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生態学の世界的権威、横浜国大の宮脇先生が提言する津波対策とは?【後編】

ココがキニナル!

横浜国大の宮脇昭先生をインタビューしてください。特に神奈川県の沿岸部に植林して津波を防ぐ方法を提言して欲しいです。(にゃんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

あなたの愛する人を守るためにも木を植えよう。家の周囲など、まずできるところから始めることが大切。

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ライター:松崎 辰彦

前編では潜在自然植生に則った樹木を植えて、津波から人間を守るという宮脇氏の提言を見てきた。災害はいつ起こるかわからない。その日のために、私たちは今から準備することが求められている。



神奈川から植樹を発信せよ



東日本大震災でできた瓦礫を埋め立ててマウンドを作り、そこに植樹をするという「森の長城プロジェクト」。
実は瓦礫の埋立という点で、横浜にはすでに山下公園という実績がある。関東大震災でできた瓦礫を埋め立ててできたのが、山下公園である(はまれぽ記事「埋め立てて創られた山下公園、その理由とは?」参照)。
 


山下公園の沈床花壇。山下公園は瓦礫を埋め立ててできた


神奈川県でもただちに木を植えるべきだと宮脇氏は提言する。

「藤沢も地震がきたらあぶないでしょう。埋立地である横浜の関内などでも、シイ・タブ・カシ類を植えたらしっかり根付きますよ。こういうことは市民が主導して、行政がバックアップするのが望ましいんです」

このたびの地震で震源地が南に100キロずれていたら、神奈川県の人口900万人のうち10万人以上が犠牲になっていたでしょうと宮脇氏。相模湾に面している神奈川県は、津波の被害を真剣に考えなければならない。
 


土を盛ってマウンドを作る


土地本来の樹木の苗木を植える


横浜国大脇の樹林。10年ほどで大きく成長した(写真提供 宮脇昭)


海岸沿いに植えるものいいが、自分の家の周囲にも木を植えてくださいと宮脇氏は言う。とくに神奈川県は、気候的にもシイ・タブ・カシ類は最適の条件ということである。

「こうしてできた樹林は、次の氷河期がくる9000年後まで大丈夫です」
幅5mでも10mでもいいからマウンドを作って木を植えてください、と力を込める。

「日本の、アジアの、世界のモデルとして、まず神奈川から発信しましょう。あなたが、あなたの愛する人を守るために、できるところから始めてください」
 


東日本大震災の被害状況を調べる(写真提供 
宮脇昭


モノや金はいつでもとり返すことができる。命は絶対に取り返すことができません──宮脇氏は強調する。幼いころに脊椎カリエス(脊椎を結核菌に冒される病気)を患い、20歳まで生きられないと言われ、東京大空襲の翌朝に炭となった遺体をまたいで歩いた経験を持つ人の言葉は重い。