早朝の多摩川河川敷で大量の走る馬を発見!? ライター・松宮が騎手と調教師、そして競走馬に密着レポート!
ココがキニナル!
川崎の多摩川河川敷で馬が走っているのが気になります。川崎競馬場の練習場らしいですが、「香しい臭い」でじっくり見たことがないのです。競走馬の練習ってどんなもの?是非密着レポを(タロー先生さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「川崎競馬場」の練習場がある多摩川河川敷では午前2時半から9時ごろまで練習が行われ、見学可能。練習内容は速足や駆け足など、時期により異なる!
ライター:松宮 史佳
多摩川河川敷で馬と遭遇!? 「川崎競馬場」練習場
「川崎競馬場」について岩本さんに伺う。「川崎競馬場」は地方競馬の競馬場。地方競馬とは“県や地方自治体などが行う競馬のこと(地方競馬サイトより)”。地方競馬は日本中央競馬協会(JRA)が開催する中央競馬とは対をなす位置づけで地方自治体の収入源になっている。「川崎競馬場」は神奈川県と川崎市が構成する一部事務組合「神奈川県川崎競馬組合が主催している」と岩本さん。
「川崎競馬場」の前身となる公営競馬場は戸塚区汲沢にあった「戸塚競馬場」。岩本さんのお父さんは「戸塚競馬場」時代から活躍されていたそう。「川崎競馬場」は1949(昭和24)年に竣工。河川敷にある練習場も「同時期に作られたと思う」と岩本さん。翌年の1950(昭和25)年よりレースが開催された。
巨大な川崎ドリームビジョンを配する「川崎競馬場」
現在、「川崎競馬場」の所属選手は佐藤さんを含めて17名。騎手の年齢は「19歳から58歳くらいまで」と幅広い。調教師は35名で女性が1名いる。補佐は6名。競走馬の管理などを行う厩務員(きゅうむいん)は170人が所属している。騎手を引退して調教師になる人が多く、岩本さんもその1人。通常、競馬場に厩舎(馬小屋がある場所)や練習場が設置されている。だが、より広い場所を確保するため幸区小向仲野町に厩舎があるとのこと。
「川崎競馬場」の練習場と厩舎は幸区小向仲野町の住宅街にあるのだ!
「河川敷に練習場があることはめずらしい(by岩本さん)」
練習が行われる午前2時半から9時ごろまでなら「誰でも見学が可能」。「練習の見学はウエルカムですよ!」と佐藤さん。
馬は敏感なのでフラッシュ撮影は禁止。大声は出さず、「静かに馬を見守りたい」。新年には、初日の出を見に来た人が「ずらりと並んでいることもある(笑)」そう。“馬との距離が近い”のが「川崎競馬場練習場」の魅力だろう。
“マンション&馬”というなんとも言えない「シュールな光景」
以前、通勤通学のために「電車で多摩川を毎日通過していた」松宮。住宅街の多摩川付近で馬に出会えるとは! 超オドロキ!!!
佐藤さんによると、やはり松宮のように「多摩川で馬に遭遇して超びっくり!」という人は多いらしい。土日にはカップルや家族連れで見学しに来る人も多いそう。
迫力ある練習を間近で眺めることができるのは「川崎競馬場」の練習場ならでは!
以前、取材で乗馬に挑戦して以来、松宮は馬の流線型ボディのとりこに
美しい馬の肢体に思わずじーっと見入ってしまう。
興味深い! 騎手の“職業病”とは!?
ところでナゼ練習時間は早いのか? 岩本さんによると、「レース前に調教を終えるため」らしい。また、夏などは暑いので馬がバテてしまう。そのため、「涼しい時間帯に調整している」そうだ。
練習を開始する時間は人による。だが、練習は「午前2時半から9時まで」と騎手(&馬)の朝は早い。佐藤さんに「何時に寝るのか」と伺うと、「午後9時には眠る」との答え。
練習時間が早いので「寝るのも早い(by佐藤さん)」
馬も人間と同じく、性格もさまざま。「(馬に対しては)基本ガマンです」と岩本さん。練習内容は馬により異なるとのこと。だが、基本的には速足や駆け足などを行い「調整時間は30分ほど」で「1200メートルの練習場を3~4周走る」そう。
・・・見ていると、体やたて髪やしっぽの色まで「馬にも個性がある」のがよくわかる!
騎手という特殊な職業柄、きっとめずらしい職業病があるハズ! そこで佐藤さんに「職業病は?」と尋ねる松宮。すると、車で信号待ちをしている際、「誰よりもスタートダッシュしてしまう」と答えてくれる。「もちろん、信号は守りますけどね」と笑う佐藤さん。
馬もちゃんと「信号は守る!」
アツくなってしまうのは“勝負の世界に生きる”騎手ならではかもしれない。ほかには「棒を拾い、ムチ代わりに地面を思わず打ってしまう」という職業病もあるとか!
練習場前の横断歩道には警備員の方が何人も配置され、厳重に警戒している。だが、生き物である馬を扱うのは予期せぬことも多いだろう。今まで「馬が脱走してしまったことは?」と尋ねると・・「何回かありますね」と岩本さん。馬が走る最高速度はおよそ60キロ。捕まえるのは大変そう。だが、「一般の方が(逃げた馬を)捕まえてくれたこともある」らしい。
練習を終え、帰って行く馬の後ろ姿に「おつかれさま!」
“開業直前”調教師の新星にインタビュー!
続いて岩本さんが「ちょうどデビューする調教師がいるから!」と若い男性を紹介してくれる。男性は山崎裕也(ゆうや)さん。調教師の祖父・父と続き「三代目」。弟の誠士さんは騎手という、競馬一家なのだ!
さわやかな裕也さんには自然が似合う
出身地の「川崎が大好き!」という裕也さん。祖父から続く“競馬業界三代目”だが、都会なのに泥にまみれる「調教師の仕事がイヤだった」そう。騎手にならなかったのは「目が悪かったから」と答えてくれる。
高校卒業後、厩務員へ。だが、バーでバイトをするなど「厩務員が副業みたいだった」とのこと。しかし、馬に触れるうち仕事に夢中になった。調教師になるきっかけはもともとあったが、「入口はどこにあるかわからないですよね」と裕也さんは答えてくれる。以後、調教師補佐を経て調教師へ。調教師になるには 「免許が必要」。免許は“オーナーから馬を預かってよい”という資格らしい。
“調教師”という未知なる職業について興味津々でインタビュー!
調教師になるのはかなり難しく、「通常8年以上修業し、試験を受ける(by岩本さん)」しかし、裕也さんは32歳の若さで今年6月に調教師試験に合格。 2014(平成26)年9月現在、“全国最年少”で調教師に。10月13日に初レースを向かえるという、まさに「調教師の新星」なのだ!
最後に “厩舎”へ案内していただくことに!