小机にある「横浜のジャングル」が花見の穴場スポットって本当?
ココがキニナル!
小机駅前「愛宕山平成遊歩道」は聖徳太子堂の反対側の稲荷神社下まで近所の八百屋さんが30年守り続けた遊歩道。ここ7~8年でジャングルに。 (太子堂の縁側に座り一人花見酒は最高)(三ッ沢さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
遊歩道は戦前からある道を町内会が整備管理、八百屋さんが草木を植え剪(せん)定、現在は町内会が管理。太子社は年一度開帳。1人花見酒は確かに最高
ライター:ほしば あずみ
遊歩道の詳細はいったい
いろいろわからないので手がかりを求め、稲荷社側にあったお寺、雲松院を訪ねてみたものの、残念ながら住職が不在。遊歩道や太子社(堂)のことがわかる方はいなかった。取材したのは春のお彼岸の時期。お寺は忙しそうだった。
臥龍山(がりゅうざん)雲松院。小田原北条氏の重臣、笠原氏ゆかりの名刹だ
駅前にもどって商店の方に話を聞こうか、ときびすを返したその時、稲荷社の石段をのぼろうとしている男性が目にうつった。
声をかけたところ、「来月開催される、小机城址市民の森のお花見イベントの無事と成功を祈願するためにお参りするところ」という町会の役員さんだった。
現代に息づく地域の信仰に胸が熱くなりながら、遊歩道についてご存じないか尋ねると、町会の副会長さんをご紹介いただけることに。神仏のご加護を感じずにはいられない。
突然の訪問に快く応じてくださった、副会長の大島さん
1934(昭和9)年からこの地で営む表具店の2代目
「愛宕山は雲松院さんの所有なんですが、あのお稲荷さんも太子社も、古くからあるもので、遊歩道になっている道も昔からあるものでした。20年か、30年前になるのかな、町会で遊歩道として整備しようという話になって、以来町会で管理しているんです」と大島さん。
八百屋さんが1人で作ったというのは?
「その方は、長年私費を投じて植木や草花を植えて、剪定や植栽をしてくださっていたんです。今はもう亡くなられて、八百屋もなくなりました。今でも町会が管理はしているのですが、剪定まで手がまわらなくて。年に2度ほど枝払いはするんですが・・・」とのこと。植物が好きで、毎日のように手入れをしてくださっていたので、そのころに比べると今の遊歩道は荒れ果てた印象になってしまっているようだ。
確かに自生しないシュロチクが育っていたりする。南国の島を歩いている気分になる
封鎖されていた石段は、脇の桜の根が石段を押し上げてしまい、危険なので通行禁止にしたのだそう。脇に新たに作った階段は「女坂」と呼ばれている。
下から見上げると、確かに危険だ
大島さんは語る。「聖徳太子というのは大工の祖ともいわれ、職人さんがお祀りする職業神なんです。あの場所に祀られるようになったいわれはわからないのですが、戦前に近くの住吉神社の勧めがあって、地域の職人たち有志で祀るようになったと聞いています」
聖徳太子を祀る信仰は「太子講(たいしこう)」といって全国的にある。
「太子講」でGoogleイメージ検索した結果の一例
普段は閉ざされている太子社のお社も、今でも年に1度、厨子(ずし)に入った聖徳太子を開帳するお祭りがあるのだという。
「昔は職人さんのお祭りだったと思いますが、今はどなたでもお参りする地域の祭として親しまれていますね」
太子社での花見酒が最高だとの噂を聞きましたが・・・と尋ねてみると、「最高ですね」と大島さん。「桜の時期は町会でも集まって、お花見をするんですよ」
取材を終えて
というわけでお勧めに従い、1人花見酒(のリハーサル)決行
「愛宕山平成遊歩道」は今でも地域の方に親しまれる散歩道だった。ボランティアで草木の手入れをしていた八百屋さん亡き後も、その心は引き継がれている。
遊歩道もお社も、一見荒れているようだがよく見ると定期的に人の手が入っている気配があり、大切にされている様子がうかがえた。
訪ねる際はぜひ、地域の方が守る信仰の場であることを心に留めつつ、楽しんでほしい。
桜の開花を心待ちにしながら、太子様いただきます
―おわり―