どの街にもあるものが他の街より少ないが、それで十分と感じた旅。はま旅Vol.52「東山田編」
ココがキニナル!
横浜市内全駅下車の「はま旅」第52回は、店や名物も見当たらず、これといった場所もほとんど無かったが、探せばちょっと見つかった東山田駅周辺。
ライター:クドー・シュンサク
うまい熊本ラーメン
県道沿いにある“しぇからしか本舗”というお店。「しぇからしか」とは、一部九州地方で使われる方言。
「しぇからしか」標準語では「うるさい」をさす
店内で食券を購入。どのラーメンも、スープはあっさりとこってりの2種から選ぶシステムのようで、私は高菜ラーメンのこってり。空腹で口臭がすでに豚骨風味になっている安斎氏は、しゃんつうめんという聞きなれないメニューのこってりを。
まずは私の高菜ラーメンから。
高菜ラーメン¥700
豚骨には珍しい上品な飲み口のスープが印象的な味わい。麺は九州から毎朝届くというちょい太めのストレート。辛子高菜とスープのまざりが美味秀逸。単純に美味しかった。
しゃんつうめん¥680
しゃんつうめんは、こがしネギとそのネギ油をスープに施した一品。うまいとしか言わない安斎氏なのでスープを拝借。ネギの甘味と香ばしい香りが溶け込んだクセになるような味わい。
ランチタイムの15時までは小ライスサービスもあり。休日には、遠方から車で来るお客さんもいるという。
店員の方は写真NGとのことなので店内を
胸のすく景色がある公園
安斎氏と満腹をよそにねり歩きを再開。県道からはずれると住宅街、それに田畑。それ以外にはあまり何も見当たらない状況がしばらく続く。大きな坂を上り住宅街をさまよっていると公園を見つけた。
県道からしばらく上ったところにある
休憩がてら園内に入ると丘になっている芝生。背の低い街並みが丘からの眺めを素晴らしいものにしていた
公園入り口から
丘から空
この景色のぬけの良さは胸のすくようなものだった。
休憩もそこそこに、陽も傾き始めたので東山田最後は、これも旅始めに見つけた古めかしい食料品店へ行ってみることにした。
公園内の色とりどりな梅
東山田で40年、山田フード
県道まで戻り、ふるめかしい印象だった食料品店へ。
山田フード。時代を感じる看板
中は青果部と精肉部に分かれて営業。ここ山田フードの店長である青果部の八木哲也さんに話を伺ったところ、この場所で現在まで40年間営業。しかし、都市開発で大型スーパーが隣駅にできたりしたので、お客さんはほぼそちらに流れたという。しかし、ここ山田スーパーは地域密着型。近所に住んでいるご老人に配達サービスをして、地域の方々へのサービス配慮を第一に考えているとのこと。
八木さんは写真NG。隣の精肉部へ行き、取材の旨を伝えると、男性が元気な声で迎えてくれた。
精肉部主任の西野入春樹さん
ご夫婦で40年間、山田フードの精肉部にて勤務。この肉屋のウリとかありますか?と訊ねると、ウチ特製の揚げ物はうまいぞとのこと。ちゃきちゃきな会話。
まだラーメンが消化していないが、ここはおやっさんに乗っかるかんじでハムカツとメンチカツを試させていただくことにした。
ハムカツ¥70 揚げたて
メンチカツ¥80 できたて
おやっさんの言葉に偽りはなく、相当な美味さ。消化していない腹具合も忘れる仕上がりのフライ2種。ついつい美味いと声に出る。するとおやっさんは「コロッケも試してみるか?お代はいらねえから」
コロッケ(通常¥80)これもかなり美味い
食後にはお茶も淹れてくれた
ここ山田フードは、地域の方への販売と知人の飲食店への卸でなんとかやっていけているという。これからも体が続く限り、店はやり続けるとのこと。
別れ際、「また食いに来いよ、兄ちゃん」がとてもあたたかかった。
はま旅、東山田。これにて終了。
まとめ
苦戦が予想された東山田のはま旅。実際に、店や施設が多いわけでもなく、時間はとにかくかかったが、旅の後味は爽快なものが残った。
特別なものは特になく、どの街にもあるものが他の街より少ない。そんな東山田。
ただそれが、それだけで十分いい事だということを感じさせてくれる旅だった。
■今回のはま旅「東山田」周辺
・「ぼくりゅう亭」横浜市都筑区東山田町36-2
・「しぇからしか」横浜市都筑区東山田1030
・「山田フード」都筑区東山田町866
・「東山田スポーツ会館」横浜市都筑区東山田1030
・「早渕かなりあ公園」横浜市都筑区早渕3-42-5
― 終わり ―
kanageohis1964さん
2012年08月09日 12時39分
因みに、その山田フードとしぇからしかの間の道が昔の中原街道の道筋に当たり、そこを進めば交差点名になっている「のちめ不動」があったんですが…。