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相模原の伝統菓子「酒まんじゅう」とは?

ココがキニナル!

相模原の昔からの伝統菓子「酒まんじゅう」がキニナル。祝い事があると振舞うなどの伝統は残っている? 伝統の味を頑なに守っているお店はあるの?(紀洲の哲ちゃん)

はまれぽ調査結果!

酒まんじゅうは現在でも和菓子屋さんで購入でき、お祭りやお祝いの時に登場する。酒種を使って皮を発酵させるのが伝統的な製法である。

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ライター:福原 麻実

相模原市で和菓子屋さんの前を通ると、よく見かけるのが「酒まんじゅう」の文字。
 


こういうのぼりや、張り紙が目印


「まんじゅう」は小麦粉の生地の中にあんこが入っているやつだろう。それは分かるとして「酒」って、どんなものなのだろう? あんこの代わりに使われているのか? それとも生地に入っているとか? どういうときに食べるお菓子なのだろう? 早速調査へ!
 
 
 

酒まんじゅうって?



「酒まんじゅう」について調べてみると、相模原市に限らず、栃木県日光市、群馬県高崎市や山梨県上野原市など、関東を中心とした各地のお店で製造・販売されていることが分かる。

『地元菓子』(若菜晃子著)によると、酒まんじゅうが作られている街に共通するのは、小麦を育てていた畑作の土地柄であることだという。祭礼などの時に家庭でおまんじゅうを作る文化が山を越え、街から街へと伝播していったようだ、と。

しかしいくら文献を探しても「何年に誰が最初に作った」というような、はっきりしたルーツが見つからない酒まんじゅう。
その製法は? そして現在もその製法を守っているお店はあるのだろうか?
 
 
 

1954年創業の老舗店 志美津屋さんへ



酒まんじゅうの製法を教えてもらうなら、実際に作っているお店に行くのが早いだろうと考えた筆者。
主要な駅に行ってオススメの和菓子屋さんを聞いてみようと、たどり着いたのはJR・京王線橋本駅。
 


初めて来ました、橋本駅


3世代でお出かけ中のファミリーに酒まんじゅうの有名なお店について伺うと「志美津屋(しみづや)」さんというお店を教えていただけた。10分ほど歩いた場所にある、昔からある素敵なお店なのだという。このあたりだとそこが一番有名だとか。近くて古くて素敵か・・・よし、そこに決定!

しかし取材時は年末。お餅を買う人も多くて忙しいだろう。そもそも酒まんじゅうを売っているだろうか。不安になったので電話をかけてから取材に向かった。
 


こちらが志美津屋さん
 

素敵な店構え


お話を聞かせてくださったのは「優しいお母さん」という印象の清水さん。残念ながら写真はNGだったが、触りたくなるくらいの美肌。杜氏(とうじ)の手はきれいだとか、日本酒風呂が肌にいいとか、そんな話を聞いたことがあるが、酒まんじゅうを作るのも美肌効果があるのだろうか。
 


どれも美味しそう
 

「さがみはらスイーツグランプリ和菓子部門」グランプリだったのですね


志美津屋さんは1954(昭和29)年創業。ご家族で経営しているという。創業時から酒まんじゅうを取り扱ってはいるが「昔はこのあたりでは、皆さん家庭で作っていたんですよ」とのこと。

昔ながらの製法で作られているという、志美津屋さんの酒まんじゅう。その作り方を教えていただいた。

(1)麹とお米と水を混ぜて発酵させ、酒種(さかだね)を作る
(2)酒種に小麦粉を混ぜ、こねてから発酵させる(これが酒まんじゅうの生地になる)
(3)あんこを生地で包み、少し寝かせてから蒸す
(4)蒸し上がった酒まんじゅうを冷ます

酒まんじゅうの「酒」は、麹とお米でできた「酒種」だったのだ。
 


麹。これにお米を加えて発酵させると酒種になる(フリー素材)


この酒まんじゅう、現在は「行事やお祭りの時、お祝いの引き菓子、それからお土産にみなさん買っていかれるんです」と教えてくださった。
なるほど、地元のお菓子を買って、他所に住む人に渡す。こういう用途なら年中売られているのも納得だ。

相模原でずっと愛されている酒まんじゅう。実際に食べてみたくなったので、購入。酒種を発酵させるのに1~2日かかるなど、作るのに時間がかかっているのに120円で買えるんだな・・・。
 


シンプルな個装
 

すごくもちもちしている


半分に割った瞬間に、甘い香りが漂った。蒸しパンと甘酒を足して2で割ったような香りだ。割るときに手ごたえを感じるくらいに皮はもっちり、小麦のほのかな甘みが優しい。

軟らかく潰したあんこは、もちろん甘いのだが、ちょっと塩分も感じる。余分なものが入っていない素朴な味だが、お腹にたまるのにもうひとつ食べたくなるこの食べやすさは、名店の技術なのだろうと思った。