菊名駅周辺で探す
　
数日後、気持ちも新たに菊名駅から調査を開始する。まずは西口からGooglemapを確認し周辺を歩いてみると、さっそく階段を発見。
　

菊名駅に到着
　

さっそく階段を発見
　

かなりの急こう配
　

長い長い階段
　

菊名も白楽に引けを取らない階段の多い町のようだ。取材時は、平日の午前中ということもあってか年配の方々が黙々と階段を上る姿が目に付く。そんな中、元気に階段を上るご婦人がいたので声をかけてみた。

お話を伺ったのは、川瀬一枝（かわせ・かずえ）さん。菊名が大好きで特に坂の上からの景色がお気に入りとのことだ。そこで例のごとく質問をぶつける。「知らないわね。・・・あ！　あそこかも？　ついてらっしゃい！」と筆者を案内してくれた。そして「ここよ！」と連れて行ってくださった場所は・・・
　

「ここを車が通るのよ」と川瀬さん

　
坂道だった。「坂道ですね」と筆者。「そうね。階段じゃなかったわね。残念。どうしようかしら・・・あら？　そこに宅配便の車が停まっているじゃない。聞いてみなさいよ！」と、促される。
　

階段じゃなかった
　

川瀬さんに丁重にお礼をしてから、言われたとおりに宅配便のお兄さんに聞いてみると、「横浜線を挟んで反対側で見たことがありますよ」とのこと。やった！　ついに発見か？　わざわざ配達用の地図を広げて場所も詳しく教えてくださった。ありがとうございます！　有力な情報を得たのでさっそく現地へと向かう。
　

横浜線のガードをくぐる
　

場所が特定できていたので迷わず階段を見つけることができた。こ、これは・・・
　

階段の下からは電柱などがあり車の侵入は不可能に見える
　

しかし階段の途中には住宅の車庫があり車が停まっている
　

このお宅にも車庫がある。階段以外に進入路は見当たらない
　

階段の上側からは車が進入できそうだ
　

階段の近くに住むという若い女性にお話を伺うと、「階段は上側からのみ車の進入が可能で、途中に車庫があるお宅の車だけが出入りしている。見てのとおり通り、抜けることはできませんよ」とのこと。情報通り車が通ることはできるが、ここもまた通り抜けることができない階段だった。
　

途中で階段の形状が変わっている。ここよりも上側のみ車が通れるそうだ
　

やはりタクシーの乗務員の方に話を聞くしかないと、菊名駅の東口へ向かう。駅の近くに客待ちしているタクシーの車列があったので、最後尾に停車していた平和交通の遠藤四郎（えんどう・しろう）さんに話を聞いた。「タクシーに乗ったまま通り抜けることができる階段を知っていますか？」と質問すると「知っている」とのことだった。しかも仕事で頻繁に通るとのこと。やった！　ついに発見か？
　

「仕事で頻繁に通る」との証言が！
　

「このまま乗車させていただき、その階段を下っていただくことは可能ですか？」と伺うと「可能です」とのことだったので、駅前よりタクシーに乗車させていただき、その場所へ向かってもらった。結果はいかに？　まずは以下の動画をご覧いただこう。
　

　
ついに「タクシーが通り抜けられる階段」を発見した。そう、キニナルは事実だったのだ。
住所でいうと鶴見区上の宮2丁目にその階段は存在する。
　

このあたり（Googlemapより）
　

階段の下側。道路と繋がっている
　

階段の途中はくねくねと曲がっている
　

階段を上側から見る
　

タクシーだけではなくバイクも通る
　

ワンボックスカーも通る
　

乗用車も通る。道幅は狭いが一方通行ではない
　

配達の車も通る
　

そしてもちろんタクシーも
　

階段のすぐそばに住む方にお話を聞いた
　

階段のそばに住む男性にお話を伺うと「この階段は抜け道になっているんだよね。ご覧の通り幅が狭いので拡張するという話もあった。だからたぶん公道だと思う。この辺りは小さい子どもも多いから結構危ないんだよね」とのことだった。

階段の所在地が鶴見区だったので、鶴見土木事務所にお話を伺ってみた。担当者によると階段（道路）は公道とのこと。土木事務所では「斜路付き階段」と呼ばれているそうだ。ほかにも「斜路付き階段」はないのか？　と伺ってみると、通り抜け可能なものとして管轄区内ではほかに1ヶ所、存在を確認しているとのことだった。

場所をお聞きして実際に向かってみることにした。場所は鶴見区馬場2丁目だ。
　

このあたり（Googlemapより）
　

階段が脇に付いているタイプの「斜路付き階段」
　

上側から見た様子
　

また、白楽駅の所在地が神奈川区なので神奈川土木事務所でもお話を伺うと、管轄区内で2ヶ所（子安台1丁目と栗田台）に斜路付き階段があるとのことだったので、こちらも現地で確認してきた。
　

子安台1丁目の斜路付き階段
　

自動車の通り抜けが可能だ
　

栗田台の斜路付き階段。かなりの急坂
　

途中から道幅が狭まり、自動車の通り抜けは不可能だった

　

　
取材を終えて
　
横浜の白楽から調査を開始し、自動車が通り抜けることが可能な「斜路付き階段」を鶴見区で2ヶ所、神奈川区で1ヶ所確認することができた。また、階段を下るタクシーはスタントカーではなかったが、自動車が通り抜けることができないものも含めて「斜路付き階段」は、坂道の多い町において生活に密着した存在だった。


―終わり―