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計画決定から45年、JR大船駅東口の再開発事業の現状は?

ココがキニナル!

大船駅前の交番前に大船再開発完成予想図がある。しかし全く進行していない様子。また笠間口周辺にビルが建つという噂も/駅前にバスロータリーや高層マンション建設予定らしい(浜っ子五代目さん/こうめさん)

はまれぽ調査結果!

1972年に都市計画決定がされた大船駅東口第一種市街地再開発事業は、建築工事費の高騰などの影響で延期し、現在は事業費の見直しを図っている

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ライター:小方 サダオ

JR大船駅の再開発事業(つづき)

 

事業化原案の第2地区事業のイメージ図
 

鎌倉市のホームページによると、事業化原案に基づく開発の方向性に関しては、大船の特色である「大船観音や鎌倉芸術館などの地域資源」「商店街の賑わい」「交通結節点としてのポテンシャル」などをいかし、さらには「渋滞の多い道路状況」「老朽建物が密集する防災面の課題」「回遊性が乏しい街全体の歩行環境」などの現状課題として挙げられる点を解決する方向性のようだ。

 

大船駅西口にある大船観音
 

鎌倉芸術館
 

開発コンセプトとしては「賑わいを見せている商店街と新たな商業機能、シンボルロードと仲通、現在の来街者と新たな来街者・居住者という大船のもつ魅力と、本事業により付加される新たな魅力が交わることで、ほかにはない大船ブランドの確立を図る。『大船生活街』の象徴となる舞台『大船クロスステージ』となることを目指す」となっている。

第2地区に建設予定の「4棟の再開発ビルを配置」するという。

 

再開発ビルの断面構成
 

「回遊性の高い快適な歩行空間」を実現するためには、各街区を歩行者用デッキでつなぐそう。

 

歩行者用デッキにより結ばれる各街区
 

また「仲通の賑わいを継承・発展」させるために、小割りの外向き店舗を中心に配置し、「歩きやすい街」を実現するため、壁面を後退させるなどで歩行者空間の確保を行うという。さらに、仲通のにぎわいを「立体的に展開」させるため、仲通沿いの2階には各街区を結ぶテラスデッキを設け、駅直結の利便性を向上させる、という。

 

1階には小割りの外向き店舗を配置する仲通商店街(赤線)
 

さらに「街区全体を一つのショッピングセンターと捉え、街区の性格付けやコンセプトを設定し、ペデストリアンデッキによって生まれる空中回廊が、多層構造となった充実の商空間をより魅力的にする」という構想だ。

 

それぞれの街区を歩行者用通路などにより一体感を持たせる構想
 

“大船ブランド”という独自の方向性を掲げ、洗練された計画のようだ。



周辺住民が語る大船駅再開発



続いて、第2地区の商店街の方を中心に話を伺うことにした。

商店街の仲通沿いに店を構えるある地権者は「第1地区の開発の時より、大幅に土地の価格が下がっていて、以前と同じ価格なら今は3分の1程度の広さしか交換できない状態です。地権者は、利益が少ないので交換に応じる気にはならないようです。同等ぐらいの交換であれば問題ないのですが」とのこと。

 

第2地区のエリア内に当たる地区
 

ある居酒屋にいた中年の男性は「再開発事業に関しては、最初は壮大な計画がありましたが、市のやる気がないからできませんよ。駅前の地権が複雑で、2万坪に何人もの地権者がいて、その上に多くの借家人がいます。その一人ひとりと交渉しなければならないのです」

「再開発に関しては、隣の戸塚駅のトツカーナの例があります。駅前の一等地を大企業が独り占めし、以前からいた地元の商店街の人たちが体よく追い出されたのです。ここでも路面店が箱の中に入ったらそのようになりますよ。そのおかげか、戸塚の商店街を利用していた客が、数少なくなった安売りの商店街である大船駅前に来てくれるようになりました」

 

再開発事業で出来た戸塚駅のトツカーナ
 

戸塚から買い物に来る人も増えたという
 

第2地区内の店主に伺うと「私は再開発地区内の店主などの権利者が集まった『再開発協議会』の会長をしていました。行政の担当者と組合で勉強会などを行いました。当時は、再開発地区内をブロック分けし、その代表者と行政で話し合いをしていましたが、現在は個別に話し合いをしています」

「また、東日本大震災とオリンピックの影響で建築費が高騰しています。さらに、開発前と後で土地と建物の価値を置き換える『権利変換』を行うのですが、建築費高騰前と比べると、再開発ビルに割り当てられる床面積は少なくなり、無期限の延期の状態になっています」

「この計画は私の親の世代の1972(昭和47)年ごろに決定しました。そのころは、根岸線が大船まで開通し、さらなる集客を期待してのことでした」

 

大船まで根岸線が開通した時に始まった事業だったという
 

「そもそも再開発事業とは道路・水道などの都市基盤の整備をするのが目的で、再開発でビルを建ててできたスペースに道路の拡張などを行います。その際、土地が削られた人たちがビルに入居するという事業です。大船駅前の場合は、駅出口前の道路が最も狭いので、そのような箇所を整備するだけで十分なのではないでしょうか」

「そうすれば、行政は道路整備の線に引っかかっている人たちだけと話をすればいいことで、私たちのようなあまり関わりのない場所に立つ店も巻き込む必要はないと思います」

「今まで駅前は下水の整備がされず長い間異臭がしていたのですが、2016(平成28)年にやっと整備されました。下水整備がこの時期になったのは、もともとは第2地区再開発事業と一緒になっていたからで、再開発が進まず実施が延びていたのです」

 

道路が狭く下水の整備が長引いていた場所
 

「私が再開発協議会の会長を行っていたとき、私は再開発の強硬派でした。しかし、今では手をつけなくてよかったと思っています。都市計画法の改正で、改築の際の高さ制限が2階から3階以下と緩和されましたが、今は高齢者が増え、高齢者は高層階の利用がしづらく、2階程度で十分です。まして商業ビルにするのは意味がないように思います」

 

再開発事業予定地内の改築の際、高さ制限が緩和されたという
 

「再開発事業は高齢になり商売をやめて隠居したい人が、大家業に転業し、賃貸として貸したい人に向いているのです。また、今の自分の店は一等地にあり、家賃は払っていませんが、ビル内に入れば家賃に相当する管理費を払う必要が出てきます。今は再開発ビルに入って商売するよりも、他人にお店をやらせて賃貸業をするほうが権利者は得なのです」

「また、ビル内ではテナントミックス(商業施設内での最適な業種業態の組み合わせ)運営で店舗をうまく配置してくれるメリットはあるでしょう。しかし、商店街は再開発ビルの中に入ることに意味はなく、路面店だからこそ雰囲気があって商売になるといえるのです。戸塚駅前のようにきれいに整備された所から見れば、大船駅前の商店街は雑多で汚く見えるかもしれませんが、これが理想的な形だと思っています」

 

雑多な商店街の雰囲気が理想的だという