横浜にある昔ながらの立ち飲み「角打ち店」のある場所を教えて!
ココがキニナル!
横浜にある昔ながらの角打ち店が気になります。安善のほてい屋酒店、横浜橋近くの浅見本店などが有名ですが、他にどんなお店があるのでしょうか。(ときさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜で50年以上続く、角打ち店(立ち飲みできる酒店)を紹介。今回は伊勢佐木町、中村町、本牧の計3店を紹介。
ライター:ほしば あずみ
「角打ち(かくうち)」とは、酒販店に立ち飲みコーナーが併設され、買ったお酒をその場で飲むことができる営業形態。簡単なおつまみも売っているがあくまで飲食店ではなく、支払は原則キャッシュオンデリバリー(商品を購入しつど支払う)形式であることが多い。
阪東橋の浅見本店は明治時代創業
その語源は、量り売りのお酒をその場で、量り升(ます)の角に口をつけて飲んだことに由来するとも言われていて、主に九州地方での呼び方だが、呼称はどうであれ、かつては酒店であれば全国で普通に見られた光景だ。
以前、「立ち飲みスペースが藤棚商店街に多い理由とは?」「横浜最古の酒場はどこ!?」でも紹介したように、横浜でも数は減りつつあるが、角打ちのできる酒店はまだ健在。
今回は、「昔ながら」ということで50年以上続く酒店で角打ちができるお店をはしご酒で紹介する。
ちょっと一杯のつもりで飲んで
1軒目の「甘粕屋酒店」は伊勢佐木町の端、駅でいえば京急「黄金町」駅か、市営地下鉄「阪東橋」駅からそれぞれ徒歩で10分ほど。横浜銀行が入る大きなマンションの1階部分に商店が並ぶ、その一店だ。
見た目は普通の酒店のようだが・・・
店頭の手描きPOPは立飲みメニューだ
甘粕屋酒店の創業は明治時代までさかのぼる。震災で店舗は変わり、また地域の再開発で現在のような店構えになりながら、100年以上、4代続いている。今や伊勢佐木町唯一の酒店でもある。
左から3代目の水谷裕一さん、息子の稔さん、社長夫人弘子さん
現在切り盛りしているのは4代目の稔さん。「嗜(たしな)む程度にしか飲めないけれど、お酒は好き」という稔さんの目利きで、全国の珍しい地酒がとりそろえられ、酒販店価格で楽しめる。
手書きPOPも稔さんの作品。日本酒への愛を感じる
この季節ならではの「ひやおろし」をいただく
秋田の地酒「まんさくの花」の旨辛純米、「うまからまんさく(450円)」のひやおろしをたまご豆腐160円とともに。
なみなみ注いでもらえるので、一口めは口を近づけて
店内にはベイスターズグッズが飾られている
ベイスターズファンの稔さんのために、お客さんが持ってきてくれるそうだ。ほかにも店内にはお客さんが撮った写真が飾られていたり、お客さんが持ってきた本が置かれていたり、いかに店が愛されているか伝わってくる。
訪れたのは雨の平日午前11時だったため、ほかにお客さんの姿はなかったが、夜になるといつもにぎやかにごった返すそうだ。
このカウンターとテーブルが、カフェ感覚。外国のバルみたいだ
1人でも女性でも気軽に入れる店づくりを心がけているという甘粕屋酒店。
「入りやすさを考慮して店の中が見やすいように、でも外から見えないスペースも確保」しているという気遣いも嬉しい。
あまりの居心地のよさに、続けて注文。
長野「千曲錦」純米大吟醸原酒(500円)と、新潟「雪室(ゆきむろ)熟成」純米吟醸生酒(450円)
千曲錦の大吟醸「山田伍拾(ごじゅう)磨き」をこの価格で飲めるのは角打ちならでは。「雪室熟成」は蔵元直送の数量限定品だそう。
1合入る大きな蛇の目(じゃのめ)盃に注いでもらった
酒肴は左上から時計回りに、かつおの酒盗、たこ刺身、おしんこ、こんにゃくごぼう
おしんこは120円、そのほかはそれぞれ160円。かつおの酒盗は瓶詰で店内でも販売している。
弘子さんが作るおつまみがメニューにのることもあるそう