女性の活躍を後押し! 神奈川県が認定する「神奈川なでしこブランド」とはいったい何?
ココがキニナル!
今年から新設された神奈川なでしこブランドについて取材して下さい。(Mhamaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
神奈川なでしこブランドは、企業や社会での女性の活躍を促進するために、女性が開発に貢献した商品(モノ・サービス)を県が認定するもの。
ライター:大和田 敏子
神奈川なでしこブランド認定商品「相模灘 湘南しらすの沖漬け」
認定商品の一つ、「相模灘 湘南しらすの沖漬け」の開発者で、「料理教室 鎌倉ダイニング(鎌倉市)」を主宰する、矢野ふき子さんのもとを訪ねた。
料理教室「鎌倉ダイニング」を主宰する矢野さん
開発のきっかけは、2011(平成23)年3月、しらす漁を行う「もんざ丸 前田水産」の前田さんから、テレビ番組の漁師の朝ご飯を紹介する企画の撮影用に、矢野さんに朝ご飯を作ってほしいと依頼があったこと。最初は、生しらすをご飯に乗せて食べるようなものでよいという話だった。
「それなら私じゃなくてもできる。もっと特別なものが作れないか」と矢野さんは考えた。
日持ちがせず、漁師さんや地元の人しか食べられないしらすを、日持ちをさせる方法はないか。生しらすを全国の人に食べてほしいという思いもあった。
そこで思い出したのが、ホタルイカの沖漬け。お父さまが、漁師さんからもらった沖漬けを食べながら、その作り方をうれしそうに話していたのをよく覚えていたという。ホタルイカと同じように日持ちがしないしらすを沖漬けにしたらどうかと思いついた。
何種類ものホタルイカの沖漬けを購入して味の研究をし、1ヶ月ほどで味が決まった。
タレは、矢野さんがすべて作っている
しょうゆ、酒、みりんの3種類だけで作ったタレに生しらすを漬けると、思いもよらない絶妙な味になった。驚きと喜びの瞬間だったという。
「これは日本中どこにもないし、絶対いけると思った」
自らつゆの漏れないパックを探し、パックに貼るシールもデザイナーに頼んで作ってもらった。何とか販売に結び付けようと奮闘、2ヶ月で販売が開始された。
獲りたてのしらすをそのまま船上で漬ける。沖で漬けるから沖漬けというのだそう。
氷や水に触れることなく漬けることで雑菌の繁殖も防ぐ
矢野さんが作ったタレが漁師さんの元に届けられる
決められた量のしらすを入れる
どの船で作っても味が変わらないことはもちろんだが、菌が死滅する塩分濃度など根拠に基づいてタレを作っているので、正しい分量で作ってもらうことが保存の上でも重要だそうだ。
相模灘 湘南しらすの沖漬け (1カップ100g525円から<網元によって価格が異なります>)
しらすの沖漬けは、日が経つにつれてしらすがタレと混ざり合い味が変化し、さまざまな味を楽しめるという。当初は、漁師さん達に、時間が経った生しらすを安心して食べられることが信用してもらえず、苦労したそうだ。冷蔵、冷凍、冷凍後に解凍したものと、あらゆる条件で検査しクリアした上で、保存方法、賞味期限を決めた。
タレがしっかりしらすに馴染んでいる。しらすの食感もいい!
現在は、三崎から小田原までの32軒の網元のうち16軒で販売している。
生産(1次)・加工(2次)・販売(3次)を一体化した6次産業としても意味があり、漁師さん達の力になれる商品だ(矢野さんは、農林水産省の6次産業化プランナーでもある)。
神奈川なでしこブランドがついているものは、いつも同じ味と安心してもらえるのがいいし、広報の影響も大きかったという。
「生しらすの沖漬けのような、類似品が出てしまいがちな商品にとっては、ほかと差別化してブランドとしてアピールでき、説得力があるという意味でもありがたい」と矢野さん。
相模灘 湘南 しらすの沖漬けは、「沖漬け六か条」を守ったものを公認商品とし、それを記した紙を添えて販売している。
「沖漬け六か条」を明記して品質を保証!