東京湾に神奈川と千葉の県境ってあるの?
ココがキニナル!
東京湾に、横浜市と千葉県との境界線はあるのでしょうか?(Pontaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
東京湾の海上に行政上の境界線はない。一方、東京湾を横断するアクアライン上には、関係自治体が決めた、行政の「管轄区分線」なるものがある。
ライター:沢村 友美
東京湾でもしトラブルが発生したら?
それにしても、境界を決めていないことで不都合が生じないのだろうか。
「今のところ何かのトラブルがあるというような話は聞いていません。もし今後、境界をめぐって何か問題が発生した場合には、当事者同士や関係する市町村、または県の関係者などが話し合うことで解決していくことになるでしょう」
海の境界をめぐるトラブルとして真っ先に思いついたのは漁業権の問題だ。
漁業権については同じ県庁内でも環境農政局水・緑部水産課が担当とのこと。
念のため、重田さんと百合川さん経由で確認していただいたが「これまでに問題が生じたことはない」とのことだった。
ご親切に色々と教えてくださった重田さん(右)と百合川さん
東京湾に漁業権が設定されているエリアは神奈川県と千葉県の沿岸部にあるが、それぞれの海域は被っていない。加えて、漁業権が設定されていないエリアで争っているようなケースも「現在はない」とのこと。
では万が一、海上で船舶事故が起こったり、外国からの密航が発覚したり、といった場合はどうなるのだろうか?
海の場合、治安の維持や保全などは海上保安庁が行うことになっている。
東京湾は第三管区海上保安部の管轄区域内で、湾全体だけでなく首都圏周辺の海域を広く担任している。万が一の場合には、第三管区海上保安部が指揮をとり、事件の解決や事態の改善に当たることになるという。
東京湾アクアライン上の境界線
ここまで読んで既にお気づきの方もいると思うが、東京湾には海をまたぐ横断道路が存在する。1997年12月に開通した、神奈川県川崎市と千葉県木更津市とを結ぶ東京湾アクアラインだ。この道路上のどこかで両市は接していることになるのではないか?
調べてみると、東京湾アクアライン上には確かに川崎市と木更津市との「境界」が存在することが分かった。
その境界とは、川崎市側の浮島ICを起点として約7.2kmの位置。
東京湾アクアラインに浮島ICから入ると、約9.6kmまでアクアトンネルが続く。つまりトンネル途中までが川崎市、以降が木更津市となっている。
赤いラインあたりに川崎市と木更津市の境界が存在する
境界線がトンネル内のためか、目立つように標識を設置している訳ではないよう。
この境界は正確には「管轄区分線」と呼ばれ、1997年10月に関係自治体である神奈川県、千葉県、東京都、川崎市、木更津市が協定して決めたものだ。
また道路上の警察の管轄区域も、神奈川・千葉両県の公安委員会・警察の話し合いにより、上述の管轄区分線と同様と決められている。
起点から約4.6km地点にある川崎人工島「風の塔」
(※写真提供 NEXCO東日本)
神奈川県警察のウェブサイトに掲載されていた公開資料によると
『両県警察の管轄区域の境界は、神奈川県知事、千葉県知事及び東京都知事が昭和63年(編集部注:1988年)12月9日に締結した協定で定める建設省所管公共用財産使用許可区分線に準拠して設定した』
とあるので、アクアラインの建設工事が始まる1989年よりも前から管轄区域をどうするのかの話し合いが行われ、その結果に基づいて「管轄区分線」が決められたことが分かる。
起点から約10.1km地点にある木更津市の「海ほたるPA」
(※写真提供 NEXCO東日本)
取材を終えて
好奇心にかられて始めたものの、意外とすんなりとは進まなかった今回の調査。
それは東京湾が誰か特定の人や団体によって所有・管理されているものではないからだった。
境界線の世界はなかなか奥が深い。地理地形、管理や権利を含めた行政の面の問題など、様々な角度から検証していく必要があることがよく分かった。調べていくうちに新しい発見や疑問がどんどん出てくる。知っているようで知らなかった「県境の世界」。突き詰めるともっと面白いのではないかと思わせる今回の取材だった。
-終わり-
N.G.さん
2014年01月12日 22時34分
大変面白かったです。今日(2014/01/12)横浜消防出初式を見てきたのですが、海上保安庁のひりゅうと、横浜消防のよこはまの二隻の消防船のデモ放水がありました。ひりゅうとよこはまの業務の違いってどうなってるんでしょうね。