神奈川区の平本牧場で生産されている「横浜ビール牛」とは?
ココがキニナル!
横浜牛なるものがあるそうです。「NHKキッチンが走る」にて、神奈川区の平本牧場が放送されていました。横浜にも牧場があるんですね。そこで、横浜牛なるものを取材してほしいです。(ぷくぷくさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
県内で育てられた黒毛和牛の最高級品種が「横濱ビーフ」。そのうち、醸造メーカー横浜ビールの絞りかすなどをエサに配合しているのが「横浜ビール牛」
ライター:河野 哲弥
牛鍋発祥の地、横浜の畜産状況
農林水産省による2007(平成19)年の調査によれば、横浜市内にある肉用牛(乳用牛除く)の飼養戸数は15戸、合計577頭の肉用牛が飼われているそうだ。全国で見た場合、横浜市の頭数の順位は、飼育が確認できている市町村全1137のうち688番目となっている。
データの入手元は、政府統計の「e-Stat」
牛鍋発祥の地、横浜にあるこれら15戸の1つが、神奈川区羽沢町にある「平本畜産」。投稿にもあるとおり、NHKの料理番組「キッチンが走る」でも、2012(平成24)年6月に同社の様子が紹介されたようだ。
早速取材を申し込み、現地に向かってみると、まわりは右を見ても左を見ても同じ平本姓ばかり。ここだと思って訪ねた家は、全く別の「平本農園」だった。
ここが目指していた平本畜産、外観からは全く分からない
まるで森の中で葉を探すような状況の中、やっとのことで、経営者の平本政和さんにお目にかかることができた。
横浜ビールとの出会い
牛の話をする前に、思わずたずねてしまったのが、この辺の平本姓密集状態のこと。
詳しくは知らないものの、やはりルーツとなる大地主がいたのではないかとのこと。政和さん自身も、気付いたときにはすでに、1丁1反(約11ヘクタール・東京ドーム2個分)の土地を受け継いでいたという。
穏やかな表情で淡々と話す、平本政和さん
そして、「田んぼや畑を耕すのがイヤだったし、豚は臭うから…」ということで、肉用牛専門の畜産家への道を歩み始めたそうだ。
では、投稿にあった「横浜牛」とは、どんな牛なのだろう。平本さんによると、おそらく「横濱ビーフ」か「横浜ビール牛」の間違いではないかと話す。
平本さんの名刺に入っている「横濱ビーフ」のロゴ
この「横濱ビーフ」とは、神奈川県の畜産家有志で生産している黒毛和牛のことで、最上級の肉質である5等級から4等級の牛のみが名乗れるブランドなのだそうだ。品質を維持するために、同じ飼料を使用していて、その中にはビールかすなども含まれている。
バケツ一杯が牛の1回分の食事、約15リットル
そんな中、神奈川県農政部の担当者から、横浜市内のビール醸造メーカーがビールかすの提供先を求めていることを知った平本さん。実際に見てみると、今まで混ぜていたA社のかすよりも、「絞り切れていないエキスのようなものがたくさん含まれている」と感じたそうだ。
これは別の地ビール会社のもの、こうじのような香りがわずかにする
このビール醸造メーカーが、横浜市中区にある「横浜ビール」だった。「驛(うまや)の食卓」というレストラン内に独自のブルワリー(酒造所)を持ち、横浜産の地ビールを生産している。
同社から「引き取ってもらえれば代金は不要」との話を受け、年間約30万円の飼料代の節約にもなることから、早速取り入れてみたそうである。こうして誕生したのが、「横濱ビーフ」の改良版ともいえる、「横浜ビール牛」という訳だ。