大さん橋で開催された「世界初」、職人たちが本気のコマで世界一を目指す「世界コマ大戦」ってどういう大会?
ココがキニナル!
大さん橋で開催される「全日本製造業コマ大戦2015世界大会」のレポートをお願いします。(enさん、神絆会さん、たこさん)
はまれぽ調査結果!
「全日本製造業世界コマ大戦2015」は、国内外の職人たちによる29チームが本気の技術で競い合う、熱い大会だった!
ライター:すがた もえ子
そしてむかえた世界コマ大戦当日!
2015(平成27)年2月15日(日)
横浜港大さん橋国際客船ターミナル大さん橋ホールで「全日本製造業世界コマ大戦2015」が開催された。5回目となるコマ大戦本選は、初めての海外企業も参加した世界大会。
もちろん、はまれぽ編集部も五光発條さんの応援で駆けつけた。
会場となる大さん橋ホール
会場内には出場する企業のブースが並んでいる
その奥に、戦いの舞台が!
今回世界大戦が開催されるコマ大戦とは、全国の中小製造業が自社の技術を結集し、誇りを賭けて作成したコマを持ち寄って、一対一で戦う大会(対戦のほかにコマの回っている時間を競う単独回転時間部門もある)。
直径20mm以下、全長60mm以下であれば、材質・重さ・形などは一切問わないというのがコマの条件。参加企業はその制約のもと、ルールに抵触しないギリギリの部分で自社の技術を集結させ、それぞれのコマに個性を持たせてくるので、あっと驚くようなギミックが仕込まれていたりと、毎回必ずドラマが繰り広げられるのだという。
過去にはこんな・・・
開くコマも
ルールもわかりやすい。
相手よりも長く回り続けるか、相手のコマを土俵の外に出したら勝ち。先に2勝した方が次の試合に進める。勝者は敗者のコマをそれまでの戦利品を含み総取りするというトーナメント方式。つまり優勝者がすべてのコマを手に入れることができるというわけだ。
本戦に向けた予選大会は、2014(平成26)年1月から11月までの11ヶ月をかけて世界各地で行われた。約400に及ぶ参加チームから、本戦に駒を進められたのは29チーム。
国外からはボリビア、ベトナム、インドネシア、韓国、タイ、アメリカの6ヶ国11チームが参加した。
熱気ふれる会場で五光発條チームのお二人を発見!
五光発條チーム岩佐さん(左)と斉藤さん
大会直前の意気込みをインタビューさせていただいた。
「今日この日を迎えました、世界コマ大戦。今回出場される方々は最強の方々ばかりなので、焦らないで、とにかくフルで力を出し切って、がんばっていこうと思います」と岩佐さん。
頑張ってください!
そして世界大会が幕を開ける
勝負は行司さんが取り仕切る
台の中央に土俵が乗っている
「はっけよい、のこった」の掛け声で第一戦が始まる
一回戦、第一試合は近畿ブロック1位の大阪府「ジャイロ・ツェペリ」対最終予選1位通過した山口県「(有)増田工作所」のカードだ。
ぶつかる2つのコマ
3回勝負で、試合はめまぐるしいスピードで進んでいく。
海外勢も高校生チームも本気でぶつかる
バランスを取りながら自転する独特の構造をした愛知県「審議隊トミーとマツ(有)カジミツ」のコマが物議を醸し、行事が説明に入るという一幕も。
ほかチームから物言いが入るコマ(右側)出現!
「受け付け時に、このコマが現在のルールにちゃんと沿うものかということを審判団で判断しています」とのこと。難しい構造になっているが、ルール的にはオッケーなんだそう。重量が軽いコマの衝撃ではこのモンスターのようなコマは倒せない。手ごわいコマの登場に客席も騒然となった。
そして我らが五光発條チームは13試合目の出場だ。
舞台に上がり、自分たちのコマを受け取る
ちなみに、五光発條チームがかぶっているのは自社のバネで作られた帽子。触っても痛くなくてグニグニと感触が気持ちいい製品だ。
一戦目の対戦相手は中日本4位通過の長野県「チーム日成機工」
岩佐さんと、見守るチーム五光発條
回すのは「神の手」岩佐さん。
8000rpmを見せつけてください! がんばれ!!!
2日前まで完成していなかった五光発條さんのコマもその姿を現す(右)
相手を弾き飛ばす突起、衝撃を吸収する秘密の液体も塗っている。
ぐらつく五光発條のコマ・・・!
しかし相手のコマはぶつかって戦うのではなく、当てられない作戦の持久戦へと持ち込んできた。チーム日成機工さんの作戦勝ちか?
いや、まだチャンスはある!
あああああああ!!!!!
負けてしまった・・・最後は握手で
五光発條、惜しくも一回戦で敗退・・・。
相手によって作戦を変えられるコマというのがすごい。これはルール上でも問題が無いのだという。
敗者の弁を述べつ岩佐さん
「全然触らないで終わっちゃいましたので、敗者復活戦で引き続き頑張っていきたいと思います」とコメントする岩佐さん。
そうだ、まだ敗者復活戦が残っている!
敗者復活戦へ望みをかけて
敗者復活戦で復活できるのは1チームのみ。
しかも今回は世界大会だけあって、敗者復活戦のカードも通常のコマ大戦で決勝を争うようなチームばかり。
敗者復活戦は泣いても笑っても一発勝負だ。
五光発條が敗者復活戦第一試合で対戦するのは、新潟県の「中村ターンテック」
五光発條、勝利!
続いて敗者復活戦第二試合へ。
対戦相手はベトナムホーチミン「カイタック」だ
あああああっ!(左上の画面にご注目)
残念ながら一回戦で敗退してしまった五光発條。
今回の試合についてお話を伺ってみた。
五光発條さんへ取材にお伺いした2日前の時点から変わったのは、コマの重量を若干増やしたことと、ぶつかった時に攻撃性をあげるための仕組みをいろいろと変えたことだという。
「初回のときは相手に触れることができなかった。当てるつもりで作っているコマなんで、それが当たらないんだから話にならない。相手との相性が悪かったかな。敗者復活戦については、投げた時のスピードがちょっと悪かったかもしれない。回転力がそれで落ちちゃったかもしれない」と、かなり悔しそうだ。
時間と心身をつぎ込んだコマが、負ければ相手に取られてしまうのだから当然だろう。
舞台から立ち去る五光発條チーム
「今年もまたいろいろな所でコマ大戦がたくさんあると思うので、また大会に出て横浜市の会社としてアピールしていきたいと思います」とリベンジを誓った。
悔しい結果に終わったが、五光発條さんの目にはもう次の大会が視野に入っている。
ぜひ今後の活躍にも注目したい。
そしていよいよ決勝戦へ!
決勝戦にコマを進めたのは、インドネシアジャカルタ2位、「サントソ・テクニンド・インドネシア」と中日本ブロック1位、愛知県「審議隊トミーとマツ(株)カジミツ」の2チーム。決勝戦は2連勝したほうが勝ちとなる。
会場に緊張が走る
「審議隊トミーとマツ(株)カジミツ」のコマは、物議を醸しているあのコマ(右)だ!
対する「サントソ・テクニンド・インドネシア」はオーソドックスでシンプルなコマ
気のせいか会場はサントソ・テクニンド・インドネシアを応援しているような雰囲気。やはり「審議隊トミーとマツ(株)カジミツ」のコマが「コマなのか」という物言いのためだろう。
「サントソ・テクニンド・インドネシア」のコマが「審議隊トミーとマツ(株)カジミツ」のコマを弾き倒すと、会場は大きな歓声に包まれた。
しかし、最終的には「審議隊トミーとマツ(株)カジミツ」が2連勝を収めて優勝。
おめでとうございます
「なんとか有言実行をすることができました」
コマはこういう形だという概念が無いと語る「審議隊トミーとマツ(株)カジミツ」のマツさん。
モノづくりをするにあたって、概念にとらわれずに新しい物を作っていくという日本の製造業の持ち味を現したかったという。
無敵のように思われる「審議隊トミーとマツ(株)カジミツ」のコマも、対戦相手が羽を広げて相手を倒すようなギミックを盛り込んだタイプのコマだったとしたら、勝負の行方は変わっていたかもしれない。
今回入賞したみなさん
五光発條さんが言っていた通り、どのコマが正解というのはたしかに無いのだなと感じた。
大戦する相手の相性や、土俵の傷の状況など、さまざまな要因が絡まって、大きなドラマを作り出していくのだ。
「全国3000万人のコマファンの皆さん! ごきげんよう、さようなら!!」
司会の方の熱い言葉で「全日本製造業世界コマ大戦2015」は幕を降ろした。
取材を終えて
正直、取材前はベーゴマのようなものを想像していた筆者だったが、コマに対する各企業さんの熱い思いと注ぎ込まれる技術力の高さに、後半は素直に夢中になっていた。
本当に面白い大会だった。
今回参加した全てのコマたち
初めての世界大会となった「全日本製造業世界コマ大戦2015」。
いくつかの全国大会などをはさんだ後、数年後くらいにまた次の世界大戦が開催されるかもしれないらしいが、具体的な日程や場所なども今のところ未定のようだ。
ぜひまたコマ大戦発祥の地である横浜で開催してほしいものだが、そのあたりも含めてこれからだという。
全てのチームからひしひしと伝わってくる「優勝したい」という熱い思い。
その思いが形になって、次の大会ではまた観客をあっと驚かせるようなコマが現れるのかもしれない。概念を覆すコマ、ぜひ見てみたいものだ。
―終わり―
全日本製造業世界コマ大戦 公式HP http://www.komataisen.com/
五光発條(株) http://www.goko-spring.co.jp/
メイちゃんさん
2015年02月18日 12時37分
中区民ですが、この大会はノーマークでした。はまれぽらしい面白い記事だったと思います。それにしても最近コメントする人が少ないような(自分も滅多にコメントしないので自戒を込めて)?