南区井土ヶ谷の横浜市歴史的建造物に認定された町内会館とは?
ココがキニナル!
かつて見番だった井土ヶ谷にある町内会館が歴史的建造物に認定されたそうです。芸者の事務所や練習場として使われていたようですが、どのような建物か認定されたポイントなども知りたいです(massuruさん)
はまれぽ調査結果!
井土ヶ谷上町第一町内会館は、外壁の復元計画が具体化したことで2018年9月に横浜市歴史的建造物に認定された。今後は町内のシンボルとして様々な活動に使われることが期待される
ライター:奥井利幸
近隣の人は町内会館をどう思っている?
この歴史ある町内会館は、どう活用されているのだろうか? また、歴史的建造物に認定されたことについて近隣の方はどう思っているのか、後日、利用されている方たちにお話を伺うことにした。
古くから近所に住む福田さんは「認定のことは知ってるよ。昔から婦人会の活動でお祭りの準備をしたり、老人会の活動で町内会館によく行ってたけど、以前はそんなに価値のあるものだとは知らなかった。認定されて良かったね」と認定について話していた。
認定されたことを知っていた子育て中の大岡さんは「子ども会のイベントでこの場所を利用したり、子育てサロンなどでも利用しています。歴史的な場所をこのように使えるのはうれしいですね」と、喜びを語り、今後ももっと活用したいと積極的だった。
かわいい赤ちゃんとお散歩中の大岡さん
「子育てサロン」は月に一度、町内会館の大広間で行われているそうだ。子どもたちにとって、日本の伝統的な場所で遊んだ経験は記憶に残るのではないかと思った。
また、町内会館では、地域の人たちの健康増進のための取り組みとして「元気づくりステーション」という活動が行われており、取材日は地域の方々が集まっていた。この日は体操や近隣の地域ケアプラザのスタッフによる健康相談が行われ、参加者のみなさんからは「身近に集まれる町内会館の存在はありがたい」と声があがっていた。
地域ケアプラザのスタッフによる健康相談の様子
お話を伺った方たちは、「認定」されていることに喜びを感じていた。また、町内会館は子育て中の方の集まりや子ども会の活動、そして地域の健康づくりなど様々な活動が行われている。ほかに町外の人が企画する教室なども開催されるなど、この場所は町内のみならず町外ともつなぐ役割も担っているのかもしれないと感じた。
今後の見番の改修計画や活用方法は?
では、最後に町内会長の佐々木哲夫(ささき・てつお)さんに、認定された町内会館としての今後の活用方法などを伺うことにした。
町内会長の佐々木さん
佐々木さんは「歴史的建造物に登録されたときから、ぜひ外観を復元して認定にこぎつけたいと思い計画を練ってきました。今回無事に認定されて本当に嬉しいです」と率直に喜びを語った。続けて、今回の横浜市歴史的建造物の認定をきっかけに「“自分たちの町にこんな歴史的な建築物があるんだ”と、町の誇りと結びつきのシンボルにしたい」と話してくれた。
また、今後の外観改修工事については、「来年2019年に着工し、完了させる計画」と話すが、まずは改修費を集める必要があるという。ある程度の費用は横浜市から助成されるが、それだけでは足りないため、町民からの寄付も募っていく。そのためには、多くの町民にこの町内会館のことを知ってもらう必要があり、「パンフレットを配布するなど広報にもさらに力をいれていき、身近な施設としてもっと活用されるようにしていきたい」と意気込みを語った。
取材を終えて
防災や住民の支え合いなどに地域の結びつきの大切さが見直されているが、横浜市の町内会加入状況の資料によると町内会への参加は年々減ってきている。
お祭りなどの催し、高齢者・子育て世代などの集まりや防災活動など、地域の人々が触れあい顔の見える関係になることは、地域の助けあいの心が生まれ、住みよい町にもつながると思う。
そのような活動が活発に行われやすく地域の人が集まりやすい場所は、単なる「会議ができる場」ではなく「親しみやすい場」「誇りを持てる場」であることが重要だと思う。この井土ヶ谷上町第一町内会館は歴史的建造物に認定されたことでより、地域にとって特別な場所ができたのではないだろうか。
この町内会館は単に保存されていくのではなく、地域の結びつきのシンボルとなり、住民に親しまれ活用される場所となっていって欲しいと願う。
-終わり-
CBHMさん
2019年01月06日 21時30分
地元のコミュニティによる歴史的建造物を保存活用した地域再生の事例として、しかも大都市の中の取り組みとして、多くの地域で参考になると思いました。 Community Based Heritage Management 地域の皆さんの頑張りに期待します。