川崎市の男子中学生殺害事件、再発防止に向けた川崎市教育委員会の今後の対策は?
ココがキニナル!
川崎市の中学1年男子生徒が殺害された事件。再発防止に向けた川崎市教育委員会の対策は?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
川崎市内全173校の小中高校に対して長期欠席している児童生徒の把握をするよう、教育長が指示。他校の校長は「加害者を作らない指導」も検討
ライター:はまれぽ編集部
「痛恨の極み」
川崎市教育委員会による校長会が3月2日(月)、川崎市中原区の川崎市教育会館で行われた。
校長会が行われた川崎市教育会館
毎年度開かれる通常の会議に加え、2015(平成27)年2月20日(金)に発生した同市立大師中学1年、上村遼太(うえむら・りょうた)さんが殺害され、リーダー格とされる18歳の少年を含む3人が逮捕されたことを受け、再発防止に向けた検討が緊急の議題に追加された。
校長会には市内の市立校173校(小学校113、中学校52、高校5、特別支援校3)の校長が全員出席。冒頭で渡邊直美(わたなべ・なおみ)教育長が「まずは上村さんの死にお悔やみ申し上げる」とし、出席者全員による3分ほどの長い黙とうが行われた。
黙とうをささげる出席者
議事に先立ち、渡邊教育長は「13歳の尊い命が失われたことは大変残念。夢や希望に胸を膨らませ充実した学校生活の中で、明るい未来を考えていたと思う」と述べた。
その上で「生命・人権を尊重し、子どもを守ることを大切にしてきた本市にとって痛恨の極み。学校は教育・指導をする場だけでなく、子どもの命を預かっている場であることを肝に銘じなければならない」と訓示した。
「事件は痛恨の極み」と渡邊教育長
対策については長期欠席者の状況を把握し、3月11日(木)までに教育委員会へ報告するよう求めた。従来は文部科学省の基準によって毎年4月1日から翌年2月28日まで30日以上欠席している児童生徒のみの報告だった。
今回の市の調査では、それに加えて、
(1)30日を下回っていても2015(平成27)年1月以降、連続して7日以上欠席している
(2)1月以降、断続的に14日以上欠席している
児童生徒についても、学校は事実を把握しているか、どのような対応を行っているか、欠席者の友人関係を把握しているかについて詳細な報告を求めた。
渡邊教育長の指示を確認する出席者
調査の狙いについて、渡邊教育長は「長期欠席は(上村さんのように)学校に来られないというケースもあるが、非行が理由で来ないケースもある。そういう児童生徒が加害者にならないための教育と、大人社会から排除されない体制を整えるのが、われわれのすべきこと」と話した。
一方で「スマートフォンなどの通信機器の発達で、児童生徒の交友関係が見えにくくなっている。これからの情報化社会を生き抜くための能力を育んでいく必要がある」と述べた。
SNSの適正利用についても教育が求められる
校長会での指示を受け、他校の校長は何を感じたか聞いた。
川崎市中学校校長会の副会長を務める同市宮前区、宮崎中学校の佐藤剛(さとう・つよし)校長は「これは他校の出来事と思うのでなく、いつ自校で起きるか分からないという気付きを早急に校内で共有する。それが一番のセキュリティーになるのでは」と神妙な面持ち。
川崎市立校長会の会計である同市幸区、御幸(みゆき)中学校の安部賢一(あべ・けんいち)校長は「SNSによる交友関係のすべてを把握するのは到底困難」としつつも「校内だけでなく、積極的に生徒と接していくことで、二度とこのような事件が起こらないようにしたい」と決意を新たにした。
報道陣の質問に答える佐藤校長(右)と安部校長
また、安部校長は「特に加害者を作り出さない環境づくりが大切。生徒一人ひとりに寄り添っていきたい」と話した。
取材を終えて
今回の事件はスマートフォンなどの無料通話アプリ「LINE」でのやり取りでつながったグループが関係している。
渡邊教育長や安部校長の言うように、児童生徒を取り巻く環境は複雑化・多様化しており、教育現場だけで解決する問題ではないだろう。
「学校教育のせい」だけでなく「家庭でできることはなかったか」「地域や友人ができることはなかったか」を踏まえ、広域的な連携が必要だと感じた。
また、川崎市の市長部局と教育委員会がそれぞれ対策委員会を立ち上げ、3月3日(火)には合同の対策会議を開く。はまれぽでは、その内容もお伝えする。
―終わり―
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GanChanさん
2015年03月04日 09時23分
小中学生のLINEを禁止するのはどうかと思いますが、スマホやPCを使用させる親がその危険性を十分に理解した上で与えるべき。また、トラブル時の対応方法も熟知した上で渡さないからトラブルに発展していると思う。子供は欲しい欲しいと言うがまさかトラブルに巻き込まれるとは思っていない。知識も無い親が子供が欲しいからとおもちゃ感覚で与えているが使い方によっては子供にいじめの道具を渡していると考えた方がいいと思う。子供はLINE等ではなく直接人対人のコミニュケーションから学ぶべき。当然親子の関係もそれに含まれると思います。おもちゃと思っているものが凶器と化す事もあると理解して欲しい。
ennjieruさん
2015年03月04日 08時51分
彼の青あざのシグナルに早く行動おこしていたら、こんなことにならずにすんだんでは、ないですか。この事件はほんの一握りじゃないでしょうか。10年前20年前、ひどい事件ありましたが、いつになったら学校社会は、よくなうのか。警察も聴くだけじゃなく、見て確認するべき、仕事守る義務のあるたちばの職務怠慢では、ないですか。本当に親も弱すぎ。可哀想な心が痛む事件です。
GanChanさん
2015年03月04日 07時30分
川崎の問題だけではなくこの様な事件は全国的に発生していると思います。やはり、小学生の頃からやって良い事、悪い事を徹底して教育する(家庭だけでは不十分なので)。教育が不十分な子には再教育。データとして登録してその子供の行動や交友関係、家庭環境にまで目を配るようする。こういったことを面倒でも徹底して行う事が教育関係者に求められる時代だと思います。小学校の間はやって良い事、悪い事。中学ではやって良い事、悪い事、やったほうが良い事、悪い事を徹底教育すべきだと思います。