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東戸塚の駅近に牧場がある?牧場直営アイス屋さんと「牛」の関係

東戸塚の駅近に牧場がある?牧場直営アイス屋さんと「牛」の関係

ココがキニナル!

東戸塚周辺に牧場のアイスクリーム屋さんがあります。いくつあるのでしょうか?気になります。また、どうして東戸塚周辺に牧場があるのでしょうか(やま-やすさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

東戸塚駅周辺には牧場が2戸、戸塚区内には牧場直営のアイス屋さんは2軒あり、どちらのアイスクリームも「おいしいもの とつかブランド」認定商品として地域活性に一役買っている。

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ライター:カワカミエリ

「東戸塚には牛がいて、その牛乳を使ったアイスが食べられるお店があるらしい」

JR東戸塚駅を利用する人にはそこそこ有名な話のようだ。ライターのカワカミも、時々東戸塚駅を利用するのだが、乾いた風に乗って牛のにおいが漂ってくるので知っていた。
横須賀線の車窓からは牛舎が見え、時には牛の姿が見えることもある。
しかし、なぜ駅のそばに牧場があるのか?そして戸塚駅周辺には実際に何戸の牧場直営アイス屋さんがあるのか・・・非常にキニナルので調べてみた。
 
 
 

戸塚区内に牧場は5戸もある!


 
東戸塚のことなら戸塚区役所に聞くのが一番と電話をかけてみた。
なんと・・・「アイスクリーム屋」という業種で登録されている店舗はなく軒数も不明、牧場の所在に関しても詳しいことはわからないそうだ。
うーん、なぜ不明なのだろう。
しかしながら「横浜市役所なら詳細が分かるかもしれないです」とのありがたいアドバイスをいただき、横浜市役所へ問い合わせてみることに!

対応してくれたのは、「横浜市環境創造局みどりアップ推進部農業振興課担い手支援担当」

なんていう長い名前の部署なんだ!むしろこっちの名付け理由がキニナル。

とはいえ突然の質問にもかかわらず、詳細を調べていただき、とても丁寧に教えてくれた。

担当の方によると、2018(平成30)年2月の時点の調査結果で、戸塚区内には生乳を生産している牧場は5戸存在し、そのうち精肉生産も行う牧場は3件あるそうだ。
生産した生乳を加工しアイスを販売しているのは、肥田牧場の「アイス工房メーリア」と、小野ファームの「横濱アイス工房」の2店と判明。
横浜市に酪農家としての届けは13も存在するようだが、年々減少しているという。

ちなみに、横浜市青葉区の「雪印こどもの国牧場」などの「牧場」という名の「動物園」は、集計に含まれていない。

しかし、横浜市の戸塚区に5戸も牧場があるなんて想像もしていなかった。そして何よりも、恐らくしぼりたてであろう牛乳を使った美味しいアイスクリームが食べたい!
 
 
 

早速「アイス工房屋メーリア」へ!


 
まずは教えていただいた肥田牧場直営の「アイス工房メーリア」へ行ってみることに。
「アイス工房メーリア」は、JR東戸塚駅から徒歩約4分という超好アクセスらしいが・・・。
 


JR東戸塚駅の改札を左に出た東口へ
 

この階段か、エスカレーターで外へ出る

 
駅前はそれなりに栄えているように思う。牧場が経営する店と言うと、どうしてもナチュラルで緑に囲まれたお店を想像するが・・・駅近にあるとは、にわかに信じがたいかも~。
 


バスロータリーを右手に見て進む
 

右手に銀行、左手に薬局の道を入る
 

東海道線の線路下の車トンネルをくぐる
 

トンネルをくぐって道なりに進むと見える、この看板が目印!

 
 
 

緑に囲まれた可愛いお店を発見


 
本当に・・・駅からわずかの場所にあった!
天気の良いこの日はたくさんの人たちがテラス席でアイスを食べている。
 


わあ!可愛い山小屋風のお店♪

 
まずは「なぜ、東戸塚駅周辺に牧場があるのか?」という疑問について、詳しく教えていただきたいところだ。

お話を伺ったのは、有限会社肥田牧場の3代目代表、肥田直幸(ひだ・なおゆき)さんの奥様、裕子(ひろこ)さん。現在牧場は4代目となる長男も手伝っているという。

裕子さんの話によると、およそ150年前に横浜の港に乳牛が入り、横浜で日本初のアイスクリームが作られた。その頃にはまだ多くの牧場が横浜にあったそう。しかし、裕子さんが肥田牧場に嫁いだ45年ほど前の牧場周辺は山の中で、畜産業は多くないエリアだった。

肥田牧場は戸塚区品濃町で創業して75年。東戸塚駅が開業する1980(昭和55)年以前からこの土地で酪農業を営み、現在は28頭の乳牛を飼養している。
東戸塚駅の開業以降、次々と開発は進み、2001(平成13)年頃から周辺環境が大きく変わり始め、乳牛がより良い環境で過ごせるよう牛舎を整えた。長年取り組んできた遺伝改良の努力もあって、乳成分の高い質の良い牛乳の生産が行われているという。

その高品質な牛乳にさらなる付加価値を・・・!という考えで、当時栄養士をしていた裕子さんの長女・直子さんが「アイス工房メーリア」を2002(平成14)年に設立し、今に至る。
 


駅近とは思えない、ゆったりとした時間が流れる店内。外にはテラス席が並ぶ。

 
 
 

ジェラートとアイスクリームの違い


 
お話を伺いながら試食したのは、ソフトクリーム、ジェラートの「ミルク」「チョコレート」「コーヒー」「抹茶」の4種類で、どれも驚くほど濃厚でクリーミーだった。

ここで「ジェラート」と「アイスクリーム」の違いについて少し解説しておきたい。

「日本ジェラート協会」によると「ジェラート」は、イタリア語でアイスクリームのこと。日本で定義されているアイスクリームよりも乳脂肪が少ない、とある。
「アイス工房メーリア」の店主である直子さんによると、日本では乳脂肪が0%「氷菓」から始まり、「ラクトアイス」「アイスミルク」「アイスクリーム」の順で乳脂肪が高くなっていく。これらを総称したものが「アイス」とされているのだとか。

この店で「ジェラート」と呼んでいるのは「アイスミルク」に近い割合の乳脂肪分だそう。ちなみに「ソフトクリーム」は空気を含ませ柔らかくして機械で絞ったもの。

うーん・・・ややこしい・・・。

ライター・カワカミは「ジェラート」はどちらかというとシャーベットのような乳脂肪分が少ないものをイメージしていたのだ。
 


試食させていただいた5種

 
ところが、メーリアの「ミルク」のジェラートを食べた瞬間、そのイメージが覆された!
贅沢に感じるほど牛乳の味がしっかりと出ている。感覚的にジェラートよりもソフトクリームのほうが濃厚かと思いきや、ミルク感と甘みは「ミルク」のジェラートのほうが強い。
そんな「ミルク」ジェラートに、様々なフレーバーを混ぜることで、フレーバーの味がより濃く引き立つのだとか。たしかに、どの味もしっかりとした味に仕上がっている。
 


色とりどりのジェラートのフレーバー

 
ジェラートは店舗のすぐ近くにある工場で作られている。牛の体調や季節などにより乳脂肪分にやや変化があるため、ジェラートやソフトクリームの味も微妙に変化するのだそう。となると・・・何度も訪れて直営ならではの味の変化を楽しみたいもの!
 


ソフトクリームにはナッツやブルーベリー、あずきなどのトッピングも可能

 
 
 

ココでしか食べられないから常連さんがいっぱい


 
メーリアのアイスは通信販売はしておらず、店に行かないと食べられない。取材をしたこの日は日曜とあって、ファミリー層が多かった。
「いつもはジェラートだけど、今日はコーヒーフロート」という女性は、息子さんとアイスを楽しんでいた。
 


息子さんは7歳以下のお子様限定のミニソフト(左)ママはコーヒーフロート!

 
パパと一緒に来た女の子は5歳。「チョコレート美味しいよ」と嬉しそう。
 


パパはコーヒー(左)、娘さんは「チョコレート」(右)

 
仕事仲間で来店した5人は「塩バニラを食べようと来たけど、今日は無かったので、みんなそれぞれ違う味を頼みました」と話してくれた。
 


なぬ?「塩バニラ」?この日無かったというからコレもキニナル

 
 
 

特別に牛舎に潜入!


 
「アイス工房メーリア」のアイスの原料、生乳を絞らせてくれる牛たちは、店舗からわずか徒歩2分の牛舎にいるとのこと。そして、通常は見学できないが、今回の取材で特別に見せてもらえることになった。とはいえ、この牛舎のある肥田牧場は「教育ファーム」としての活動を積極的に行っており、一般公開はしていなくとも、牧場周辺の小学生の見学を受け入れているそうだ。

ライター・カワカミは、いつも横須賀線から見える牛は、駅から近いということから、てっきりこの肥田牧場の牛だと思っていたが、肥田牧場の牛ではなく、また違う酪農家さんの乳牛なのだとか。ということは・・・東戸塚の駅近に牧場が2戸もある、ということなのか。
 


鉢植えの花が飾られた可愛い牛舎

 
牛舎はネットで鳥などの侵入を防ぐなど、牛を守る対策が取られているほか、牛の足元はウォーターベッドになっていて、負担が軽減されているそう。肥田牧場の乳牛はとても大切に育てられているのだ。

裕子さんは、見学に来た子どもたちに必ず話すことがあるという。それは「牛乳は、どんな牛からも搾乳できるわけではなく、約10ヶ月の妊娠を経て、仔牛を産んだ後の雌牛しか搾乳できない」ということ。雌牛も人間の女性と同じで、出産後は約1年しか母乳を出すことができない。搾乳できない期間も体調管理や環境に細心の注意を払いながら、365日休むことなく牛の世話をしていることを知ってほしいという。
 


特別に隙間から撮影。だいたい午前8時と午後8時、1日2回の搾乳を行う

 
牛や牧場付近を「臭い」という人も、少なからずいる。しかし、よく考えていただきたい。多乳牛は、成牛になると体重が約600~700kgにもなり、1日に約23kgの餌を食べる。この牛一頭の体重は、小学3年生に換算すると約20人。20人の子どもが同時にご飯を食べて「うんち」をしたらどうなる?
人間の子どもでも臭いのだ!
裕子さんは「牛をただ『臭い』と言わず、何故臭いのか、その理由もしっかり考えて、街の中にある牧場へのご理解を深めていただきたい」と話してくれた。
 


カメラ目線をゲット!

 
代々、大切に受け継がれてきたこの牧場は、創業100年を目指し家族が牛と共に歩んでいる。
「なぜ、東戸塚駅周辺に牧場があるのか?」という疑問の答えは「牧場があったところに駅ができたから」という単純なことだった。昔からそこに「在る」ものを無くさず、残すことも私たち消費者の重要な役目だ。