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見失ったトロッコ軌道跡「水道道」、野毛山まで20km踏破の旅!

ココがキニナル!

横浜水道の水道道について。野毛山から相模川まで水道敷設物資を運ぶためのトロッコ用の線路の軌道跡をどうしても筑池交差点辺りで見失います。この辺りから野毛山までの軌道跡を、調べてください(黒蕎麦さん)

はまれぽ調査結果!

水道みち「トロッコの歴史」という案内板を線でつないでいくと開通当時の軌道跡が見えてくる。工事の難所だった鶴ケ峰〜上星川間もたどることができた

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ライター:永田 ミナミ

水道道最大の難所へ踏み込む



「導水道路『緑道プロムナード』」には、この区間について「当時は、高低差や曲がり角が多く、工事最大の難所でした」とある。
 


なるほど線路脇を上っていくと相鉄線を見下ろす高さになった
 

やがて見えてくる西川島公園には例の案内板がある。水道道はここを斜めに走っていた
 

公園を抜けると今度は路面に急坂ドットが刻まれた下り坂
 

坂を下りて少し進むとまた帷子川と出逢う。向こうに見えるのは新幹線の高架

 
この先の住宅街も緩やかな上り下りがあり、なるほど難所だっただろうと思わせる風景が続くが、ひとまず今回は1.1km先の環状2号線に至る。
 


環状2号線の高架下は「東川島水道みち公園」という。横には例の案内板も
 

高架をくぐって70メートルほど歩くと相鉄線上星川駅前付近に出る

 
ここから800メートルほど寄り道をすれば横浜水道記念館だが夕暮れ迫り、足は棒。建物だけでも見に行きたかったが、詳しくは過去の記事『「水道道」は、なぜ「水道道」と呼ばれている?』にまかせることにして先を急ぐ。


ここからは交通量もぐっと増える


水道道は資材輸送路なので、既存の道路上に敷設することはできない。そのため、八王子街道と平行するところも道路脇に遊歩道となって残っていたように道路と完全に重なり合うことはない。

また、なるべく直線的に作られるため、上の写真のように既存の蛇行する旧道に交差して敷設され、結果として中洲型に住宅地が残る。これも水道道周辺ならではの風景といえるだろう。
 


さて、斜面を存分に生かしたかっこいい集合住宅を眺めながら進んでいくと
 

やがて見えてきた「横浜市水道局」と書かれた門は仏向給水車両ステーション

 
ここは地震発生後に給水困難な事態が発生した場合に、応急的に被災者に運搬給水を行うための施設である。門の横には案内板もある。



水道道としての自覚


 


案内板を過ぎて80メートルほど進むと、正福院入口交差点
 

ここから先はその名も「水道道商店街」

 
歩きはじめて13.5km、野毛山が近づいてくるにつれて水道道は水道道としての自覚を強くしながら街をまっすぐに突き進んでいくがそのまっすぐな風景は瞬間移動。
 


そして高架化工事が進む相鉄線の踏切を渡り「宮川橋水管橋」も渡り
 

そこから350メートルで案内板が立つ川辺公園前交差点
 

やがて個人的に横浜で2番目に好きな団地、天王町団地が見えて元気百倍
 

ここは神奈川水再生センターの保土ケ谷ポンプ場
 

その先の橘樹(きつき)神社は旧東海道との時代の交差点。その先で環状1号線を渡り
 

さらに進むと左手に社宮司(しゃぐうじ)公園が見えてくる。ここにも案内板がある
 

西横浜駅を超え国道1号線を渡るととっぷりと暮れた水道道に立つ水道道の標識
 

その先にはいい感じのその名も「水道道」停留所
 

そして藤棚交番前には野毛山配水池を除くと最後の案内板がある
 

よしこのままと思ったが10°の急坂を前に体力の限界、気力も尽きて休憩

 
といっても午後7時の藤棚商店街は薬局や居酒屋さんなどいくつかの店を除いてどこも閉店していた。そこで道端の石柱にすわって15分ほど足を休めると思いのほか回復したので出発。
 


まっすぐに斜面を駆け上がるロングディスタンス坂も水道道ならでは
 

坂を上って100メートルほどのところには剥落系標識がある
 

ここから繰り返す上り下りは瞬間移動。ひとまず西区最急坂(13°)だけ紹介
 

そして野毛山配水池に到着
 

ひと気のない夜の野毛山公園でひとり歓声をあげた
 

取水口から44km。つまり18.5km歩いたことになるのか
 

ミスター・パーマー、こんなこと暗がりで言われても困るでしょうが僕やりました

 


取材を終えて



野毛山公園の誰もいない展望台で1日を振り返った。近代水道の軌跡である水道道は、江戸時代以前の地形に沿ってつくられた絶えず弧を描く道とも、重機で山を削り川を封じ込め地形を自在に操る現代の直線的効率的な道路とも違う。

水道道は、地形に沿いながらできる限り直線に近い流路をつくろうとした、130年前の「近代」の知恵が残した貴重な史跡である。


展望台で携帯電話を見てみると迂回したりしたせいか20kmを超えていた


近代を追いかけたあとに眺める現代の横浜はまた格別だった




編集後記



とすっかり感慨にふけっているのは、個人的に本当に楽しい20kmだったからである。ただ、楽しさにまかせてついつい全開で道中記を書いてしまったため掲載可能な紙面の容量を超え、当初の3分の1くらいの量になっている。それに合わせてはしゃいだ気持ちも少し抑えたつもりだが、それでもまだはしゃいでいるところもあるかもしれない。

なお、入りきらなかった風景が載った南町田〜野毛山の完全版が後日メールマガジンで配信されるということなので、街歩きや横浜の近代史が好きな方はそちらでもお楽しみください。

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参考資料
『横浜市水道拡張記念』横浜市/横浜市水道局/1915
『横浜市水道概覧』横浜市水道局/1926

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  • キニナルを投稿した者です。約20kmにも及ぶ範囲の調査、お疲れ様でした。本当にありがとうございます。投稿した当時は水道道という標識があったのを完全に見落として、安易にキニナル投稿をしてしまいました。もっと注意深く確認おけば良かったな、と猛省しています。ですが、このような読み応えのある素晴らしい記事を読むことが出来たので、結果的に良かったのかも知れません(笑)今度はこの記事を参考に、私も水道道を歩いて見たいと思います。レポートありがとうございました。

  • 久し振りに秀逸な記事でしたね。

  • よくぞ歩きました!私がいつも町田方面に自転車で走る道です。自転車なら楽勝です。あと西横浜と交差したと思いますが、昔ここの国道を走る市電の停留所は「西横浜」ではなく「水道道」でした。その名残りはバス停の名前に残っています。

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