況に応じて車や公共交通が選択できる仕組みを整えていきたいとのこと。
ロードプライシング導入時期については、国内外からの観光客がより一層増えるだろうと予測される東京オリンピックの年である、2020年をひとつの目標にしているとのことだった。
取材を終えて
今まで自由に行き来していた道路が課金されるとなると、少し抵抗を感じる、というのが筆者の始めの印象だった。「それなら行くのやめようかな」と考えてしまいそう、と思ったが、鎌倉市のアンケート結果によると、ロードプライシングを導入した方が、混雑緩和やバスの利用率が上がるなどから、来訪者数が増える、という試算結果が出たそうだ。
でもやっぱり、料金はあんまり高くないといいな、というのは個人的な願いですが。
―終わり―
ラヴァさん
2015年11月15日 06時01分
パーク&ライドは、通勤電車かと思うほど混雑する休日の江ノ電を考えると現実的ではない。混雑しすぎて駅に入れないのでは使い物にならない。かといって、課金するのは、その方法も含めて、一足飛びに導入するのは非常に難しい。課金するためには何らかの仕組みや組織が必要で、またしても天下り先が増えるだけ。簡単に解決するには、今は対面通行できる若宮大路を一方通行にして、海側からの通行だけに限定、海側に向かう車は、こちらも一方通行にする小町3丁目から海に向かう道を利用する事。問題は、材木座で134号に接続できないことだが、ここは道路を改善するだけで解決できる。
uyotiasさん
2015年06月17日 14時50分
勘違いされてる方もいるようだが国道134号はロードプライシングから外れているみたい。もし134号も課金したら横須賀方面や藤沢方面に行く人は納得行かないだろう。ロードプライシングは良いけど、そのお金でどんな渋滞対策が出来るのかが全く判らないのが難点。少しでも道路改善になるのなら良いけど、多分市税みたいに単なる役所収入になりそうで怖い。
GRVさん
2015年05月31日 18時39分
課金方法にETCって有るけど、カード抜いたら課金できないじゃん?非装着車も未だに多いし課金額はいくらぐらいなんだろうね?10円程度なら皆気にせず通るだろうけど!500円取られるらな回避するし、逗子市から藤沢市に行くのに環状4号回ったら交通マヒになるね