検索ボタン

検索

横浜のキニナル情報が見つかる! はまれぽ.com

都筑区の港北ニュータウンの公園を結ぶ12.8kmの散歩道を踏破した!

都筑区の港北ニュータウンの公園を結ぶ12.8kmの散歩道を踏破した!

ココがキニナル!

都筑区の公園ってニュータウンの住宅街に有りながら公園が緑道で繋がり散策するのにいいですね。そんな都筑区仲町台、センター北、仲川、北山田周辺の公園を歩きハマレポの切り口で紹介して(マンジンさん)

はまれぽ調査結果!

南北合わせて19個の公園を結ぶ、合計12.8kmもの緑道コースを踏破! 古き良き時代の原風景が広がり、公団と区と住人の努力と工夫が詰まった美しい景観だった。

  • LINE
  • はてな

ライター:山口 愛愛

前代未聞の開発計画が生み出した独自の緑道



街の中に農業専用地区や里山の景観が溶け込み、多くの公園を有する都筑区の港北ニュータウン。駅チカながら、各公園を緑道が結び、北コース4.1km、南コース8.7kmといちども車道を横切らないで散歩できるコースがあるのをご存じだろうか。大都市ヨコハマの中にこんなに長い緑道があるなんてちょっとした奇跡だ。

 

今回の調査エリア。センター北、センター南駅を中心にした赤丸あたり(
© OpenStreetMap contributors
 

なぜ、このような環境を作ることができたのかキニナルところ。緑豊かな公園と緑道の魅力に迫りながら、調査していこう。
その秘密を探るため、まずは都筑区役所内にある横浜市都筑土木事務所を訪れた。

 

都筑土木事務所
 

公園の点検や木の剪定(せんてい)も担当している
 

対応してくれたのは、副所長の水上典男(みずかみ・のりお)さんと、下水道・公園係長の内山翼(うちやま・たすく)さん。

さっそく公園や緑道の特徴をうかがうと、「緑道で公園がつながっているという大きな特徴を出せたのは、港北ニュータウン独特の開発の手法によるものなんです。いきなり、マニアックな話をしてもいいですか?(笑)」と切り出した内山さん。

話は、1965(昭和40)年に横浜市が六大事業の一環として港北ニュータウンの開発を発表し、1969(昭和44)年から日本住宅公団(現在のUR、以下公団)が開発計画を始めたころにまでさかのぼる。

 

港北ニュータウンのメイン駅周辺はショッピングモールが並ぶ
 

内山さんは「港北ニュータウンはいかに緑を残すかを考え、谷戸(やと)の地形をうまく使い、斜面の森を守りつつ、水が集まるように谷地に緑道を作ったんです」と説明する。
「都筑区の中でも東方町(ひがしかたちょう)はまだ昔の雰囲気が残っています。ニュータウンも開発前の雑木林などをなるべく残し、ふるさとを感じさせる街づくりがコンセプトだったんです」と内山さん。

 

東方町の雑木林と畑が続くのどかな景色
 

港北ニュータウン以前の、大規模ニュータウン開発である多摩ニュータウンは、公団が地主から土地を全面買収し、公団の土地としてゼロから造成する手法によって作られた街だ。

これに対して港北ニュータウンの開発時は、「土地区画整理事業」という手法を用いた。これは、地主が所有する土地から、ある程度の割合を公共用地に提供してもらい、新しい街の道路などをつくるというもの。加えて港北ニュータウンでは全国に先駆け「申出換地」も採用した。通常の土地区画整理事業では、新しい土地は区画整理前の土地の状況に応じて割り振られるが、「申出換地」では地主が土地活用の意向に応じて換地する土地を希望することができ、住人と一体となって街づくりが進んだ。

全面買収方式に比べて公共用地の確保という点で不利な土地区画整理方式のなかで、最大限に緑や公園を残せるよう試行錯誤していった。そこで元の地形を生かし、緑道として緑を細長くつなげていく形をとったのだ。

 

緑道は小川やせせらぎに沿って歩けるポイントが多い
 

開発時のキーマンに、現場責任者の川手昭二(かわて・しょうじ)さんが挙げられる。川手さんは多摩ニュータウンの建設を担当したのちに、港北ニュータウンの開発に携わった。
川手さんは、季刊誌『横濱』の港北ニュータウン特集などで語っているように、多摩の開発で東京中のハイキングコースをつぶしてしまった自責の念があり、極力緑を残そうとの思いがあった。

港北ニュータウンは主要施設の位置からではなく、緑道の計画から始まり、主尾根の斜面樹林を眺めながら歩く緑道を確保してから、近隣の住区を整備していくという前代未聞の開発計画となった。
しかも、「緑道は、ただ単に歩く場所というだけではなく、自然と触れ合ったり、思索にふけったり、遊んだりと、いろいろな場面を想定して作られています」と内山さんは語る。

それだけではなく「歩行者専用の緑道をつなぐことで、駅まで車道と歩道の平面交差を避けて安全に行けるようにしたんですね。横浜市の歩道橋の約3分の1が都筑区にあるくらい、それだけ“歩車分離”に徹底しているんです」と港北ニュータウンの魅力を続けた。

 

歩道橋で車道の上をまたいだり・・・
 

車道の下をくぐったり、子どもも安心して歩ける
 

そして、豊かな緑を作る秘策も教えてくれた。
「緑道はあまり幅がなく細長いんですが、開放的に広く感じられるのは訳があります。
近隣のマンションの敷地内の斜面を緑地として残していたり、学校や企業の研究所のまわりに手厚く木を植えるなどの街の協力もあり、住区の緑と公共の公園の緑をくっつけ、最大のボリュームを出しているんです。緑道のまわりは斜面なので、パっと緑が目に入る工夫をしているんですよ」

 

斜面の上にマンションなどがあり、公園との境界をあえてわかりにくくしている
 

このような開発時の努力だけではなく都筑区と住人との意見交換を何度も繰り返し、緑道は常に改善、進化している。具体例は実際に緑道と公園を歩きながら、後ほど説明しよう。


じっくりお話を聞き、公園と緑道の魅力と課題が見えてきた。この話を踏まえて散策に行こうではないか。
北コース4.1km、南コース8.7kmの12.8kmの長い旅の始まり! それではダイジェストでお届けしよう。