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横浜のキニナル情報が見つかる! はまれぽ.com

横浜で路上観察、ハマソン vol.1

ココがキニナル!

横浜を歩くとまだそこかしこにトマソンを見つけることができる。日本の街並みの新陳代謝はとても早いので、消えてしまう前に情報求む

はまれぽ調査結果!

今回は読者投稿物件を4件と取材中発見物件を4件紹介。トマソンではなかったりもするが、でも大丈夫。馬車道十番館別館建物を記録できてよかった

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ライター:永田 ミナミ

読者投稿物件



#1 港の見える丘公園入口付近の花壇に潜む、謎のコンクリート直方体(ジャン・ヨコハマさん)
 


谷戸坂を上って公園に入ったすぐ左手にあるこの茂みのなかにそれはある
 

植え込みのなかに踏み入るわけにはいかないのだが、たしかに不思議な物体だ

 
前面の金属板は分厚い錆に覆われているが、表面に何か文字が書かれているような凹凸は見えない。いったい何なのだろう。本来のトマソンは観察と想像によって語られるが、公共物ならはまれぽ的にちょっと掘り下げてもいいかなと思い、南部公園緑地事務所に「この石碑のようなものは何ですか」と問い合わせてみた。

すると「これは石碑ではなく、公園施設の一部です」という回答であった。


#2JR 関内駅南口、スロープを降りたところにある無用の立方体(こうかいさん)
 


なるほど、確かに不思議な突起物である

 
もともとこういう形でつくられたもののようなので「無用化した遺物」ではなさそうだ。投稿者も「無用にこだわりすぎるとよくない」と言っているが「無用化」していないとなるとこれは「トマソン」ではない。

見たところ基礎部分が露出したようであるが、何かの構内に設置された器具を覆ってこうなってしまっているのか、もともとあった構造物のせいでこのようにせざるを得なかったのか。
 


ちょっと腰掛けるのにもちょうどよさそうな、ひっそりとたたずむハマソンである

 
#3 JR山手駅のホーム外に見える「紙電柱」(こうかいさん)
 


大船発最後尾の3つ目のドアから見えるホーム外の電柱、というとこれか

 
「立体感のある電柱にはなぜか見えず、紙のように見える」とあるが、日差しの向きがよくないのかいろいろな角度から眺めてみたもののどうしても立体感のある円筒形に見えてしまう。
 


きっと絶好の日の当たり方があるのだろう

 
現役で電気を送っている有用な電柱なのでトマソンではないが、雨垂れによって表面にできた模様が錯覚を誘うのだろうか。
 


紙のような電柱を見てみたかった。いや、だんだん見えてくるような気も

 

#4 元馬車道十番館別館の外壁に引き戸(0330riさん)
 


続いてはこちら


2015(平成27)年に閉店した馬車道十番館の別館である

 
撮影に行こうと思う前に近くを通りかかったときは夜だったので、改めて写真を撮りに出かけた3月上旬、建物を目指して歩いていくと、遠くからドリルの音が聞こえてきた。何だろうと思いながら歩いていくと、別館跡の前にトラックが2台並び、何か重いものが荷台に運び込まれるゴトン、ゴトンという音が聞こえる。

まさか、と思って近づいていくと、無数のドリルの音が、別館跡の建物の内部全体から響いていた。
 


取り壊し工事が始まっていたのである。間に合ってよかった
 

早速投稿された物件を。なるほど建物の壁面に引き戸がずらり

 
ベランダのような手すりでもあれば、一種の窓ということも言えそうだが、手すりが撤去されたわけでもなさそうだ。6階でうっかり開けてしまったら大変なこの状態がもともとつくられたときの状態だとすれば、何が考えられるか。ふと思いついてビルの正面玄関に回り込んでみた。
 


すると観音開きの扉2枚とそれほど広くないエントランス

 
そしてかつて2階はイートインコーナーだった。となると謎は解けそうだ。
 


各フロアに運び込みたいが扉を通らないもののための搬入口ではないだろうか

 
店舗と吹き抜けでイートインコーナーになっていた1~2階と、3階以上のフロアを直接つなぐルートがなく、2階には食卓やテーブルを搬入する必要があったとすれば、壁からどんどん運び込めばいいのだ。そして、そのあとは閉じて壁だと思えば解決するという、通りに面した立地を生かした知恵ハマソンであった。
 


はがされた切文字は銅製だったのか、緑青らしき色の文字とエンブレムの跡

 


取材中発見物件


続いては、取材で街をうろうろしているときに見つけたハマソンである。ハマソンは探そうと思っているときより、頭の片隅に置いて歩いているような、いわゆる探すのをやめたときに見つかることもよくある話のようだ。

ちなみに、トマソンがブームとなった80年代とは個人情報事情が大きく異なり、神社の祈祷でも町名までしか言わなくなりつつある昨今なので、詳細な住所は控えることに。はまれぽ読者に住所を探して明らかにするような人はいないと思うが。


#1 中区「無用窓」
 


これはなかなか見事なトマソンである

 
シャッターの左側にあった大きな窓が丁寧にブロックかタイル材で塞がれて、きれいな壁に仕上げられている。素晴らしいハマソンである。


#2 神奈川区「高所ドア」
 


かつて2階への搬入口としてつくられたあとに軒が建て増しされたものか

 
今でも軒の上に立って出し入れは可能ではあるが、軒には傾斜もあり、軒の端はもう道路なのでやはり無用化したものと考えていいだろう。


#3 神奈川区「無用窓」
 


戸袋と窓のかたちそのままにトタンで覆う丁寧な仕事ぶり

 
写真にはクランク型に屋根跡らしき段差も見ることができるから、1階部分は写真手前方向に広く建っていたものがショートカットされ、トタンの壁に覆われたのかもしれない。
 


窓の上で役目を終えた窓をかばう庇に哀愁を感じることも可能である

 

#4 神奈川区 横浜市中央卸売市場の「無用門」
 


門を塞ぐフェンスが設置され無用化。重なり合う部分に趣を感じることもできる
 

趣をさらに嚙みしめる
 

かつてはここを新鮮な魚を積んだトラックが出入りしていたのだろう

 
横浜中央卸売市場水産部の南側はこの、無用門化したフェンスでそのままぐるりと囲まれているので、2008(平成20)年に開通したみなとみらい橋の工事にともない、敷地を少し小さくしたものと思われる。



取材を終えて


 


みなとみらい橋を渡りながら、こう考えた

 
1年前は「トマソン」の概念をしっかり頭に入れようと文献を読みすぎたせいもあって力みがあったようだ。間があいてしまったが、1年という時間によって肩の力が抜け、かえってよかったかもしれない。

まもなく応募フォームができると思うので、日常の風景のなかで前から何となく気になっていたものに意識を向けてみると、案外面白いものが見つかるかもしれません。見つけたら教えてください。見に行きます。

あといくつか紹介したいものもあったが、紙面が尽きたので今回はこのへんで。「JR横浜駅4番線~7番線の屋根の上にある白い建物」は次回紹介します。


―続く―

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  • 学校とかで古い校門を一部残してるのあったな。そういうのはトマソン?

  • 瀬谷区の中原街道、西部病院入り口交差点の南側、アイレディース化粧品の建物の隣の家の二階にもトマソンドアがありますよ!

  • 市バス27系統の終点、安善町の先のとっつきに、海を向いた速度制限の道路標識があります。かつて荷揚げに使われていたであろう場所がフェンスやガードレールで塞がれたので無用の標識と化したのでしょうか。(備忘も兼ねて記しておきます)

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