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「荏田」にある駅はどうして「江田」駅なの?

ココがキニナル!

青葉区~都筑区にかけて「荏田」とつく町名がいくつかありますが、最寄り駅は田園都市線の「江田」駅。「荏」という字があまり使わない漢字なのですが何か理由があるのでしょうか(gripedaさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

駅ができた当時、“荏”は当用漢字に入っていなかったため使われなかった。「江田」は「荏田」の旧名だったため、こちらが採用された

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ライター:田中 大輔

新展開!? 荏田の由来を求めて図書館へ



さらにもう一方、地元の人にインタビューしてみた。
 


コンビニの駐車場で快く応じてくれた中島さん


駅名と地名が違う表記な理由については分からないという中島さんだが、「昔、この辺りに“えだ”という豪族がいて、その人から地名が付いたっていうのは聞いたことありますよ」と新情報!

その豪族が「荏田」なのか「江田」なのかは分からないが、地名の由来を紐解いてみると案外理由が見つかるかもしれない。

そう思い立ち、次に向かったのは山内図書館。
例によって郷土史のコーナーで資料を探し回り、荏田の歴史について調べてみた。

 


あざみ野駅の近くにある市立図書館


キニナルにもある通り、荏田町は青葉区と都筑区の両方にある地名。元々は緑区内にあった町だが、1994平成6)年の行政区再編で現在の両区に分けられたそうだ。

『ハマ線地名のあれこれ』(230クラブ新聞社)によると、「えだ」の地名が初見される史料は
1343康永2)年のもので、“武蔵国江田郷”という表記があるそうだ。

ありゃ? 「荏田」じゃなくて「江田」だ。地名は「荏田」と言い続けてきたが、元祖は違ったのか……。




とうとう核心に迫る!



この辺で手詰まり感も出てきたので、東急電鉄の広報課に問い合せ、地名と駅名の漢字が違う理由について聞いてみた。

すると、まずは駅名が決められた背景として「昔、江田小次郎という豪族が住んでいたことから、あの辺りは江田と呼ばれていたらしいんです」と答えてくれた。やはり豪族・江田さんは存在した! しかも、史料の通り、最初は「江田」だったということになる!

「その後、地名が変遷する中で荏田という字に変わったそうです」との説明に続き、「駅ができた当時、“荏”という感じが当用漢字になかったため、旧名であった“江田”を駅名として採用しました」と教えてくれた。

当用漢字とは、
1946昭和21)年に発表された政策で、公文書や報道などで使うべき漢字(当時1850文字)を定義したもの。その後、1981昭和56)年にもう少し大まかな指標として常用漢字ができ、当用漢字は廃止になった。

つまり平たく言うと、キニナルの予想的中で、“荏”という漢字がマイナーだから“江”の方を使ったというわけだ。

 


駅名を荏田にしようとする話はないそうだ


ちなみに、今のところ駅名を「荏田」にしようという話はないそうで、仮に“荏”が常用漢字に入っても「親しまれているものなので、変えないのでは」ということだった。

さて、豪族・江田さんのフルネームが分かったところで、改めて江田小次郎なる人物について調べてみた。
細かい史料は見つからなかったものの、どうやら源頼朝に仕えていた人物だったようだ。

建久元(1190)年に頼朝公が上洛した際に引き連れた千人以上と言われる随兵に名を連ねていたことが、鎌倉時代の史料として名高い『吾妻鏡』にも記されていた。

日本史上では大物というわけでもないので、資料は少なかった。でも、地名になるくらいなのだから、地元では力を持った人だったに違いない。



取材を終えて



地名の由来については異説もあるようだが、東急電鉄が取っている説だと、最初は「江田」。
やがて「荏田」となり、漢字制度の理由で「江田」駅ができた、というわけだ。

地名が変遷する中で漢字が変わるのは、歴史上ではよくあること。
でも、なんだかこの町は最近でもそういうことが起きているような気がして面白い。
100年後、この町はもしかしたら「江田」町になっているのかもしれない。


―終わり―
 

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  • この件に関しては私もずっと前から気になっていたので解決してよかったです。スッキリ!!

  • もっと古い大井町線の「荏原町」や池上線の「荏原中延」駅は当用漢字制定前だから「荏」を用いているわけですか。

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