京急電鉄能見台駅はなぜカーブ上に駅のホームがあるのか?探ってきた!
ココがキニナル!
京急能見台駅はホームが曲線内にあるため電車が斜きます。ホームも作りにくかったと思います。少し金沢文庫方に行けば直線の為、なぜ今の場所に作ったか知りたいです。(やま-やすさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
1969(昭和44)年、宅地化に合わせて駅を若干品川寄りに移転し現在の位置になった。1944年から品川~浦賀間で既に運行されていた為、開業前の時点でカーブ上に駅を建設する形になったと考えられる。
ライター:若林健矢
横浜からエアポート急行で約20分、乗り換えなしでたどり着ける京急線の能見台(のうけんだい)駅。実はここ、ホームがカーブ上に造られている関係でレールに「カント」がついており、駅を通る電車も若干斜めに傾いてしまうのだ。
「カント」とは、電車がカーブを通過する時、そのままでは遠心力で外側に引っ張られて乗り心地が悪くなり、速度を出し過ぎると転倒の危険性も生じる。そこで、カーブの外側部分だけを高くするのだ。この仕組みは京急だけでなく、多くの鉄道路線で採用されている。運動会の徒競走やリレーで走りながらカーブを曲がる時、上半身を内側に傾けて走った経験がある人も多いだろう。それと似たような構造だと考えればイメージしやすいはずだ。
傾く角度はほんのわずかだが、それでも利用者からすれば直線にある駅の乗り降りより、難しいのかもしれない。
能見台駅がどのような経緯を経て、現在あるカーブ上にホームを置くこととなったのか、はまれぽ鉄道ライター若林が、現場に急行してみた!
電車内で傾きは凄かった
ということでさっそくエアポート急行で横浜駅から能見台駅にやってきた。
エアポート急行に乗って、能見台で下車
残念ながら車内の撮影はNGだったが・・・おぉぉ、確かに傾きがすごい!駅に停まっている間、車両内が坂道になっているかのような感覚になる。
車内から降り口に向かって上り坂っぽく感じる
ホームがカーブ上にあるせいか、電車とホームの間には比較的大きめの隙間が空いていた。乗り降りの際には足元をよく見て降りなくては・・・
下り(浦賀方面)ホームにて
こちらは上り(品川方面)。車内から降り口に向かって下り坂っぽく見える
ちなみに横浜方面のホーム先端から見てみると、さっき通ってきた京急富岡駅がうっすらと見える。両駅間は比較的短いようだ。
分かりにくいが京急富岡駅の端がちらっと見える
ホームのカーブのレベルを観察
ホームを細かく観察していると、投稿通り、能見台駅はホームの端から端までカーブ上に造られていて、上下線ともにレールにも傾きがついている。傾きに合わせてなのか、下りホームが若干高く、上りホームが若干低い位置にあるようにも見えた。
上下線とも、微妙に傾いているのがよくわかる
よく見るとホームの高さにも差が・・・?
カーブ上にあるが写真のようにカントが設けられているおかげで、この駅を通過する快特はあまり速度を落とさずに能見台駅を通過できる!電車に乗って通過する分には全然気にならないが、ホームから見るとカーブなのに非常に速いぞ!黄色いブロックの内側にいても風を感じるくらいだ。
線路の外側だけ高くなると、電車がスムーズに曲がりやすくなる
快特や特急は非常に速いので、十分に後ろに下がって通過を見る
品川方面の快特もカーブをものともせず風を切るかのように通過
線路のカーブと電車の傾きもチェック
次は能見台駅を離れて金沢文庫(かなざわぶんこ)駅方面へ歩きながら、線路を観察してみることに。
駅舎とロータリーが立体化されている能見台駅
能見台駅を出ると、直線のあとすぐに左へカーブし、再び直線区間を走る。ここで電車が横浜横須賀道路の下をくぐる。
変電設備の横を抜け、金沢文庫方面へ
横浜横須賀道路をまっすぐくぐるエアポート急行
その直線を過ぎたら再び右にカーブ。横須賀に向かって右手は切り通しや住宅、左手はところどころに建物を挟んで道路が並行している。金沢文庫までひたすらこの距離感のまま、右に左に小さく曲がりながら走っているようだ。
傾きながら右カーブを走る快特三崎口行き
カーブを抜けて金沢文庫へ
線路と道路、つかず離れずの距離感で並走する
そして能見台第2踏切道を越え、右手に留置線(回送電車を留め置く線路)が見えたら、まもなく金沢文庫駅へ到着だ。
この踏切を越えたら左にカーブして金沢文庫駅へ
能見台駅からは、そこそこ距離のある一区間
ここまで歩いてみると、直線区間も確かにあったが、全体的にゆるやかなカーブが大半を占めていたために、どこに駅を置こうとしてもカーブ上に駅を建設するしか方法がなかったのではないだろうか、という思いに駆られつつ、歴史を調査することに。