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湘南モノレールとドリームランド線はどこまで延伸する計画だった? 湘南モノレール編

ココがキニナル!

湘南モノレールは江の島本島までをつなぐ計画で、さらに大船駅から延長するはずだったらしい。真相を調査してください(狐猫さん)

はまれぽ調査結果!

湘南モノレールは鎌倉山や江の島本島に駅を作る計画などがあったが周辺住民の反対により実現しなかった

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ライター:小方 サダオ

大船駅と江の島を結ぶ湘南モノレール



湘南モノレールは大船駅と江の島の手前の湘南江の島駅まで開通している。

しかしもともとは湘南観光のハイライトといえる江の島本島まで延伸する予定だったとのことで、そうだったなら湘南モノレールの名にふさわしい終着点であっただろう。

なぜ予定したとおりに計画が進まなかったのだろうか。
そこで出発点の「大船駅」から「湘南江の島駅」までの軌道周辺を取材することにした。
 


大船駅(青矢印)から湘南江の島駅(青矢印、Googlemapより)

 
大船駅に着くと、車道の上を走るモノレールの姿が目を引く。
 


始発駅である湘南モノレール大船駅

 


大船駅と湘南江の島駅間を約13分で結んでいる

 
軌道を使用してはいるものの車道上を走っているため、空中を運行する三両編成のバスといった印象だ。
 


巨大な支柱で軌道が支えられている

 


車道上の街路樹すれすれに通る場所もある

 
モノレールの軌道に沿って歩きながら、沿線の人たちに延伸について伺ってみることにした。
 


車両が行き違う駅

 
大船駅から南西方面に下り、周辺住民に「延伸」について話を伺っても反応はなかった。しかし、大船駅から3つ目、ちょうど湘南モノレール(株)事業部がある「湘南深沢駅」あたりで、住民から「鎌倉山における駅舎建設反対運動」に関する話を聞いた。
 


鎌倉山があるあたり(紫矢印、Googlemapより

 


湘南深沢駅の近くには湘南モノレール事業部がある

 


湘南深沢駅を過ぎると山道になり、歩道が狭くなる
 


モノレールの変電所のあたりから軌道は道路上から外れる

 
大船方面から鎌倉山に向かって進むと、ちょうど「湘南モノレール・鎌倉変電所」があるあたりで、山道を上る道路上から軌道がそれて、本線が山の中のトンネルを通る形になっていた。
 


軌道(青矢印)は鎌倉山を通過する道(緑矢印)を外れる(Googlemapより

 

山頂に広がる住宅地

 
山道の頂上が鎌倉山で、鎌倉山と記されたポールが中央に立つロータリーがあり、周辺は閑静な住宅地であった。
 


ポールは関東大震災時に倒壊した鶴岡八幡宮の鳥居の柱を流用した物だという

 
ロータリーの近くに住む初老の男性に、前出の「反対運動」に関して伺うと
「モノレール整備時にこの道路上をモノレールが通り、ロータリー付近に駅が出来る計画がありました。しかし町内で反対したため、裏山にトンネルを作ってそこを通らせるコースに変わりました。

しかし後になって駅があると便利だと思う人が町内で増えてきて、反対していた人の中からも『作って欲しい』という意見が出てきました」とのこと。

この区間だけ駅がなくて不便だと思うが、なぜ住民は反対したのだろう。
 


鎌倉山からは江の島が望める

 
次に話を伺った上品な初老の女性Iさんから、その理由が聞けた。
「私たちは1959(昭和34)年からここに住んでいます。モノレールが造られる時に鎌倉山に駅が出来る計画を知らされたのですが、ここ一帯の人たちが反対をしました。当家でも私の姑が反対していましたが、理由は美観を損ねるからです」

「ここは大船撮影所(2000年に完全閉鎖)の近くの別荘地であり、女優の田中絹代さんなど有名人が多く住んでいたのです。反対意見が強かったのは、ここに多く住む著名人の発言力によるものだったからなのではないでしょうか」

「しかし今の住人は美観のことよりも、『このあたりは車がないと不便』との理由で駅の必要性を感じている人も少なくありません」という。
 


万葉集にも鎌倉山について記されているという

 
鎌倉山で会社を営む男性は湘南モノレールについて詳しく教えてくれた。
「駅舎建設反対の理由の一つは、ロータリー付近に駅が出来ると利用者から住宅が見下ろされるというものです。そこで代替案としてトンネルの中に駅を造る計画に変更しましたが、それも町内の反対でダメになりました。そのため湘南深沢駅と西鎌倉駅の間には駅がありません。

この道路は昭和40年くらいまでは、大船駅から江の島方面への日本初の自動車専用の有料道路でした。そのため道路上には『牛馬・人・通行禁止』の看板があり、数ヶ所に通行料徴収のためのゲートがありました。その後市道になりました」
 


車道沿いの住宅は乗客から見下ろされる印象を持ちやすいのかもしれない

 
「鎌倉山は大正時代に景勝地に出来た画期的な別荘地で、ソプラノ歌手の藤原よしえさんも住んでいました。昔の古き良き姿を知っている人がいたときは反対が多かったですが、今はよそからの人たちが住んでいるので無頓着で、駅の必要性を訴えている人も少なくないです」と答えてくれた。
 


鎌倉風致地区に指定されている

 
江の島を望める景勝地であることで、景観を壊されることを恐れて反対した住民が多かったようだ。
 
 
 

本来の終着点は江の島本島だった?


 
続いて鎌倉山から先に進むことにする。
 


鎌倉山の隣のトンネルを通る軌道
 

カーブを曲がるモノレール

 
鎌倉山から先は、山の上り下りがあり、湾曲する道路も多く、その上をモノレールが通っている。

終点の一つ手前の「目白山下駅」で、鎌倉山のように道路上をそれ、山を突っ切るトンネル区間が再び現れたが、近隣の男性によると片瀬山公園を作る予定だったためよけてトンネルにしたもので、「周辺住民の反対」などとは関係ないのだという。
 


片瀬山公園(緑枠)にとって道路上(青矢印)を軌道で走ると障害になるためトンネルにしたという(Googlemapより)
 

鎌倉山と合わせてトンネル区間は二ケ所ある
 

広域避難所になっている片瀬山公園

 
終点の湘南江の島駅に着き、海の方向に向かって歩く。
湘南江の島駅から江の島本島までは、約1.5kmほど距離がある。終点を本島まで伸ばしてくれれば江の島が目的地の乗客にとっては便利といえよう。
 


湘南江の島駅(青矢印)と江の島本島 (紫枠) の間にすばな通り商店街(緑矢印)がある(Googlemapより
 

湘南江の島駅
 

江ノ電の江ノ島駅
 

すばな通り商店街

 
すばな通り商店街の会社の男性に延伸について伺うと
「江ノ電の線路の上を通ることになるので、江ノ電が反対したと聞きました」とのこと。
 


湘南江の島駅(青枠)と江の島 (紫枠) の間の軌道は江ノ電の線路(緑矢印)をまたぐことになる(Googlemapより

 
続いて、レジャー関連のお店の店主に伺うと
「私の親の世代ですが、商店街の上をモノレールの軌道が通るのは嫌だといって反対していました」とのこと。

また外国人観光客でにぎわっていたお店の初老の女性は
「商店街の上ではなく、川の上を通る計画でしたが、商店街が反対したのです。駅を降りて徒歩で江の島に行ってくれないと商店街のお店に寄ってくれるお客が少なくなるからです」と答えてくれた。
 


軌道は道路上(緑線)ではなく川の上(青線)を通る予定であった(Googlemapより

 
商店街内を通って江の島に向かってもらいたいという思いから、商店街の人たちが反対したようだ。
 


乗客はすばな通り商店街を通って、約1.5km先の江の島に向かうことになる