三崎の海南神社が作ったパロディーっぽい「解難」お守りってなに?
ココがキニナル!
三崎港にある海南神社のお守りには海南神社の文字に「解難」、大漁旗のデザインに「大漁得点」と書いてあり、受験用のお守りだそう。何かパロディーっぽいので、調べてもらえませんか?(横浜の美食家さん)
はまれぽ調査結果!
ご利益は受験だけにあらず。資格試験、企業の昇給試験、プロのアスリートまで、結果を出したい人がご利益を期待していただくお守りだった
ライター:やまだ ひさえ
三崎と海南神社、二つの独自性を込めたお守り
海南神社のご祭神は、7柱。
藤原資盈 ( ふじわらすけみつ )、資盈の后の藤原盈渡姫 ( ふじわらみつわたりひめ )、地主大神 ( じぬしおおかみ )、素盞嗚尊 ( すさのおのみこと )、天之日鷲命 ( あめのひわしのみこと )、菅原道真 ( すがわらみちざね )、筌竜弁財天 ( せんりゅうべんざいてん )だ。
学問の神として知られている菅原道真を祀っていることで、地元では昔から受験などにご利益があるとされてきた。
菅原道真も祀られている(太宰府天満宮HPより)
以前から学業成就のお守りはあったが、新しいお守りが加わり、2017年1月、神奈川新聞で取り上げられたことで人気に火がついた新しいお守り。
写真入りで掲載された(同社FBより)
実物がこれだ。
三崎らしさと縁起にこだわった新しいお守り
松・竹・梅、富士山、鯛、波と縁起の良いとされるものをアレンジしたオリジナルの布を使って造ったお守り。
全体のデザインは、漁師町の定番、大漁旗をイメージしており、全国的にみても珍しい作りになっている。
裏の文字は「解難」
海南神社は、地元の竜神伝説の主で三浦七福神の1つである「筌竜弁財天 」を祀った神社。
社殿には竜が施されている
三浦市に伝わる竜神伝説というのは、源頼朝にまつわるものだ。
三浦一帯を治めていた三浦氏に和田義盛(わだ・よしもり)という人物がいた。義盛は、1180(治承4)年、源頼朝の挙兵に呼応し、三浦氏の居城である衣笠城(きぬがさじょう)で敵を迎え撃ったが、落城。
海路、房州に逃れる際に暴風雨に遭遇し遭難。兵糧が尽き、竜神に加護を祈ったところ、筌(うけ)という竹製の漁具が流れてきて、魚を獲ることができ、飢えをしのぐことができた、と伝えられている。
水中に沈めて魚を獲る道具(Wikimedia Commons)
三崎に筌竜弁財天を祀った由来だが、海南神社には海や漁にまつわる謂れが多く、「海南」が「海難」につながり、海でも難から守ってくれると昔から漁業関係者の信仰を集めてきた。
境内にある摂社、水神竜神社の前の池には、船主たちが船の安全を祈願して奉納したカメが放流されている。
竜神とカメ。海の縁起物だ
カメの甲羅が堅いことから船の安全性を願ったことで、海での難をのがれられるようにという意味が込められている。「海南」から「海難」へ、さらに「解難」へとつながっており、「難」を「解く」とされる信仰が古くから同社にはあった。
お守りはそこから難しい問題が解け、合格へとつながるというものだ。加えて学問の神・菅原道真も祀っているので、受験の合格祈願に足を運ぶ人が多いのも頷ける。
「このお守りにご利益を求めてくる方は、高校や大学の受験生だけではありません」と宮司の米田さん。
社会人も買い求めていく
「万願成就」には、資格試験や昇給試験など、社会人になってもご利益をいただきたい場面でもご利益があるようにという願いも込められている。
得点に関係するアスリートも御用達だ
「三浦市出身のサッカー選手、横浜F・マリノスの天野純(あまの・じゅん)さんもお持ちになられました」と米田さん。新司令塔として活躍する天野選手にとって、得点の獲得は絶対的な命題だ。
初穂料は、どちらも1つ600円だ。神社で初穂とは、神様にお供えするもののこと。お札に対するお礼の気持ちなので、値段に差はつけられないとのことだった。
600円でご利益大!?
「きちんとご祈祷したお札が入っていますので、ご利益は大きさに関係ありません」と米田さん。
いただく人の好みもあるが、祖父母世代が孫のためにいただく場合は大きな方を、若い世代が自分用にする場合は、お財布に入れやすい小さいものを選ぶことが多いそうだ。
お財布にピッタリサイズ
海南神社の新しいお守りは学校の受験シーズンだけにあらず。1年を通しご利益をいただける、ありがたいお守りだった。