年間赤字3億円! 放置自転車が横浜市の財政を圧迫? 市の対応は?
ココがキニナル!
横浜市で一年に何台の自転車が保管所に運ばれる?その自転車はどうなる?元の持ち主に何パーセント戻り、持ち主が現れなかった自転車のその後も調査して下さい(横マリさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
各種施策で放置自転車は年々減少傾向にあるも、約6万6000台が放置され、年間約3億円という財政赤字の原因となっている
ライター:はまれぽ編集部
年間6万台超!
歩行者や緊急車両の通行の妨げになるだけでなく、街の景観も損ねる放置自転車。
「駐輪禁止」の看板の前に堂々と放置された自転車
「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律(自転車法)」では、各自治体が「自転車の駐車対策に配慮をしなければならない」と定めており、横浜市もこれに基づき、「横浜市自転車等の放置防止に関する条例」を1985(昭和60)年に施行した。
この条例を根拠に、横浜市では市内139駅の周辺に自転車の放置禁止区域を設定。区域内に放置してある自転車やバイクは市が撤去する。
禁止区域は市のホームページで閲覧可(画像は横浜駅周辺)
はまれぽでは2012(平成24)年にもこの問題を取り上げ、当時は年間約7万5000台が撤去された後、約6割が持ち主の元に戻るという調査結果にたどり着いた。
あれから2年経った今、現状はどうなっているのか。横浜市交通安全・放置自転車課の富井みどり課長に聞いた。
対応してくれた富井課長
富井課長によると、2013(平成25)年度中に市が撤去した自転車は6万5680台と1万台ほど大きく減少。その要因について、富井課長は「駐輪場の整備や、長年続けてきている放置違反対策の結果」と分析する。
実際、1989(平成元)年には134ヶ所だった駐輪場も、2014(平成26)年8月1日時点で241ヶ所となっている。また、今年度から新たに横浜市営地下鉄高島町駅周辺も放置禁止区域とした。
新たに禁止区域になった高島町駅周辺
これらの対策が奏功し、内閣府が行っている「駅周辺における放置自転車等の実態調査」によると、2007(平成19)年に約3万4000台で、全国ワースト2だった放置自転車(駐輪場のような許可された場所以外に、持ち主がそばにいない状態で放置された自転車)が、2013(平成25)年度は8802台までになった。
この数は札幌市、大阪市、名古屋市に次ぐ4位で、順位もわずかながら改善したことになる。
内閣府の調査とは別に、市が2013(平成25)年11月に行った放置自転車の数の実態調査によると、1万4282台で前年度比5%減。1万7000台以上あった2010年度に比べるとおよそ20%減。条例ができた1985(昭和60)年の約5万7000台と比べれば約4分の1という数字になった。
内閣府の調査でも市の調査でも減少傾向(写真は関内駅周辺)
さらに、同じく内閣府の放置自転車が多い全国の駅トップ30を調べた「駅周辺における自転車の放置状況」調査では、2011(平成23)年度は13位に関内駅(1104台)、14位に横浜駅(1069台)、22位に伊勢佐木長者町駅(866台)だったものが、2013年度は5位に伊勢佐木長者町駅(987台)、24位に関内駅(716台)、26位に横浜駅(686台)となったことが分かった。
放置自転車が最も多かった伊勢佐木長者町駅
市の調査でも放置台数が最も多かったのが横浜市営地下鉄ブルーラインの伊勢佐木長者町駅で1166台(自転車987台、バイク179台)、続いてJR関内駅の827台(自転車716台、バイク111台)、横浜駅の815台(自転車686台、バイク129台)だった。
伊勢佐木長者町駅が多いことについて、富井課長は「伊勢佐木長者町の駅は野毛や福富町など飲食店が多く、そこを利用する人がいるため放置自転車も増えるのでは」と分析している。
では、具体的に市はどのような施策を行っているのか。