【横浜の名建築】愛らしい教会に眠る歴史 横浜海岸教会
ココがキニナル!
横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第15回は、横浜海岸教会。おとぎ話にでてくるようなかわいい教会には、重みのある歴史や信仰深い人々の願いが詰まっていた。
ライター:吉澤 由美子
尖ったアーチが繰り返されるゴシック様式
(続き)
階段室に戻って礼拝堂に入ると、内部にアーチが繰り返され、壁面にはクロスの意匠がいくつもある。
白い天井に骨組みの木材が装飾的に張り出しているハーフティンバースタイル
梁の上部に控え目なつる草の飾り
壁には上部に三葉のアーチがデザインされた細長い窓。
淡い色がついたガラスは創建当時のもの
正面中央の説教壇には、壁面にブドウの彫刻。
説教壇のイスにも、キャンドルやクロスの意匠がある
階段室から3階へ登ると、礼拝堂の上階席に行くことができる。
説教壇から入口方向を見る
3階の玄関ホール上部分には資料室。
資料室には、1872年の設立時から受け継ぐ貴重な資料の写真などが飾られている
鐘塔に登る階段が資料室にあり、登った先にチャーチ・ベルが下がっている。
三角形の切れ込みが組まれて窓と壁のアーチが全て収斂する中央にチャーチ・ベル
このチャーチ・ベルは、1875(明治8)年に初代の大会堂を建設した際、メアリー・P・プラインから寄贈された。
プラインは横浜共立学園創立にも尽力した女性宣教師。
製造したニューヨークの会社名と、1875年という文字が入っている
これは関東大震災の2日後に、倒壊した瓦礫の中から信者の青年が見つけ出した貴重なもの。
今も礼拝の前には、新約聖書と旧約聖書のすべての章を合わせた66章にちなんでチャーチ・ベルが66回鳴らされる。
また、結婚式が行われる際には、新郎新婦の年の数だけ鐘を鳴らすのだとか。
1875年に作られた鐘の音は、歴史や人々の想いを乗せて現在も横浜の街に響いている。
取材を終えて
横浜海岸教会は、日本のキリスト教、特にプロテスタントの方々にとって特別な思いのある場所。
取材した日も、全国から会合で横浜に集まった十数人の牧師さんが見学をされていた。
無宗教な私でも、教会内部を見学するにつれ、穏やかで落ち着いた気持ちになっていった
敬虔(けいけん)な気持ちが自然と湧いてくる、シンプルな教会建築が持つ力は歴史に裏打ちされ人々の祈りを受け止めてきた証のように思えた。
※撮影は特別な許可をいただいております。
― 終わり―
日本キリスト教会 横浜海岸教会
〒231-0021
神奈川県横浜市中区日本大通8番地
Tel:045-201-3740
横浜海岸教会 公式サイト
http://www.kaiganchurch.or.jp/index.html
横浜海岸教会は基本的に見学を受け付けておりませんが、教会ははじめてという方に向けて『特別伝道日礼拝』を行っており、どなたでも参加可能です。その際、礼拝堂や数々の遺構が残る庭をご覧いただけます。
次回、特別伝道日礼拝
10月30日(日)
時間:10:20~11:30(10:00頃までにおいでください)
Jun Narumi Ohsawaさん
2015年11月13日 04時00分
「ヨコハマNOW」というインターネット情報誌の「横浜スケッチ」というコーナーで絵とエッセーを担当しています。その取材で今週お邪魔しましたが、こちらの記事はとても参考になりました。記事そのものを紹介させていただきたいと思います。ありがとうございました。
vermillionさん
2012年07月30日 23時23分
海岸教会会員です。ステキにまとめてくださって、ありがとうございました。現在、礼拝時間は10:30からとなっています。また、牧師の名前は「上山修平」です。心に残るお話をしてくださる、とてもすばらしい牧師先生ですので、是非またお越しください。