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都筑区南山田町の「虫送り」ってどんな行事?

ココがキニナル!

毎年、7月に行われている都筑区南山田町の「虫送り」ってどんな行事なの?

はまれぽ調査結果!

松明を手に行進をして、子どもたちの災いを払う伝統行事です。

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ライター:川邉 絢一郎

三百人強の炎が一つとなる



時刻は午後6時半。
なつみかん公園に到着し、虫を送り出す儀式が始まる。

子どもたちが手に持って運んでいた松明が一箇所に集められ、三百人強の人々が運んだ松明は大きな炎になる。
 


かなり離れていても熱さを感じる


松明が全て集められると、ふたたび御囃子がはじまる。

最初に獅子舞が飛び出し、その後を追うようにひょっとこ踊りがはじまる。
踊り手は、御囃子のメンバーが役割分担して行っているらしい。
 


ひょっとこと炎の組み合わせは、やはりどこか「呪術」的
 

鳴り物に獅子舞、ひょっとこと一人何役もこなしている


赤々と燃える大きな炎を囲むように奇妙な面を被った人たちが踊る姿には、普段の生活からかけ離れた非日常を感じる。
御囃子と踊りが止まると、どこからともなく大きな拍手が起こった。
 


御囃子をする子どもたち




行事の参加者と運営者の反応は?



行事の開始前や休憩中、終了後などに参加者の皆さんに話を伺った。
まずは、この行事の主役である子どもたちの話を聞いてみよう。
 


友達同士で仲良く参加


・楽しかった。来年も参加したい。(南山田小学校・六年生)
・ちょっと煙かった。(中川中学校・一年生)
・はじめて参加したけど、松明の火は思ったより熱かった。(南山田小学校・四年生)

友達同士で参加する人がいる一方で、親子で参加している人もいた。
父子で参加していた大崎さん親子に感想を聞いた。
 


大崎さん親子。来年も参加したいと話してくれた


「引っ越してきてから十年以上経ちますが、今回はじめて参加しました。こういった地域の行事にどれくらいの人が参加するのかなと思っていたのですが、これだけ多くの人が集まることに地域の結びつきの強さを感じます」

行事に参加していた横浜市会議員のくさま剛氏は、「ニュータウンでこれだけの人が集まるのはすごいですね。こういう行事が縁になって新しいコミュニティが作られ、それが世代を経て継承されている。本当に町内手作りのいい行事だと思います」と嬉しそうに語った。
 


横浜市会議員、くさま剛氏と参加者の小学生


さて、運営する側の人たちはどんな思いでこの行事を行っているのだろうか。
御囃子や行事の中心として動いている虫送り保存会の会長である栗原毅氏に話を聞いてみた。
 


保存会ができてから今まで会長を続けている栗原氏


―この虫送りの行事は、いつから行われているんですか?
保存会で行うようになったのは、36年前ですね。
私が御囃子を習っていた師匠に「虫送り」という行事が昔はこの地域で行われていたことを聞いて、復活させました。

虫送りは元々、虫を追い払う行事だったとのことですが。
元々は害虫を追い払う行事でしたが、今は農薬もあるし松明で追い払うこともありません。
なので、現在は害虫を厄災に見立てて、子どもたちから災いを追い払う行事になりました。

―これだけ大勢の人が参加する行事ともなると、開催するのも大変ですよね。
松明の準備や交通誘導、万が一の時の救護などは、町内会や学校、PTAの方々に協力してもらっているので・・・
本当に地域で作り上げている行事なんです。

―今一番困っていることは何でしょうか。
やっぱり後継者不足ですかね。基本的には小学校3年生ぐらいから、希望者を募って御囃子や踊りの稽古をしているのですが、中学校に上がると部活だ何だでやめてしまう子どもがほとんどなんです。

それでも「伝統ある行事だから続けていかなくては」と、栗原さんはそう語ってくれた。
 


小泉さん一家は、休憩所になっていた菊屋寝装店を営んでいる


後継者が少ないのが悩みの種とのことだが、もちろん脈々と伝統を受け継いでいる方々もいる。

その代表として、親子三代で「虫送り」の保存にかかわっている小泉さん親子を紹介しよう。
三代目のお孫さんは、御囃子参加者のなかで最年少の小学二年生。

御囃子への参加は本人から希望から実現したそうだ。
またお父さんは消防団の団員として、行事に参加している。

お孫さんの参加についてどう思うか聞いてみたところ、「やっぱり嬉しいよね」と笑顔で答えてくれた。



まとめ



南山田の虫送りは、地域の協力と努力によって行われている伝統的な行事だった。

田んぼや畑も少なくなった現代で、害虫を追い払うための行事から子どもたちに振りかかる災いを払う行事へと意味を大きく変えている。しかし、地域で作り上げる「虫送り」の行事が、地域の連携と伝統によって保たれていることに変わりない。

後継者の問題や行事を行う場所の確保など、現代ならではの問題も多いが、長く続いてきた地域の伝統を五感で伝える行事をぜひ後世に伝えていって欲しい。

みなさんの身の回りにも、伝統的なお祭りや行事はないだろうか。
キニナルものがあれば、ぜひ編集部までご連絡をいただきたい。


―終わり―
 

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  • レポート有難うございました。都筑区では少し前まで、川和町でも「虫送り」を復活させていました。戦前までは、各地で「虫送り」をしていたそうです。イベントとしてでも、伝統行事が保存されることは素晴しいことです。コミュニティーをつくる、という機能は見事に果たしていると思います。地元の方々の努力に感謝します。(ふくちゃん)

  • 春に見た映画「八日目の蝉」のロケ地小豆島で、虫送りのシーンがありました。田んぼの中を松明を持って練り歩くその様が実に幻想的でした。こんな近くでも同じことが行われていたとは驚きです。田んぼがないのは残念ですが今もって続けられていることに地域のみなさまに感謝します。そしてはまれぽさんにも感謝です。

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