みなとみらいの公共物がボロボロ!? 深刻なスケボー被害、横浜市の対応は?
ココがキニナル!
みなとみらいでは花壇や階段が、アイランドタワーのオブジェなどスケボーで壊されている。出っ張りを付けるなど防衛策をとっているようだが行政で規制はできない?(ta-TAさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
みなとみらい地区は原則、終日スケボー禁止! 各公園の管理を行う港湾局や環境創造局も対策を講じているが「イタチごっこ」が続いているのが現状。
ライター:大野 ルミコ
誰もが安全・快適に利用できる公園をめざして
では、みなとみらい地区に点在する各公園はどうだろうか。
まずは海に面して続く「臨港パーク」や「カップヌードルミュージアムパーク」「赤レンガパーク」などの管理を行っている、横浜市港湾局みなと賑わい振興部で、その実態をお伺いすることができた。
横浜市港湾局のある産業貿易センタービル
出迎えてくださったのは、賑わい振興課長の鈴木明広(すずき・あきひろ)さん(残念ながら顔写真はNG)。開口一番、まず鈴木さんから言われたのが「私どもが管理している公園では、すべてスケボーは危険行為として禁止しております」との言葉。
スケボーは公園内での「危険行為」として禁じているという
しかし、それでも「やはり海を望む景観が人気なのか、公園内でスケボーに乗っている人がいると、ほかの利用者からの通報もたびたび寄せられる」と話す鈴木さん。特に「走行時や、ジャンプ時の音がうるさいという声が多いですね」という。
港湾局で管理する公園は観光客も多く訪れる人気スポットばかりだ
港湾局で管理する公園の中でも、最もスケボー違反者が多いのが「カップヌードルミュージアムパーク」だという。舗装された広い歩道があり、海に沿って長い階段が配置されているなど、スケートボーダーにとっては最高のロケーションなのだろう。
カップヌードルミュージアムパークはこちら
海沿いに長い階段が続くカップヌードルミュージアムパーク
「以前は、公園内に危険行為禁止という看板しか出していませんでした。その危険行為の中にスケボーも入っていたわけですが、実際に公園内でスケボーに乗っていた人に話を聞くと“禁止だとは知らなかった・・・”と言われてしまう。そのため、今は、はっきりとスケートボード禁止と掲示するようになりました」と話す鈴木さん。
確かに、園内のあちこちに「スケートボード禁止」の看板が・・・
また、スケボーを含め、自転車の乗り入れや、ノーリードでの犬の散歩といった「危険行為」がないか、毎日、警備員や職員が公園内を巡回(時には警察官を伴うことも)。
鈴木さんいわく「巡回の回数も以前より増えている」という。ここでは詳しい回数・巡回時間は伏せるが・・・結構な労力だ。
「公園管理側としては施設を壊されてしまうことも辛いです。レンガのベンチを壊されたり、ワックスがついて施設の一部が真っ黒に変色してしまったり――。それらを修繕するにも、かなりの費用が掛かりますので」と悲しそうに話す鈴木さん。詳細な金額などは教えていただけなかったが大きな負担が生じるようだ。
防衛策として階段部分にプランターを設置。大きな効果を発揮している
「巡回中にスケボーに乗っている人がいれば厳重に注意し、もし、その方が施設を壊したとハッキリ分かれば、もちろん弁償もしていただきます。でも、24時間ずっと広い園内を見張り続けるのは現実的に難しい。やはり自衛策が中心となってしまうのです」という。
「カップヌードルミュージアムパーク」でも、違反者が続出していた階段部分にプランターを設置。それによってスケボーに関する苦情も注意も大幅に減ったのだとか。
今後も監視の強化、危険行為禁止の告知を行っていくという
最後に「先にもお伝えしましたが、私どもで管理している公園でのスケボーは一切禁止です。そう告知はしていても、利用者も多く、一人に注意しても、また別の方が来てスケボーに乗っているというケースも少なくありません。皆さんに安心して公園を使っていくためには、根気強く伝えていくしかないと思っています」と語った鈴木さん。
しばらくは「監視」と「注意」、そして「自己防衛」を続けることになりそうだ。
みなとみらいに「スケボー・パーク」は作れないの?
注意しても注意してもスケートボーダーが集まってくるみなとみらい。
それならば、いっそのこと、みなとみらいに「スケボー・パーク」を作ることはできないのだろうか。そのあたりの疑問も含め、お話をお伺いすることにした。
お時間をいただいたのは、横浜市環境創造局公園緑地部南部公園緑地事務所都心部公園担当、担当係長の高村暁子(たかむら・あきこ)さん。
誠実に対応してくださった高村さん
こちらの部署でも、やはり管理している公園でのスケボー対策には「頭を悩ませている」という。特にマリノスタウンに隣接する「高島水際線公園(たかしますいさいせんこうえん)」での被害は深刻だ。
ここに「高島水際線公園」が
帷子川沿いに広々とした歩道が敷かれた「高島水際線公園」
「みなとみらい地区は街全体が新しく、バリアフリー化も進んでいます。そのため舗道は平らで歩きやすく、また広く設計されているため、スケボーをしやすいのかもしれません」と話す高村さん。ただし「ここで管理している公園でも、スケボーは一切禁止となっている」という。
「一番の問題は、やはりほかの公園利用者様にとって危険だということ、また、周辺の住民の方々からの騒音に対する苦情も多く、容認するのは難しいのが現状です」
高層ビルに囲まれているため、音が「想像以上に響く」のだとか
高島水際線公園では、毎日、早朝から深夜まで8回の巡回を実施しており、見つけた場合は注意している。また、住民や利用者からの通報があれば、警備員や担当職員が現地へ向かい、口頭で注意し、撤収してもらっているという。
もちろん園内のあちこちに「スケートボード禁止」との告知もされている
それでも「公園内でスケボーをする人はいなくならない」という高村さん。「今は禁止行為であることをきちんと掲示する、また、園内でスケボーを“させない”ように自衛するなど、やれる範囲での対策を行っています」
その自衛策のひとつとして、高島水際線公園では違反者が絶えなかった「潮入の池」横の階段テラスにわざと切れ込みを入れ、スケボーができないようにしたという。
スケボーで削られ、ボロボロになってしまった階段テラス
角にわざと切り込みを入れ、スケボーができないよう加工した
その時の決断について高村さんは「本当に切なかったです。加工してしまったら、もう元に戻すことはできないわけですから・・・」と残念そうに振り返る。
でも・・・本当にここまでするしかなかったのだろうか。
一部の違反者ために、ほかの利用者に負担をかけたくない
その疑問をぶつけた筆者に、高村さんも「この公園に限らず、違反者の多い夜間は公園を施錠すべき、とか、どこか別の場所にスケボー専用のスペースを作るべきといった声があるのは理解している」と話す。そして「でも、それを実現するのはとても難しい・・・」とも。
(当然だが)公園を利用するのはスケートボーダーだけではない
「やはり公園は24時間365日、誰でも使えるようにしたい」と話す高村さん。「夜間や早朝しか公園を利用できない人もいますし、健康づくり推進という面でも、公園利用時間に制限をかけるのは望ましくないと思います」という。
では、スケボーの専用パークを作ることはできないのだろうか。
一つひとつの質問にていねいにお答えいただいた
筆者のこの質問に対して、高村さんは「私どもが今、管理している範囲では難しい」と答える。「最大の問題はやはりスケボーの“音”です。高層ビルが立ち並ぶみなとみらい地区の場合、どこにパークを作っても騒音の発生源となってしまいます。ここでは迷惑だから別のところで、と言われても、その別のところが見つからないのです」
このまま「防衛策」を考え続けるしかないのだろうか・・・
「でも・・・」と、高村さんは続ける。「2010(平成22)年6月に、新横浜にスケートボードの専用パーク(新横浜公園内のスケート広場)がオープンしたのも、みなさんからの要望の高まりによるものだと思うんですね。ですから、そういったニーズがさらに高まれば、公園に限らず新たなスポットが誕生する可能性はあると思います」と話す。
その場所がみなとみらいになる可能性は現状ではかなり厳しい。ただ、一つずつスケートボード専用コースが増えていけば、スケートボーダーたちの「やる場所がない」という不満・悩みの解消につながるのではないだろうか。
取材を終えて
正直、みなとみらいでのスケボー問題がこんなに深刻で、それを解決することがこんなに難しいものだとは思わなかった。
話を聞く限り、行政は(それでも不満を感じる人も多いだろうが)、できる範囲での努力をしていると感じたし、これ以上の取締りを警察や行政に求めるのであれば、法律から変えないとダメだとも感じた。それはかなり時間もかかるし、簡単なことではない。
そして、一部のマナー違反者のせいで、すっかり「迷惑」「マナーが悪い」というイメージが定着しており、純粋にスポーツとしてスケボーに取り組んでいる人たちには本当に気の毒な環境になってしまっているとも感じる。
この問題はいろんな角度から検証していったほうがいいのかもしれないな・・・とも感じた。機会があれば、ぜひ引き続き調査してみたい。
-終わり―
新喜劇の巨人さん
2020年12月24日 09時30分
コメント欄でスケボー擁護してる人はホントにスケボーが好きなんだろうね。でも「真剣にスケボーやってから記事書け!」はさすがに笑ったよ(笑)歩み寄るべきは、なにかムーブメントを起こそうとしてるサイドなんだよ。本当ににスケボーの地位をあげたいなら、大多数の理解のない一般市民から信頼を得られるような行動、言動をしないといけないよね。このコメント欄見てると、それは当分無理だなと思ったよ。スケボーをただ日常の足にしてる人もいるんだ!って書いてる人いたけど、足にするってどういうこと?もしかして駅までスケボー使うの?コンビニまでスケボー使うの? だから地位があがらないんだよね。わかるかなあ・・・自覚のないボーダーのためにスケボーが嫌われる要素を列挙しておくよ。・バタンバタンうるさい・ガラが悪い・公道で車の前などを走る・転んだりスケボー飛ばしたり危ない・段差を汚したり壊したりする
まぐねしうむさん
2017年03月31日 00時49分
新横浜公園スケボー広場の利用者と思われる方々が新横浜周辺の歩道を我が物顔で滑っている姿をよく見かけます。夜間スケボーの音が響いて五月蠅いです。新横浜のビルテナント前で酒盛りして仲間とキズナを深めるのは結構ですが、吸殻・ゴミを片付けて帰ってください。許可された専用の場所で思う存分滑れば良いと考えていましたが、歩行者への安全配慮も顧みない・マナーも守れない方のために貴重な公共の場を無料提供する必要はないと考えるようになりました。せっかく、オリンピックの正式種目になったのにこんなことで反対勢力を作ったら損ですよスケーターの皆さん
やま33さん
2016年12月21日 14時11分
公園内でスケボーしてると音がうるさいのですぐ分かります。子供連れの人は特に怖いと思うでしょう。また、公共の建造物を傷めたら器物損壊だから弁償すべきだと思います。トラックが多く通る道路のそばにスケボー専用道路を併設してみたらどうなのかな?