地下鉄弘明寺駅ホームに設置されている謎の鉄棒の正体は?
ココがキニナル!
市営地下鉄の弘明寺駅を利用していた当時、弘明寺駅ホームに、段違いの鉄棒のようなものがありました。ベンチのようですが、別にベンチも設置されています。その当時蒔田駅にもあったと思います。(ねこぼくさん)
はまれぽ調査結果!
弘明寺駅にある二段鉄棒の正体は「背もたれサポーター」だった。使い方は、背を持たれるように腰をかける。現在設置されているのは弘明寺駅のみ。
ライター:カメイアコ
駅のホームで電車を待っているとき、はまれぽ読者のみなさんはどのようなスタイルで待っているだろうか。携帯片手に、壁に寄りかかりながら、ベンチに座って。あるいは、待つのは嫌という人も中にはいるかもしれない。
横浜市営地下鉄ブルーライン弘明寺駅には、電車待つために使われそうなベンチのようなものが設置してあるというキニナル投稿。
ベンチ? 鉄棒? 物干し竿?
座るにしても、少し腰かける位置が高いようにも見えるし、そもそも座るものかどうかも分からない。まずは現地に向かう前に正しい使い方・名称を横浜市交通局に問い合わせてみることに。
予想外の事実が判明!?
横浜市交通局総務課の瀬藤悦弘(せとう・よしひろ)さんによると
「これは『背もたれサポーター』といいます。ベンチと同様に腰かけてご使用いただけます」とご回答いただいた。キニナル投稿では市営地下鉄蒔田駅にもあるということだったが、現在は弘明寺駅しか現存していないという。
背もたれサポーターは市営地下鉄の駅のホームのみに設置されており、駅以外で使用されているところを見たことがないと続け、「ホーム幅員(ふくいん)を大きく確保することを目的に、通常のベンチより省スペースで設置できる背もたれ型ベンチを採用しました。しかし、1972(昭和47)年の開業時の設置のため資料が存在せず金額などは不明となります」と教えてくださった。
残念ながら開業時の資料はなく、当時勤めていた人も退職されていたりと情報は乏しいということだ。そこで、インターネットや雑誌などで調査を進めたところ、ある人物のデザインだということが判明した。
柳工業デザイン研究会(柳工業デザイン研究会HPより)
背もたれサポーターをデザインした柳宗理(やなぎ・そうり)氏は、1915(大正4)年6月29日に東京で生まれ、東京美術学校(現:東京芸術大学)を卒業。金沢美術工芸大学工業デザイン科の教授を務め、後進の指導にも尽力した。
鍋、カトラリーをはじめ、東京オリンピックの聖火コンテナ、札幌冬季オリンピックの聖火台やトーチなどをデザインした日本を代表するインダストリアルデザイナー(工業製品のデザイナー)である。紫綬褒章(しじゅほうしょう)、文化功労章を受章。2011(平成23)年に肺炎で没する。
そこで柳工業デザイン研究会に問い合せて、柳氏のデザインかどうかを確かめることに。ご対応くださった藤田氏に弘明寺駅にある背もたれサポーターと、調査中に発見した柳氏のデザインと思われる黄色いベンチの写真を見ていただいた。
弘明寺駅にあるベンチ
「弘明寺駅にある背もたれサポーター、黄色いベンチともに間違いなく柳デザインのプロダクトでございます」
本当に柳宗理デザインだったとは!
「柳宗理は横浜市営地下鉄開業時に設備デザインを担当しておりました。その中には、黄色いベンチ、背もたれサポーター、水飲み場、水汲み場、プラットホームの消火栓、既に変わっていますが券売機やキオスクなどもありました」
柳氏デザインの券売機やキオスク、見てみたかった・・・(写真はイメージ)
横浜市営地下鉄のデザインを担当する前には・・・
1970(昭和45)年に野毛山動物園歩道橋(フリー画像より)
看板2種のデザインを担当(フリー画像より)
「あまり知られていませんが、桜木町にある大岡川人道橋も柳宗理のデザインです」
なんと!
日本が誇るデザイナーの作品を普通に利用できて、目に触れることができるとは。こういうプロダクトをさらっと街中に取り入れるって、横浜らしい感じもする。どうしよう、うらやましいよ横浜市民。