仲町台駅近くのマンションを囲う用途不明の白い柵の正体は?
ココがキニナル!
ドイツ学園とマンションの間の道路は、マンション完成後、白いガードレール?が設置されました。路上駐車防止の為だと思いますが、相互通行もままならず、道を狭くして歩道を広くできない?(かなさん)
はまれぽ調査結果!
10~20年前に路上駐車防止のために設置され、マンション建設のため一時撤去ののち再設置という可能性が高い。歩道を広くする計画はなし。
ライター:平田 志帆
都筑土木事務所へ
対応してくださったのは、副所長の小島淳(こじま・あつし)さんと道路係長の菊地伸之(きくち・のぶゆき)さん。わざわざ事前に現地に赴き、計測などをしてくださっていた。
小島さん(右)と菊地さん。ありがとうございました
柵が設置された道路の全長は140メートル+75メートル+130メートルで、道幅は12メートル(歩道が3メートル×2、車道が6メートル)。柵で覆われた車道部分が1.8メートルなので、およそ3分の1がふさがれている計算になる。
確かにそのくらいの比率
赤字の部分が設置個所
雨にもかかわらず、現地調査をしてくださった
熱心な説明に思わず聞き入る
車道にこのような柵が設置されるケースは珍しく、お二人も初めてだという。現状では、投稿にあったような歩道を広くする計画はないそうだ。
ちなみに、この柵の正式名所は「横断防止柵」だと教えてくれた。やはり、先ほどの洗足学園の幼児や児童の飛び出し防止という仮説はビンゴかもしれない。しかし「その可能性は低い」ということだった。
「飛び出し防止であれば、車道と歩道の境目に設置するでしょう。それに、あそこにあったのは洗足学園の大学のみです。大学生が道路に飛び出すとは考えにくいですし、場所も離れています」
キャンパスがあったのは、1994(平成6)年~2009(平成21)年まで
なるほど、この仮説はダメか・・・。落ち込む筆者を案じてか、お二人は「資料がないので確かなことは言えませんが」と前置きした上で「状況から判断して、10年以上前に路上駐車防止のために設置された可能性が高い」という見解を話してくれた。
さらにこうした“後づけ”の設備は、地域の声が反映されることが多いという。たとえば、防犯のため町内会からの要望で街頭が設置されることなどが挙げられる。
地域からの要望で設置された?
問題は設置された時期だが、これははっきりしない。
聞き込み調査では、「18年前からこの柵があった(つまり、路上駐車はできなくなっていた)」という証言がある一方「15~16年前に路上駐車を見た」「10年前に路上駐車を見た」という目撃情報もあり、整合性が取れない。都筑土木事務所の見解は「10年以上前」だった。
しかし、人間の記憶力とは曖昧なものだ。そこで設置時期は「10~20年前」とざっくり設定し、小島さんと菊地さんが言っていた「路上駐車対策として誰かが設置依頼をした」説を有力候補として、調査を進めた。
調査は難航
まずこのエリアの町内会にコンタクトを取ったものの、「そんな昔のことは分からない」との回答だった。気を取り直し、都筑図書館に向かう。
図書館なら何か資料があるはず
しかし、見つかったのは、ほかの町内会の資料のみ。さらに航空写真も漁ったが、画像が小さすぎて判別できなかった。
収穫はこれだけ
完全に行き詰まり「ボツ」の2文字が頭をよぎったとき、ふと思いついた。
「路上駐車をされて困るのは誰なんだ?」と。当時の地図を確認すると、柵に面していたのは日本NCR株式会社とドイツ学園の2つのみ。
もしかしたら、どちらかが事情を知っているかもしれない。そう思い、問い合わせをした。
中原街道に面した日本NCR株式会社。左側に謎の柵が見える
正式名称は、東京横浜独逸学園。漢字だらけ
日本NCR株式会社は取材NGだったが、ドイツ学園からは興味深い返答が来た。
「以前は路上駐車がひどかったと聞いています。当時この場所にあったのは当校くらいなので依頼をした可能性はありますが、資料がないので真相は分かりません」
現在は路上駐車が1台もないことを考えると、柵の目的は駐車防止でほぼ確実だろう。
調査終了。しかし、キニナルことが・・・
ここまでで「10~20年前に路上駐車防止のために設置された。ドイツ学園からの要望である可能性も高い」として調査を終了したが、なんだか後味が悪い。投稿者が「数年前に柵が設置された」と証言しているのがキニナルのだ。通り慣れた道にある日突然柵が張り巡らされたら、違和感を覚えるのは想像に難くない。それを真っ向から否定する回答でいいのだろうか?
そこで再度現地に向かい、前回と質問を変えて「この柵がいつ設置されたかを知っていますか?」と聞き込み調査をした。
季節は秋から冬へ
すると、5人から「設置されたのは数年~10年以内」という旨の回答を得た。
近くの企業に勤務する男性は「少なくとも10年前はなかった」と話し、近隣に住む女性2人は「5年経つか経たないかくらい」「そんなに昔じゃない。5年、10年程度」と答えた。投稿者さんと同じく「マンションができた後」という回答もあった。さらに5年前から清掃の仕事をしている女性は「勤め始めたころは路上駐車が多く、清掃車が入れなかった」という、かなり具体的な証言をしてくれた。
実は最初の聞き込み調査のとき「工事のとき、柵が外されているのを見たことがある」という目撃情報を得ている。何の工事だったかは不明だが、都筑土木事務所のお二人に取り外しの可否を聞いたところ、技術的には問題なくできるそうだ。
それと関係があるかは分からないが、柵の根元が取れそうな箇所もある。ちなみに中原街道沿いに設置されている同様の柵の根元は、すべてきっちり地中に埋まっていた。
基本的にはがっつり埋まっているけれど
隙間があるところもある
バンドエイド4枚重ねが余裕で挟まるところも
こんな仮説が成立しないだろうか。
「10~20年前に、路上駐車防止のために柵が設置された。ドイツ学園が依頼した可能性も高い。しかしマンション建設工事のため一時的に撤去され、完成後に元に戻された」
こうすれば「○年前からあった」という証言が、18年前~数年前とバラバラである理由が説明できる。最初に設置された柵か、再設置された柵かの違いだ。
資料が一切残っていないのでこれ以上の調査は断念したが、全体像はつかめたと思う。
嗚呼、柵が言葉を話せれば・・・。
柵よ、きみはどんな歴史を歩んできたのだ?
取材を終えて
予想に反して調査が難航し、3ヶ月という時間を要してしまった。
調査を通じて感じたのは、柵が人々の生活にすっかり溶け込んでいること。実は筆者も近隣に住んでいるが、気にも留めていなかった。しかし、もし違法駐車の温床になっていたら危険だと不快感を覚えていただろう。あの柵は、しっかりと住民の安全を守っているのだ。
―終わり―
rumoさん
2018年03月10日 20時58分
Googleストリートビューで見ると、2009年7月(https://goo.gl/maps/5pLNaqWjpyJ2)には柵が存在せず、同年8月(https://goo.gl/maps/g39S9DvqLar)には存在します。この期間に一時的に撤去され戻されたのかなと思いましたが、しかし地面に痕跡すら見えないのがキニナル。いや…トラックに隠れているだけかな??
かなさん
2016年03月10日 21時36分
記事にしていただき、とても長い時間とたくさんの方々に協力を頂きありがとうございます。一方通行に関しては私の勘違いだったかもしれません。古い地図などでコの字部分が中原街道と記されているものを見たことがあったり、13年ほど前に路駐している車が両向きに止まってたような記憶があったので一方通行だとは思ってもいませんでした。お手数をおかけしてしまう書き方をしてしまい申し訳ありませんでした。
ウダ星人さん
2016年03月10日 11時17分
見た目にこだわりが感じられない無味乾燥な白い安っぽい柵だという点でズバリ路上駐車阻止の目的でしょうね。安っぽい町並みになってしまったね。