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相模原の伝統菓子「酒まんじゅう」とは?

ココがキニナル!

相模原の昔からの伝統菓子「酒まんじゅう」がキニナル。祝い事があると振舞うなどの伝統は残っている? 伝統の味を頑なに守っているお店はあるの?(紀洲の哲ちゃん)

はまれぽ調査結果!

酒まんじゅうは現在でも和菓子屋さんで購入でき、お祭りやお祝いの時に登場する。酒種を使って皮を発酵させるのが伝統的な製法である。

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ライター:福原 麻実

東林間の名店 松月さんへ!



さて、酒まんじゅうの「伝統的な作り方」は分かったが、逆に新しい作り方は存在するのだろうか? あるとしたら、その方法は昔ながらの製法のうち、どの過程を工夫した作り方で、出来上がりはどう違うのだろう。

お店探しのため、今度は小田急線沿線を歩こうと電車に乗った筆者。主要駅である相模大野駅付近で探したが、該当するお店がなく、ふと「東林間に和菓子のお店があった」と思い出したので一駅下って行ってみることに。

たどり着いたのは「松月(しょうげつ)」さん。小田急江ノ島線東林間駅から3分くらいの場所にある。
 


小田急江ノ島線東林間駅(フリー画像)
 

「栗むし羊羹」と「酒まんじゅう」ののぼりが!


社長である小林三代吉(こばやし・みよきち)さんにお話を聞かせていただいた。松月の創業は1965(昭和40)年。小林さんが新潟からこちらに移り、開いたお店なのだという。
 


季節によってラインアップは異なるという、和菓子の数々
 

一番人気は「お菓子とうふ」


酒まんじゅうは1975(昭和50)年ごろから作り始めた。
「こちらのお店の酒まんじゅうの製法を知りたい」と伝えると「今は昔と作り方が違うよ」とはっきりおっしゃった。

今の作り方は、昔とどう違うのかという筆者の問いに、小林さんは「パンと同じ。イーストで膨らませているんだよ」と教えてくださった。志美津屋で教えていただいた製法のうち、(1)の酒種作りの部分がなくなり、(2)の生地に入れるのが酒種ではなくイーストになるのだ。

「酒まんじゅう」の「酒」は酒種、でもこのお店では酒種ではなくイーストで作っているという。じゃあ「酒まんじゅう」じゃないんじゃ? 酒の要素は・・・?
戸惑う筆者に、小林さんが材料のひとつを見せてくださった。
 


「酒饅頭の素」って、あまりにも分かりやすいネーミング


イーストで膨らませて作る「松月」の酒まんじゅうだが、その分、お酒の香りをつけるのに、この「酒饅頭の素」を使っているのだという。これは酒粕から作られる液体で、これがなかったころは日本酒をそのまま入れて酒まんじゅうを作っていた時期もあったそうだ。
 


どれくらい入れたら香りがつくのかな・・・


パン作りの過程を想像していただきたい。酒種を作ってから酒まんじゅうを作ると、生地を作る前に酒種作りに日数がかかるが、イーストを使うと、生地作りからスタートできるのでかなりの時間の短縮になる。

しかし「40度を超えるとイーストは発酵しないから、そこが難しいんだよ」と小林さん。
40度を超えないように、イーストの発酵温度をコントロールする技術があるからこその製法と言えるだろう。

家庭で作られていた酒まんじゅうとは製法の異なる、「松月」の酒まんじゅう。もちろん購入して実食することに。5つで650円。酒まんじゅうってお安いのね・・・。
 


シンプルの極み、5つまとめてラップ包み
 

ふわふわしている


これが製法の差なのだろうか? ふわふわした生地だ。ほんのりとした香りは、お酒に似ているけれど、イーストのパッケージを開けた時の香りにも近い。

あんこの入った、イーストで膨らんだ生地って、要はあんまんじゃないの? と、脳内でコンビニのアレを思い浮かべながら食べたが、全く違った。ふわふわなのに重量感もある不思議な生地に、ボリューム感のあるあんこ。すごく「スイーツを食べている」という気がする。
 


「志美津屋」の酒まんじゅうより、ほんの少し小さめだろうか


「松月」の酒まんじゅうも、9月のお祭りの時期によく売れるという。製法が変わっていっても、皆がお祭りの日に酒まんじゅうを買う風習は変わらないのだろう。今後もずっとそうであってほしい、となんとなく思った。
 
 
 

取材を終えて



伝統的な製法を守っているとおっしゃったお店と、工夫をして作り方を変えていると教えてくださったお店。いずれのお店も自信をもってはっきり話してくださったのが興味深かった。そして製法の違いが、実際の酒まんじゅうにどれくらい現れるのか、食べ比べて考えてみるのも面白い体験だった。

最初に橋本に行ったのは全くの偶然だったが、「松月」の小林社長は「橋本のあたりだとまだ昔ながらのやり方で作っているかも」とおっしゃったので、もしかしたら製法の分布図が作れるのでは・・・なんて思ってしまった。
 

―終わりー
 
 
参考文献
地元菓子 若菜晃子著/新潮社
聞き書・ふるさとの家庭料理<7> まんじゅう・おやき・おはぎ 農文協著/農山漁村文化協会
まんじゅう大好き! メトロポリタンプレス編/メトロポリタンプレス

店舗情報
志美津屋
住所/相模原市緑区橋本6-39-8
TEL/042-773-3606
営業時間/8:00~19:00
定休日/水曜日
URL/http://www2.tba.t-com.ne.jp/shimizu-ya/

松月
住所/相模原市南区上鶴間7-5-1
TEL/042-742-8612
営業時間/8:00~20:00
定休日/火曜日
URL/http://www.higashi-rinkan.net/shogetsu.html
 
 
 

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  • いわゆるシルクロード沿いには「酒まんじゅう」をあつかうお店が点在しますね。隣県の上野原の街には「酒まんじゅう」だけで商売をしているお店が数軒あります。甘くない味噌の酒まんじゅうなんかもあって、迷ってしまいます。

  • レポートの2店以外にも、相模原の酒まんじゅうといえば、地場農産物を使ってる「さがみ野夢工房ふっくら」もオススメですよ。その名のとおり「ふっくら」酒まんじゅう!

  • 断面の比較が興味深い。密なモチモチ生地と丸みのあるフワフワ生地の違いがここまで出るとは。

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