横浜にある妙香寺が「君が代」発祥の地って本当?
ココがキニナル!
横浜にある妙香寺が『君が代』発祥の地って本当ですか?(TKKさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
明治初期、妙香寺で軍楽隊の指導を行っていたフェントン軍楽長に国歌の作曲を依頼して初代の『君が代』が誕生しました!
ライター:吉澤 由美子
『君が代』発祥の地が横浜に? 雅楽めいた曲調と和歌のような歌詞はなんとなく京都を思わせるけれど、横浜生まれだったとは意外な気がする。
発祥の地は中区上野町にある「妙香寺」とのこと。さっそく元町から麦田トンネルを越えていくと、「妙香寺入口」という交差点があった。
左折して、すぐ突き当たるので右折。
すると目の前に『君が代由緒地』と書かれた石碑がたっている。
山手駅から10分ほど。近所にはビール発祥の地『キリン園』や、滝のある呉服屋さんの『丁子屋』がある
石碑があるのは、妙香寺の山門へと続く階段の手前。
妙香寺は、814(弘仁5)年創立。平安時代初期から続く歴史あるお寺だ。
山門へと続く石段。きれいな四角い石が組まれていて、急角度
このあたり一帯の地名は妙香寺台。昔は広い寺領を持っていた名刹(めいさつ)で、明治に外国人の居留地となるまで山手公園のあたりも妙香寺の敷地だった。
山門の屋根には蓮の花をかたどった意匠。厳めしい中に柔らかい風情がある
石碑の少し先にある急な石段を登って山門から中に入ると、広い境内の突き当りにも『国歌 君が代発祥の地』の石碑がある。そして、もうひとつ、隣に『日本吹奏楽発祥の地』という石碑。
ここは、『君が代』だけでなく、日本の吹奏楽発祥の地でもあるらしい。
山門横にある鐘楼。大晦日には除夜の鐘を突かせてもらえることでも人気だ
寺務所(じむしょ)でお話を伺うと、まず日本の吹奏楽発祥があって、そこから『君が代』が誕生したとのこと。しかも妙香寺発祥の『君が代』は、現在のものとはメロディがまったく違っていたらしい。
妙香寺の山務員、矢放啓亮(やはなしけいりょう)さん。京都のお寺からこちらに修行にいらしている
そこで、矢放さんや妙香寺の方に、『君が代』や吹奏楽発祥について詳しくうかがってみた。
歴史あるお寺で吹奏楽を学んだサツマバンド
1869(明治2)年、鹿児島湾に停泊していたイギリスの軍艦から聞こえる軍楽隊の音楽に薩摩藩主、島津久光が感銘を受け、薩摩藩に軍楽隊を作ることを決意したことから、日本の吹奏楽の歴史がはじまる。
軍楽隊とは軍隊に属する音楽隊。野外で演奏することが多いため、管楽器と打楽器を中心にした吹奏楽の編成を持ち、式典や行事などでマーチを中心に幅広い音楽を演奏する。
薩摩藩は、指導をイギリス軍に要請。そして、指導者に選ばれたのは、横浜に駐留していたイギリス第十連隊第一大隊のジョン・ウィリアム・フェントン軍楽長だった。
薩摩藩は藩士32名を「薩摩藩洋楽伝習生」として横浜に派遣することになり、イギリス軍の駐留地に近い妙香寺が、洋楽伝習生たちの寝泊りと練習の場所となった。
日本吹奏楽発祥の石碑