市が発行する市債、『ハマ債5(ファイブ)』とは?
ココがキニナル!
横浜市が発行している市債『ハマ債5(ファイブ)』とは、どういったものですか?
はまれぽ調査結果!
個人で購入できる横浜市の債券で、公共施設などに使われる目的で年に4回発行されている。国債や定期預金より少し利率がいいのが特長。
ライター:吉田 忍
10万円で年間320円の利息?!
ハマ債5の利率は、毎回変動するのだが、今回は年0.40%(税引後 年0.320%)。
1口の10万円で、年間たった320円の利息。それってすごくショボい気がする。100万円でも3200円。
大金持ちが大量にドカンと買ってまとまった利息を得ているという想像をしていたけれど、1億円ですら年間32万円にしかならない。もしかして市債を購入すると、利息以外になにかしらのメリットがあるのだろうかと思ってうかがってみると、利息のほかにメリットは一切ないとのこと。
しかしハマ債5の0.40%というのは、メガバンクの多くが5年定期預金の金利として出している0.08%に比べたら、それでもかなり高い方だといえる。この利率は毎回変わるのだが、個人向け国債(固定5年)の利率に準じて発行の直前に決まる。
そして、意外だったのは、この利率を決めているのは横浜市ではないということ。
お金を借りる側の横浜市としては、当然利率が低い方がお得だが、低すぎると誰も買ってくれない。
JR関内駅前という好立地の横浜市役所庁舎
そこで、機関投資家(顧客から拠出された資金を運用・管理する投資関連法人)や一般の投資家がセリのような形で希望利率を出し、それを証券会社が取りまとめた結果の協議で利率が決まるのだそうだ。
前回のハマ債5の利率は、0.50%だったので少し下がってしまった。
とはいえ、国債の基準より利率よりほんの少しだが高く設定されるのが通常だ。
同時期に発売される国債がないため、変動を考えると単純に比較はできないが、5月に発行された前回のハマ債5の利率は0.50%(税引き後)、7月に発売された個人向け固定5年国債の利率は0.41%(税引後0.328%)だった。
実際の購入は銀行各社や証券会社の窓口で、専用の口座を作って購入。手数料はかからない。
銀行が万が一破綻した時でも、預金の1000万円+利息等を保障するペイオフという制度があるが、ハマ債5はそれとは別に元金も利息も100%横浜市が支払を行う。ただし夕張市のように市の財政が破たんしたら、市債は利息も元金も返却されないリスクがあるので、ハマ債5を含めた横浜市の財政状況も気になってくる。
ハマ債5を含めた横浜市の財政状況
このハマ債5、長期間使われる公共施設の整備は毎年新たに実施されているので、毎年発行されている。
インフレになったら、市債を発行していた方が市の財政的には得になる。
たとえば、今年10億円で公園を整備したとして、その後のインフレが進み5年後に同じ公園整備を行うとしたら12億円かかるようになったとする。ハマ債5は5年後に元金を支払うので、それまでに支払った利子の分(利率0.40%として計算)を引いても1億8千万円の得をすることになる。
そういった金融市場の流動性を考慮して、市債は資金調達に関するリスク分散に有効だと考えることもできる。
しかし、毎年整備に同じようにお金がかかるのならば、いちいち借りては利息をつけて返済するより、それも含めて予算をきちんと組んだ方が市の財政的にも得なのではと思う。
また、財政が悪化してくると、債券の返済のために債券を発行するという自転車操業にもなりかねない。
そう思ってその点をうかがってみると、ハマ債5を含めて、一般会計市債発行額は大幅な抑制傾向にあるという。
そのグラフがこちら。
横浜市IR資料 堅実な起債運営① 一般会計市債発行額の推移
横浜市では、誰でも購入できるハマ債5のほか、機関投資家向けの市債なども発行していて、ハマ債5を含め、建築に使われる地方債が合計されたものが青い部分で示されている。
このPDFを見る限り、市債は縮小傾向にあり、会計全体も健全のようだ。横浜市はスタンダード・アンド・プアーズ社の格付けでも、AA-(ダブル・エー・マイナス)となっており、かなり評価が高いといえる。
ところで、ハマ債5関連ページには、『ハマサイ』というピンク色のキャラクターがいる。
画像をよく見ると、手描きらしいフリーハンドの線が温かい(画像提供:横浜市財政局)
実は、数年前に『ハマ債5』の名前を一般参加ありの庁内公募で決めた時に、任意でこのキャラクターを描いてきた市職員がいて、それを採用したものなのだとか。
いろいろなお役所が予算をかけてキャラクターを作っていることから考えると、このハマサイには好感が持てる。
まとめ
横浜市が、ハマ債5購入者に購入理由のアンケートを取ったところ次のような結果が出た。
40% 横浜市の債券だから
27% 金利が有利だから
21% 横浜市民だから
21%の「横浜市民だから」という答えについてうかがうと、河合係長は「この意見はうれしく思います」と笑顔になった。
横浜市民が自分の街に対して愛情を持っていることか、この結果からもうかがえる。
ハマ債5を購入したら、横浜市に新しくできた公共施設などを見て、「自分の貸したお金が役立ってる」と誇りが持てる。
10万円で横浜市の街づくりに貢献しつつ、一般的な5年定期預金の金利よりお得な利息も見込めるというのは魅力的な気もしてきた。
― 終わり―
熱烈餃子さん
2011年09月06日 16時51分
市の役人の馬鹿高い退職金の原資にでもなるんとちがうんか。