神奈川台場跡、整備された現在の様子は?
ココがキニナル!
最近、神奈川台場跡が整備されたみたいです。現地の様子や、今後更に整備を進める予定があるのか、レポートお願いします。(ときさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
目に見える部分は少ないが、憩いの場として整備されている。より整備を求める声もあるが今のところ現状以上の整備の予定はない。
ライター:ほしば あずみ
神奈川のお台場
「台場」は幕末期、黒船来航という歴史的非常事態に際し築かれた海防拠点(砲台)で各地にあった。たとえば、レインボーブリッジが架かる東京都の臨海副都心はかつて品川台場があり今でも「お台場」と呼ばれる。
神奈川台場も幕府の命令で横浜開港の翌年、1860(万延元)年に開港場の対岸、現在の神奈川区神奈川1丁目付近に築かれた。設計は勝海舟によるもので、羽を広げたコウモリのような形をしている事から「蝙蝠台場(こうもりだいば)」とも呼ばれた。
神奈川台場を設計した幕末の偉人、勝海舟
船だまりの先端に突き出た部分がコウモリに似ている(星野公園内のパネルより)
1899(明治32)年、台場は外国人居留地の廃止とともに役目を終え、次第に埋め立てられた。現在では石積みの一部を見る事ができる程度だが、横浜開港150周年を記念し、2010(平成22)年に神奈川台場公園と星野公園がリニューアルされ遺構が保存されているという。
また、近隣でマンション建設現場からも遺構が発掘され、資料館が開設されたとの事。
どのような様子なのか、現地へ向かってみた。
現在の台場跡の様子は?
台場があったのは現在のJR貨物の東高島駅や横浜市中央卸市場付近。JR東神奈川駅、または京急仲木戸駅か神奈川駅から徒歩10分程度の距離だ。
グーグルマップ上におよその台場跡をしめすとこのようになる
台場跡を見る事ができるのは星野公園と公園に隣接する神奈川台場資料室(画像C地点)、そこから少し歩いた場所にある神奈川台場公園(B地点)と、付近の道沿い(A地点)の4ヶ所。
この石碑が建っていなければ見過ごしてしまいそうなA地点
住宅が立ち並ぶ一角にある、この何気ない石垣が台場の一部
石垣には江戸城にも使われている耐火性、耐久性にすぐれた小松石が使われていた。
A地点からほど近い場所にある神奈川台場公園(B地点)。ここは「西取渡り道」と呼ばれる、船溜まりの西の土手部分にあたる。
台場公園のプレートが掲げられているのも、さりげなく小松石
遊具などはなく広場とベンチ、歴史を紹介するパネルのみ
ここでは台場の遺構は地下に埋まっていて、目で見る事はできない。写真の右隅に写っている石垣の下あたりが「西取渡り道」。2008(平成20)年に発掘調査を行って判明した遺構のラインを、石垣で再現している。
発掘調査の様子がパネルで紹介されている
神奈川台場の歴史を紹介するパネルも設置されている
パネルの説明がなければ、一見変わったところもないただの公園。台場の名残を感じる事ができるかどうかは、人それぞれかもしれない。
リニューアル前の公園の様子
(横浜市ふるさと歴史財団 埋蔵文化センター発行「埋文よこはま20」より)