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横浜を代表する近代建築、山下町のレトロモダンな「インペリアルビル」に突撃!!

ココがキニナル!

山下町にあるインペリアルビル。日本初上陸のアパレルやおしゃれなテーラー、タモリ倶楽部に出ている安斎肇さんが引越してきたという噂もあるのでキニナル!(パシフィコのバンボービー!さん)

はまれぽ調査結果!

インペリアルビルは建築家・川崎鉄三が設計し、1930年に外国人向けのアパートメントホテルとして建てられた。2011年、横浜市歴史的建造物に認定!

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ライター:大和田 敏子

クラッシックなオーダースーツ、Tailor Grand(テーラーグランド)



つづいて、studio BLAZEと同じ3階にあるTailor Grand(テーラーグランド)。
 


普通のドアに小さく店のロゴが入っているだけのシンプルな入口
 

Tailor Grand代表、長谷井孝紀(はせい・たかのり)さんに話を伺った

 
長谷井さんは岡山県出身。上京後、東京の店で修業していて、東京に住んだが、何となく住みにくいと感じ横浜に来て暮らすようになったそう。このあたりは好きな場所だったし、日本大通りなどにも古い建物が多く、自分の作るクラッシックな服に合っていると考え、2010(平成22)年初めから自分の店を開店するための物件探しをしていたという。

最初は不動産屋さんを通じて物件を探していたが、なかなか思っているようなところがない中、行きつけのバーのマスターからインペリアルビルを勧められたそうだ。
 


アンティークな雰囲気の店内。家具を入れた以外はほとんど変えていないそう

 
初めはここより少し狭い2階の部屋しか空いていなかったが、数ヶ月で空くとのことで、それを待って入居し、2010(平成22)年4月にTailor Grand をオープンした。以前にイラストレーターの安齋肇さんが事務所として使用していた部屋だそうで、その際にかなりきれいに直していたため、特に何も変更することなく、開店することができたという。
 


「窓がずらりと並んでいて明るいというのが最初の印象」と長谷井さん

 
テーラーの仕事には、自然光の中で生地の色を見るのがすごく大切なので合っていると思ったという。また、ビルのオーナー上田さんの祖父が、かつて仕立て屋さんをしていた方だったということもあって、喜んでくれたそうだ。
 


華美なことをしないオーソドックスなスタイルを基本としている

 
「今のファッション誌から、お客さんに提案するようなことはせず、昔の写真集や映画にある、今見ても格好いいと思うものを提案します。クラッシックで普遍的な良いものに、お客さまのオーダーを取り入れるようにしています」と長谷井さん。
 


こちらが作業スペース

 
「今は情報が多すぎるということもあって、コミュニケーションの大切さを感じます。実際会って話をすることで、お客さんのことが分かってアドバイスできたり、よりお客さんに合うスタイルを提案できますね」と長谷井さんは話す。
 


「初めは一人では広すぎるとも感じたが、寛げる空間が必要」と長谷井さん

 
年に2回ほど、顧客や友人らと、ここで映画を観る会をやっているという。映画を観るといっても1950~60年代を中心とした映画の、男性のファッションを見るのが目的。ケーリー・グラントのような、いわゆるウェルドレッサー(洗練された着こなしのできる人)の着こなしを、ビデオを停止しながら見るのだそう。

「最後にはただの飲み会になってしまいますけどね」と長谷井さんは楽しそうに話してくれた。
 


店内には、ウェルドレッサーのモノクロ写真がたくさん飾られている

 
映画の話のついでというわけでもないが、長谷井さんの兄、長谷井宏紀(はせい・ひろき)さんは映画監督をされていて、先日、行われた第72回ベネチア国際映画祭で、「ソッリーゾ・ディベルソ賞」を受賞したという。

受賞作「ブランカ」は、フィリピンの路上で暮らす孤児の少女と、盲目のギター弾きの老人の心の交流を描いた作品。長谷井監督は新人監督育成のために賞金が支給される部門で選出されていて「ブランカ」はその上映作品だった。
 


岡山県の山陽新聞に掲載された長谷井監督の記事(中央が長谷井監督)

 
先日行われた受賞式に長谷井監督の着たスーツは、長谷井さんがお祝いに作ったもの。息子の晴れ姿を見せるためにお母さんを連れて、イタリアまでに行ってきたそうだ。

Tailor Grandには、会社経営者、芸能・政治関係など、さまざまなお客さんが足を運ぶという。東京で仕事をしていたころからのお客さんもいるが、ここに開業後に来るようになった方も多い。ホテルニューグランドに宿泊されていて、近くのテーラーを探して見えた地方の方もいるそうだ。
 


「今の時代は、ネットで発信するのが大事ですね」と長谷井さん

 
「オーダーのスーツは高価なものですので、事前にインターネットで情報を調べて来る方が多いです」長谷井さんは話してくれた。

こちらの店にも、映画やドラマの撮影の問い合わせは多いという。先日は、新築マンションのプロモーションのために、横浜ライフをイメージしたビデオの撮影がこちらで行われたそうだ。



取材を終えて

インペリアルビルについて知る中で、横浜の歴史にも触れることができて、興味深い取材になった。

ビルオーナーだけでなく、こちらに事務所や店舗を構える方々が、皆、インペリアルビルを誇りに思い、大切にされていることが伝わってきた。歴史的建造物としての付加価値は建物そのものだけでなく、大切に受け継いでいこうとする人たちの心にもあるのだろう。


―終わり―
 

取材協力

インペリアルビル
住所/横浜市神奈川県横浜市中区山下町25

Boomerang Japan(ブーメラン・ジャパン)横浜店
住所/横浜市中区山下町25インペリアルビル1階
電話/045-264-9020
定休日/月曜日
営業時間/11:30~19:00

studio BLAZE(スタジオブレイズ)
住所/横浜市中区山下町25インペリアルビル304
電話/045-323-9028
定休日/水曜日
営業時間/10:30~19:00

Tailor Grand(テーラーグランド)
住所/横浜市中区山下町25インペリアルビル301
電話/045-681-7050
定休日/日曜日
営業時間/12:00~19:00
 

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  • 小さなビルが、立て替えの要請などもあったでしょうがそれらを乗り越え、手を加えながら長い間使われつづけている、そしてその歴史もきちんと記録、保管されている、って素晴らしいですね。言葉で言うのは簡単ですが、実際にそうすることはとても難しい。こういう歴史あるビルがどれだけ残っているかが、街の文化度、市民の思考を表すのだと思います。

  • 近くにある洋食屋、ホフブロウも老舗でおいしいお店ですね。スパピザで腹一杯になって、腹ごなしに山下公園を歩くコースが定番でした。

  • エントランスの写真の天井に、横浜海岸教会の旧会計室のシーリングライトを発見!これは建物竣工時の1933年当時から2014年まで教会堂に設置されていましたが、誤って工事の廃棄物に紛れてしまったものです。教会堂を設計した雪野元吉がデザインしたオリジナルの照明器具です。大切に使って欲しいものです。

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