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江戸時代の趣深く、今なお人が住む長屋門がなぜ白楽に?

ココがキニナル!

白楽駅近くに長屋門があり、人も住んでいるようです。この門を通らないと奥の住宅街にも行けないし、どんな経緯で存在しているのか調査してください(RIPさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

関東大震災で焼失したものを、地主が補修し、白楽の私有地に移築。一帯は地主の私有地で、現在は「長屋門」の奥に住む住民のために解放されている

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ライター:阿良川 遊

ナカムラさんに聞いてみる
 


白楽在住の編集松山氏。慣れた足取りで坂を登っていく
 

古い墓地やお寺なども点在していた



歩くこと数分、坂の上にそのお宅はあった。インターホンを押すと女性の声。この女性は、「ナカムラさん」の奥様の洋子さん。ナカムラゲンベエさんは洋子さんの義父という。「12年前に亡くなった主人が允蔵(まさぞう)っていって、その父親が中村源兵衛っていうの」とのこと。
そして「中村源兵衛」については、「代々世襲というか、ある年齢にくると襲名することが許されていたらしいんですよ。主人は16代目に当たるらしいんですけど、時代の流れか、襲名制が廃止になって。うちは源兵衛とは言わないんだけど。みんなこのへんではゲンベエさん、ゲンベエさんって」と、洋子さん。

長屋門について尋ねると、「(ご先祖は神奈川区栄町の)青木橋の辺りで、参勤交代のときに大名の家来が泊まる旅籠(=はたご、宿泊所)屋さんをやっていたみたいで、関東大震災で焼失したものを自宅があった白楽に持ってきたんですよ」とのこと。
門の周辺は私有地だったため、その奥に住む人以外が立ち入りできないように、住民が通るとき以外は閉ざしていたのだという。ただ、住民が増え始め、開けっ放しにしだした時期については「はっきりしない」とのこと。

この話を裏付ける資料として、洋子さんが家の中から長屋門に関する記載がある寄稿文を持ってきてくれた。1999(平成11)年5月15日発行『よこはま文化』(163号)に掲載された「長屋門・門扉は語る」(広川正夫氏寄稿)だ。寄稿した広川さんは中村允蔵さんの友人という。
 


保管されていた寄稿文


関連する記述を抜粋すると、
東急東横線・白楽駅下車。丘の麓を辿る途を東白楽駅方向へ。ホーム外れの踏切を右に見て左に曲がると、左に上がる坂があります。白楽一〇〇番地・丘一帯を占める五十数戸が建つ中村家の所有地への入口です。上りつめると中村邸があります。

住民の皆さんから聞いてきた話と一致している。
 


白楽100番地周辺(Googleマップより)


中村家は代々「源兵衛」を名乗る神奈川宿の村役人で、当主允蔵氏によると「先代」は一八九五年に神奈川通一丁目生まれで、その地で長屋門は関東大震災で焼失、焼け残った厚い門扉を使って現在の門は復元されたということです。
 


長屋門移築までのイメージ(図:阿良川 遊)


関東大震災は1923(大正13)年の発生で、その2年後には元号が昭和に変わっている。たしかに、長屋門の住人の熊本さんも「昭和のハナに」「どこかからか、持ってきたらしい」と言っていた。

『神奈川区誌』掲載「神奈川宿旅籠・茶屋軒並図」(一八五五)を見ると、「青木町から滝の橋を渡った左側に(中略)「大旅籠源兵衛」「本陣石井源左門」と街道沿いに続いています」(後略)とある。

この資料や住民の話から、長屋門は数代前の白楽の地主・中村源兵衛さんが営んでいた「青木橋のたもとの旅籠」が関東大震災で焼失し、焼け残った部分を自宅で復元・保管しようと移築したものであること、そして現在の場所でもしばらくは住人らが出入りする際に開閉され、中村さんの私有地への入口として利用されていたことが分かった。
 


中村家はこの高台から代々、地域を見守ってきたのだろう



取材を終えて



この取材のなかで地域の人にいろいろな話を聞いた。急な訪問ながら、皆さん気持ちよく取材に応じてくれ、知っている限りの情報を提供してくれた。

広大な土地を所有した中村源兵衛さんは代々皆きっと、住民たちを大切にしたのだろう。源兵衛さん、そして息子の允蔵さん亡き後も、住民たちが彼らを慕っていることも、今回の取材では大いに見てとれた。
長屋門へは地元の幼稚園児が見学に来たり、中学生が校外学習に来たりということもよくあるらしい。地域のふれ合いの場、子どもたちの成長の場としても一役買っているこの門が、今後もこの白楽の地で歴史を重ねていくことを祈ろう。

関東大震災で一部焼失・復元という形をとりながら、江戸・明治・大正・昭和・平成と時代の流れを見つめ続けた長屋門。戦争や天災という幾多の困難を乗り越え、今日も静かに地域を見守るこの門と、それを支え続ける住民の皆さんに、敬意を表したい。


―終わり―


 

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  • 近所なのに知らなかった! 勉強になります。

  • 貴重なレポートだと思います。横浜市は奥行きが深いですね。

  • 面白かった。疑問も解けたけれど、ついでにすぐ横の吉祥寺が廃墟化した事情や、今は静岡銀行の元「白鳥座」もキニナルに投稿されていたからも詳しく知りたかった。道路の反対側の古いお屋敷の事も知りたかったけれど個人宅だから無理でしょうね。

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