楽器が弾けて安く飲んで楽しめる「八神君」

さて

キニナルにあった「ウクレレは弾けるのか、聴けるのか」という部分について八神君からの説明。
　

「弾けますよ」

急に、ピンク色のシャツを羽織る八神君。スティーヴ・ブシェミがMr.ピンクだからだろうか、自転車も店のカーテンもピンクである。
　
「八神君」のハウス楽器はウクレレ・ギター・ベース・パーカッション類がそろい、店に来るとそのハウス楽器を無料で弾くことができる。かるくお茶をしに来ても、まったり飲みに来ても、好きな楽器をサクッと弾いて楽しめる。
　
ウクレレ、弾くことはできるようですが、では、聴くことは。
　

「ウクレレは」
　

「20秒だけ～」

「ここは溜まり場でも隠れ家でもないんですよ。そういうの、多いですけど。そういう胡散臭いのではなくて、遊び場なんです。だから皆さんが好きに弾いて楽しんでくれれば最高です。自分のプレイは20秒だけ。まあ、それ以上はお見せするほどのものでもないので」とのこと。ほんのり胡散臭い。その、ほんのり加減がヤミツキになる八神君のヘンなところ。

ちょっと、パーカッションでもとリクエストすると「パンデイロ」という楽器を披露してくれた。
　

※クリックでyoutubeにジャンプします

取材なので5秒も多く披露してくれた八神君。
ちなみに「八神君」はドリンクすべて500円のノーチャージ。焼酎鏡月なら2杯で500円。フードはスナックなどの乾物のみ。営業時間は午後4時ごろから午前0時くらいで、定時はなしとのこと。

生活ができる範囲でいい。儲かるとかは本当に興味がないという八神君の思想に踏み込んでみた。
　

「折り合いのつきにくい人間の部分は必要ないんです」

面倒なことを人間関係に持ち込みたくない。すべては人間関係だから。いい時間を過ごしたい。素直でいたいし、素直でいてほしい。やりとりやかけひきより、ワクワクする闘いが好き。平和な闘い。平和を装った醜い争いが嫌い。好意に対して、上回る好意で返す。ハッピーには、違った色のハッピーで返す。これが平和な闘い。名付けて、
　

「もんがまえの闘い」

このお店では生臭いお話は一切ナシ。安く楽しく飲んで好きにやる。
いいことです。それがなにより。だったりもします。
　
音楽好きの幅広い層の男性から気さくにお酒を頼みしたい若い女性まで、八神君にはいろいろな人が集まる。
　

常連のお客さんとなにやらワイワイ

常連の女性お二人は「RaF」という名前で活動しているミュージシャンの方。八神君は、アツく、そして愉快な口調でお客さんを楽しませる。ヘンな人なのに、人望は厚いという。
ヘンな話である。
　

ボンベイサファイアのロック（500円）をいただく

八神君のウリのメニューは何か、八神君に尋ねた。回答は、
　

「ウリはねぇ！」

「ウリは、ねぇ！！」。2回自信を持って言う八神君。なんの自信だろう。自信の根拠が、キニならない。

気を取りなおして、せっかくなので、ウクレレも披露してもらいました。
　

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取材だからか、10秒以上長く披露する八神君。それもこれも、この人の人格なら笑ってすごせてしまう。
　

休みなしでがんばっております

海外でのセッション活動や、開店1ヶ月前に訪れたカナダのバンクーバーで出会ったストリートミュージシャンの話、単純な日常のエピソード。そのどれもがドラマチックで本当に愉快なお話でした。

外連味（けれんみ）のない酒場、そして弾きたい人も、そうでない人も楽しめるイセザキ・モールの奥にある、今どきには稀有（けう）な存在のお店でした。
　

ただ

こういう余熱がヘンなところもあります。
ただ、とにかく愉快でした。

取材を終えて