世紀の天体ショー!金環日食はどんな風に見えたの?
ココがキニナル!
2012年5月21日午前7:30頃から5分間の金環日食はどんな感じ?(くらうどさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
中心食線の走る神奈川県全域はあいにく雲の多いお天気。それでも、金環日食の時間帯には雲の間や薄雲越しに金環日食を観察できました!
ライター:吉田 忍
7:32
金環日食がはじまった。どよめきや歓声が起こる。住宅地でこうした声が聞こえたのは、ワールドカップで日本がゴールを決めた瞬間以来のこと。
晴れ間が見えてきたのに肌寒くなってきた。これも日食の影響?!
7:34
そろそろ真円のリング。あたりはなんだか少し異様な空気感。薄暗いというのとも、雲に遮られているのとも違う、不思議な感覚になる明るさだった。
完全に雲の切れ間に入って、クリアに見える
7:34
神々しい真円の金環日食。日食グラスでは、華やかなオレンジの極細リングがぽっかり浮かんでいるように見えた。
金環日食最大食分96.6%
TVでも各局がこの日食をライブで伝えている。ただしテレ東だけはアニメの通常放送だったようだ。ブレないテレ東もまた天晴れ。
横浜ズーラシアでは、特別に早朝6:00にオープンして金環日食とそれに対する動物の反応を観察するイベントが行われ、3000人の入場者を集めたらしい。
カンガルーが一斉に同じ方向に走り出したり、チンパンジーが木に登ったりといった行動があったが、日食の影響かどうかはわからないとのこと。
普段と違い、早朝から人が大勢集まって日食に歓声をあげていたので、それに驚いたというところではないだろうか。
7:36
そろそろ金環日食が終わりに近づく
リングがいびつになっていく
7:45
金環日食が終わり、部分日食になりはじめたらまた雲が増えてきた。
部分日食で三日月のような姿の太陽
金環日食は、子どもたちにとっても大イベント。
朝8時過ぎにいくつものお宅から「ありがとうございました!」「行ってきます」という小中学生らしき声が聞こえた。たぶん、東がひらけた眺望の家に集まってみんなで観測していたのだろう。「すごかったね」と通学しながら話す声も聞こえてきた。
8:17
ゴミ出しをするオバさまたちが口ぐちに「見えた?」「きれいだったわよ!」と興奮して話している。小さな子どもが「まだ見えるよ。もっと見ようよ」とねだっている声も聞こえる。
全体に雲がかかってきた
8:43
そろそろ日食も終わりに近づいてきた。雲が風で散らされ、晴れ間が広がっていく。
金環日食の時と違い、雲が薄くなるにつれ、気温がどんどん上がり始めた
こうして、世紀の天体ショー、金環日食を無事、観察することができた。
薄雲の間から見える部分日食もドラマチックで美しかった。そして奇跡的に晴れ間に浮かんだ金環日食の神々しさ。その時、あたりに漂った不思議な空気感は、忘れがたい一瞬となった。
2012年 まだまだ続く大空のスペクタクル
2012年は、今回の金環日食をはじめとして、珍しい現象を多く観察できる天体ショーの当たり年。
来月の6月6日には、金星が太陽の前を通過する『金星日面通過』がある。これは日食メガネで観察できると予想されているので、今回、金環日食に向けて手に入れた日食メガネをとっておこう。
金星日面通過は、6月6日の朝7時過ぎから始まり、終わりは14時前。
世界的に見ても、金星日面通過は今度の6月6日が今世紀最後で、金環日食より見るチャンスが少ないレアな天体ショー。
こちらも太陽を観察するので、日食メガネは必須。日食グラスでも観察が難しい現象なので、肉眼やサングラスでは決して見ることができない。日食グラス以外で太陽を見ることは避けよう。
取材を終えて
今回はギリギリだったとはいえ、奇跡的に金環日食が晴れ間に入ってくれてその姿を見ることができた。
皆既日食と違い、コロナやダイヤモンドリングを見ることはできないし、それほど暗くはならなかったけれど、それでもやはり金環日食の瞬間には、あたりにいつもとは違う空気が張りつめていたように感じた。
太陽が月に隠されて、神々しいリングが空に浮かぶ、不思議で美しい金環日食。
日本の広範囲で見ることができた奇跡の天体ショー。
天体のスペクタクルを体験して、誰もがきっと心の中の大事な箱に金環日食の思い出をしまいこんだはず。「見た?」「うん見た!」「雲で見えなかった!」こうした共通体験はこれから、たびたび語られる大事な思い出になる。
あなたは、見た?
― 終わり―
6/6 金星の太陽面通過 国立天文台ページ
http://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/20120606-venus-tr/