磯子区の区政への影響はあるのか

市政の状況が分かったところで、次は区政を確認してみる。
中尾智一容疑者の選挙区であり、施策提案などを行っていた磯子区役所へと向かった。
　

磯子区役所総合庁舎外観

同容疑者が磯子区で発行していた「PRESS MINSHU」2011年夏号によれば、同容疑者は昨年秋、磯子区長に対して平成23年度の予算要望などを提出していたが、その回答がまとまったと報じている。

具体的な内容を抜粋すると、久良岐公濁の主園路バリアフリー化、上大岡の天谷橋上流部の河川改修、磯子スポーツセンター付近の歩道への駐輪への対応と駐輪場整備、屏風ヶ涌駅前信号の改善など、かなり多岐にわたる。
これらの案件は、今後どうなってしまうのだろうか。

区政への影響が心配される

対応頂いたのは区政推進課。予算要望の回答には道路局など他局も関連することなので、個別には回答できず、あくまで包括的な範囲であることを前提にお話が聞けた。

まず、予算要望は市会議員個人の意見としてではなく、「区民を代表した意見」として承っているとのこと。従って、当事件によって左右される性格のものではないそうだ。

ただし、それぞれの案件の妥当性については、担当部署がしかるべく判断を行う。従って、必ずしも全てが実施される訳ではないとのこと。現在、すでに回答した方向に沿って検討中ということである。

今回の事件による磯子区政への影響は今のところ感じられなかった。



最後に、民主党の対応を追ってみた

最初に民主党本部へ問い合わせたところ、市議に関しては「神奈川県連」で対応しているとのこと。県連は電話取材になかなか応じてもらえなかったので、直撃取材を試みてみた。

民主党神奈川県総支部連合会(県連) が入るビル

ところが、何を聞いても「担当の者から折り返しします」の一点張りで、全く取材を受け付けてもらえなかった。前回、森団長から直接お話を聞けたこともあり、担当者もしくは森団長からの折り返しを依頼したが、結局今に至る。

一部報道によれば、同容疑者は10月中旬、離党届をこの県連に提出済みで、現在預かりとなっているそうである。その事実確認さえ対応してはもらえなかった。

「地域の底力」とあるが…

取材を終えて

今回の取材を振り返ってみると、現在最も影響力のある民主党の対応が粗雑と感じた。本年中に補選を予定している状況で、ネガティブな情報発信はしたくないという思惑が、そこにはなかっただろうか。

今回の事件、市会議員という公人が起こした言語道断な行為であることは間違いないが、考えようによっては、個人の素行に関わることでもある。しかし選挙を理由に、党として事実を秘匿するのであれば、その瞬間に民主党全体の問題にシフトする。

現在の政党政治が議会制民主主義に根ざす以上、国民や市民には知る権利がある。
事実、市会や磯子区は情報開示に応じている。

他の報道機関を通じてでも構わない。党として同容疑者をどのように処罰するのか、もしくはしないのかを明らかにしてほしい。選挙が落ち着くまで世間の注目を浴びないようにしているのであれば、それは地域住民を裏切る行為に等しいと考える。

なお、横浜市選挙管理委員会は、立候補の予定者に対する説明会を11月25日、選挙の公示を12月9日、補選の投開票を18日とした。これら補選にかかる費用は約7,500万円だ。

税金のムダ遣いが二度と起こらないためにも、中尾智一容疑者のような市議を再び選ぶことのないよう、市民にはしっかり新しい議員を選んでほしい。


―終わり―