まずは保健所に相談を！

日本国内ではこれまでにMERSの発生は確認されていないが、横浜市では中東や韓国に渡航歴があって、発熱や呼吸器疾患が出た場合は直接医療機関を受診せず、まずは横浜市保健所に相談してほしいと呼び掛けている。
　

表に該当する場合は、まず保健所に相談を！（クリックして拡大）
　

このため、横浜市は6月13日（土）から19日（金）の午前9時から午後6時まで「MERS相談窓口（電話：045-664-7761、ファックス：045-641-6074）」を設置し、対応に当たっている。20日（土）以降については、韓国を含む全世界での動向を注視しつつ、受付時間変更の可能性はあるものの当面は相談を受け付ける。
　

1日に4～5件の相談があるという
　

相談窓口や仮に直接、医療機関を受診してMERSが疑われる患者がいた場合は横浜市立市民病院で対応し、病床数は県内最大の24床ある。

MERSや新型インフルエンザ、2002（平成14）年に中国で発生し、最終的には775人の死者を出した「重症急性呼吸器症候群（SARS）」といった重症を伴う可能性がある呼吸器系の疾患は「2類感染症」と呼ばれる。それに対応する医療機関を「第二種医療機関」といい、県内には市民病院を含む8医療機関・計72床が指定されている。
　

県内では最大の病床数で対応する市民病院
　

市民病院のほかには川崎市立病院（12床）、平塚市立病院・県立足柄上（あしがらかみ）病院・横須賀市立市民病院・藤沢市民病院・厚木市立病院・相模原協同病院（ともに各6床）がある。

万が一、り患した場合は前述のようにワクチンも特別な治療法もない。木村課長は「酸素吸入や点滴、投薬といった肺炎に対する一般的な治療と同じ処置になるのでは。まずは手洗いやうがいで予防を心がけることが重要」と話していた。

イベント会場や韓国での市民の対策は？

横浜市内では連日のように多くのイベントが行われており、韓国から来日するアーティストなどもいる。6月に2回、計4日に渡って韓国人アーティストのイベントが予定されている横浜アリーナに対策を聞いた。
　

6月23、24日にも韓国人アーティストのイベントがある
　

横浜アリーナの寺田秀治（てらだ・ひではる）総務課長によると「主催者側から要請があればアナウンスするが、アリーナがそれ（主催者）を差し置いて独断でやるわけにはいかない。現状、主催者側からは何も連絡はない」と話していた。

また、木村課長に聞いたところ、横浜市としても特別な対応や呼びかけは行っていないそうだ。

では、韓国国内ではどうか。明洞（ミョンドン）に友人がいるという日本人男性の話によると「普段はしないが、外出の際にマスクをして予防を心がけている」と話していて、対策に余念がないそうだ。

取材を終えて

取材時点で日本国内でのMERS感染は確認されていないが、横浜は港町であり、羽田空港も近く、空と海から多くの海外のモノを運んでくる。

ワクチンや特別な治療方法がないことに不安が残るが、感染経路は濃厚接触者間に限られる。

韓国のみならず、世界中で流行が収束することが一番だが、日常生活で予防できるというのであれば、対策を心がけてほしい。

また、万が一、症状が疑われる場合には、まずは保健所に相談してほしい。


―終わり―
　
MERS相談窓口
電話／045-664-7761
ファックス／045-641-6074
時間／6月13日（土）～19日（金）9:00～18:00　※20日以降の対応は検討中