黄金町に変わった建物が!この街は何をしようとしているの?
ココがキニナル!
ここ数年、黄金町の雰囲気が変わり、見慣れないお店もあるのですが、何をしようとしているのでしょうか?(DIGさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
アートで街のイメージを変え、人の流れを再び生み出そうとしていた。
ライター:宮田 靖子
青線地帯から芸術の街へ
“黄金町” (横浜市中区にある町)は、京浜急行黄金町駅から日ノ出町駅方面に向かう大岡川沿一帯の通称であり、横浜大空襲を機に、戦後この街は青線地帯(非合法の特定飲食店街)へと姿を変えた。
その後、2005年に神奈川県警により違法店舗は一斉摘発。街は空き家やシャッター街となってしまった(詳細はこちらの記事をご覧ください)という。
そんな黄金町に、ここ数年、近代的でオシャレなガラス張り店舗や外観から見ても特徴的な建築物が現れ始めている。
京急線高架下、旭橋付近にある店舗「日の出スタジオ」
京急線黄金町駅近く、大岡川沿いにある建物「黄金ミニレジデンス」
黄金町は、洒落たアートの街になりつつあるのか?そんな疑問を解決すべく調べていると「黄金町バザール」というアートイベントが2008年から毎年9月頃に開催されている事が分かった。
このイベントを主催するのは、黄金町エリアマネジメントセンターというNPO法人だ。アーティストや街づくりの担い手を支援することで新たな文化芸術活動や商業活動の導入など、この地区に関わる多様な取り組みを行っている。
そこで、事務局長の山野真悟氏に話を伺った。
黄金町バザールの開催エリア
(詳しくは公式ページをご覧ください。http://www.koganecho.net/koganecho_bazaar_2010/)
“街のイメージを変えよう”というところから始まった
まず、黄金町バザールがどのような経緯で始まったのか伺うと、
「横浜市の推進する、芸術や文化の持つ“創造性”を活かした街づくり、クリエイティブシティ・ヨコハマの一環で、2007年黄金町にアーティストやクリエーターを集めることで、地域の活性化を図るというアートによるまちづくりが始まりました。
その手始めとして、市が高架下の2カ所(黄金町と日ノ出町)に、アーティストのスタジオやアトリエになるような新しい施設を作り、そのオープンに合わせてアートフェスティバルを行いましょうという構想が黄金町バザール開催のきっかけです」
黄金町バザールでは、アーティストの作品が展示されているほか、雑貨などのショップやカフェがオープンしたり、アーティストや地域の方々によるイベントが行われている。ちなみに、昨年2010年は、9月10日(金)~10月11日(月・祝)の開催で1万人を超える方が訪れた。しかし、「バザールをやらなくても街に人が流れてくるのが最大の目標」と山野氏は語る。
山野氏は2005年の横浜トリエンナーレにてキュレーター(展覧会を企画立案し実行する役割)をされていたという
“アートによるまちづくり”が行われている黄金町。その構想について詳しく伺った。
「まず、アーティストが住んでいたり何かをしている街ということで、対外的なイメージを変えました。そして、彼らがいることによって人の流れが発生し、アーティストだけでなく建築家なども集まってくるようになりました。
もともと特殊な構造の建物も多いので、その特殊さをうまく使い、コンバージョン(建物の用途を、新たに別の用途へと転換する手法)するんです。すると、この界隈におもしろい建物が並んだりしますよね。建築で人が集まるようなエリアにするのもアートによるまちづくりのひとつだと思います」
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元旅館をコンバージョンして、 作品の展示や喫茶室などを 設けた日ノ出竜宮 | 資料室(日ノ出竜宮 |
旅館の面影が残る室内 (日ノ出竜宮) | 喫茶室(日ノ出竜宮) |
最後に、この街が目指している未来の姿を山野氏に伺った。
「この街には技術を持つ職人が多く、問屋街なので材料も多い。そのような街の既存能力と新しく入ってきたデザイナーや建築家たちの技術を集めて、このエリア全体が“アートセンター”のような役割を担うようになればと考えています。
例えば、この街を訪れる外のアーティストに対して技術提供や素材集めに役立つ街であったり、教育的な観点からもエリア全体がまちづくりの教材になったりということです。そうして人の流れが生まれ、経済活動が行われるのが理想です」