Oh!クールジャパン!関内にある「光る茶室」で、ライター井上がお茶の世界を体感!
ココがキニナル!
関内に存在するという「光る茶室」が気になる。(だいさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
光る茶室はマンションの一室にあり、「茶道の異端児」が創意工夫を凝らして生み出した、唯一無二の空間だった。
ライター:井上 こん
陰陽思想をLEDで表現する異端児ぶり
庵主(あんじゅ)松村氏の興味深い経歴やSHUHALLYの活動などもご紹介したいところだが、それは後ほど。だって気になりますよね、「光る茶室」。はやる気持ちそのままに、さぁどうぞ。露地を抜け、高さ・幅ともに65cm前後の小さな出入り口、躙口(にじりぐち)から体をかがめて茶室へ入室。そこには、我が人生未曾有の光景が。
「失礼いたします」とライター干場
約400年前の茶室と同じ寸法だという4畳半の空間では
畳からの発光だけでなく埋込み照明も一役買っている
茶室が光る----。
これは同庵最大の特徴であり、一般人も興味を惹かれるところ。その答えを知るにはまず、私たちが普段一言で括りがちな「茶会」の構成について説明する必要がある。
本来茶会というと、茶と和菓子をいただく画を思い浮かべるだろう。
しかし正式には初座・後座の2部構成になっており、初座では懐石を食し、後座では茶を喫する。利休に関する書『南方録』からも「初終の仕廻(しまい)二時に過べからず」=初めから終わりまでふたとき(4時間)が限度、と記されるように、茶会それ自体は意外と長い(現代では初座は省略されることも多い)。
そして、中国の陰陽思想に基づき、古来より初座では光を遮った「陰」の空間を、後座では光を取り入れた「陽」の空間を表現するのが茶事の習わしであった。同氏はこれを光畳によって現代風に表現。
茶の湯の作法を教わる
「お点前頂戴します」
泡までスッと飲みきるのがマナー
そして両手をつき茶碗を拝見
道具に現代アート作品を取り入れることもある
茶室は茶室に留まらず
「守(る)・破(る)・離(れる)」、だからSHUHALLY。「茶の湯をもっと自由に、楽しく」をコンセプトに、揺るぎない伝統を守りながら新たな形を提案する。
だから、こちらの茶室は茶席としての利用に留まらず。例えば、ワインや日本酒を楽しむ場としても提供しているとのこと。5人ほどで行われる茶席に対し、こういったカジュアルな会では10人以上がそれこそ足を崩して語らうのだという。
「茶の湯をもっと自由に、楽しく」というコンセプトが伝わってくる
「茶」のように、歴史に裏打ちされた文化に新たな柔軟性を与えることは対外的にも容易なことではない。しかし松村氏は「『茶禅一味』という言葉があります。お茶を飲む、という日常の行為がルーティン化する中で本質が見えてくる。堅苦しさにとらわれては楽しさを見出せずに終わってしまいます」と語る。
気になる庵主の今昔物語
生粋のはまっこである松村氏。伝統文化を啓蒙する傍ら、ヒップホップ好きという意外な面も見せる。
大学では哲学を専攻し、特にフランス哲学に傾倒した。もちろんこの時はまだ、茶道経験など皆無。1998(平成10)年に大学を休学し1年間をヨーロッパで過ごしたことが、SHUHALLY立ち上げの大きなきっかけとなる。日本人でありながら、いざ日本文化と向き合ったとき知識不足を感じたのだという。
「どうぞ足を崩してくださいね」
帰国後、経営専攻で大学院を修了し家業の不動産を営みながら、書道・華道・茶道を学ぶ。元来、美術や人とのコミュニケーションに興味があった同氏はその後、茶道に傾倒し4年前に裏千家の講師資格を取得。生まれの地でもある関内でスクールを開講。
「母も、祖母も」という女性の師範代が多い中、彗星の如く現れた同氏はいわゆる中途入社のようなもの。それ以前の経歴含め、その存在は異色そのもの。
今年は2名の女性講師も加わり、現在では20代30代を中心に約80名(男女比2:8)の生徒が通う。
佐藤宗春(そうしゅん)先生
4年前から通う生徒の葛西さん
現在も、師匠と仰ぐ人物の茶道教室に月1回通う松村氏だが、茶道は「教えるということは自分にとっても大きな学びになる」のだそう。