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金沢区の幼稚園に岡本太郎の壁画があるって本当?

ココがキニナル!

金沢区の金沢シーサイドタウン内にある並木幼稚園には、岡本太郎氏の手がけたという絵がありますが、どういう経緯で岡本太郎氏の作品を書いてもらうことになったか知りたいです(在原紀之さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

並木幼稚園の当時の理事長が「子どもに一流のものを見せることで本物を識別できるようになる」という理念から、岡本太郎に壁画の制作を依頼した。

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ライター:久保田 雄城

数年前、関内のちょっとしたバーのカウンターで筆者は赤ワインを飲んでいた。その時、たまたま隣に座った女性が「岡本太郎の壁画がある幼稚園が横浜にあるの」と話してくれた。

川崎市の岡本太郎美術館には、幾度か足を運んだことのある筆者だが、へぇと思ったものの、てっきり都市伝説だと思い込んでいた。

その「岡本太郎の壁画がある」という金沢区の並木幼稚園に出かけたのは、湿度の高い薄曇りの日だった。同幼稚園の職員の方がお話をしてくれた。
 


園外から壁画を望む




子どもに一流の芸術作品を

「幼稚園の創立時に、故・小嶋禮子(れいこ)理事長が、『子どもに一流のものを見せることで本物を識別できるようになる』という理念に基づいて、岡本太郎氏に『子どもたちのために壁画をお願いします』と依頼しました。それで『わかりました。大きなものを作りましょう』と岡本太郎氏が答えたようです」

この話し合いが行われたのは、海のみえる高台で、「何か海にちなんだものがいいね。“海辺の太陽”! いいじゃないか!」といって、コンセプトは決まったという。1980(昭和55)年2月のことだ。そして、その年の4月、幼稚園のオープンとともに、この「海辺の太陽」は除幕された。
 


壁画が巨大すぎて、なんだか非現実的だ


実際に壁画を目の前にすると、まずそのスケールの大きさに驚く。高さが7メートル、幅が10メートルの、文字通りの大作だ。二階建てビルの壁面を全部使っている。

岡本太郎の作品は、通常は何かと闘っていたり、苦悶したりというものが多いのだが、この「海辺の太陽」にはそのようなモチーフが一切なく、太陽が燦々(さんさん)と降り注ぐ下で魚が波の上で飛び跳ねるという、平和で躍動感に溢れる作品になっている。

それと同じぐらいに素晴らしいのは、その無造作といってもいいくらいの作品の扱いだ。アートがごく自然に日常の中に溶け込んでいる。作品は幼稚園の玄関横に位置している。作品の前には、コンテナガーデンが置かれ、そこで“年中さん”が、ミニトマトを栽培しているという。
 


大作の前で、“年中さん”が「ミニトマト」を栽培中


この壁画は、毎朝毎朝、春のおだやかな日も、夏の激しい雨の日も、秋の突き抜けるような高い空の日も、冬の低い雲が垂れ込める底冷えの日も、園児たちを33年間ずっと玄関で迎えてきた。
 


日常の中に溶け込む、壁画
 

青、黄、そして緑・・・それぞれ形が違う


壁画に近づいてみてタイルに触れてみると、すべてそれぞれ3センチ角のガラスモザイクで構成されているのがわかる。非常に繊細だ。制作から30年以上経ているのに、それぞれのガラスが非常に美しい。とてもその歳月の風雪に耐えてきたとは思えない。

そこで尋ねてみると、今のこの壁画は、2009(平成21)年に復元されたものだという。道理で色が鮮やかなはずだ。

この復元に興味を持った筆者は、そのプロジェクトにかかわった方を教えてもらい、職員の方にお礼をいって、今にも泣き出しそうなグレーの空の下、並木幼稚園をあとにした。
 


灰色の空と黄色い太陽
 

サインがすでにアートだ