【2019年版】泉区の深谷通信所跡地の今後の計画は?
ココがキニナル!
泉区の深谷通信所跡地は今後どうなるのでしょうか?広大な土地ですから様々な思惑や利権が絡んでいると思いますが、地元市民の為になる利用方法を公正に決めて、早急に実現していただきたいです(しげぴーさん)
はまれぽ調査結果!
「スポーツ施設を含む公園」「公園型墓園」、ジョギングコースなどの「外周道路」の3つの設備を建設予定。災害時には「広域避難場所」として利用できるよう計画を進めている。完成予定は2034~2035年ごろ
ライター:藤田明
現時点での計画はどうなっているの?
この深谷通信所跡地の利用については、横浜市政策局基地対策課が担当している。そこで、跡地利用について現状を伺うべく、話を聞くことにした。
取材を受けてくれたのは横浜市政策局基地対策課の矢口明(やぐち・あきら)さんと小金井健至(こがねい・たけし)さん。
矢口さん(左)と小金井さん(右)
2018(平成30)年2月に策定された「深谷通信所跡地利用基本計画」の内容について丁寧に説明してくれた。
前回までの取材では、「自然・スポーツ・文化の円形緑陰空間」をテーマとし、横浜市によって跡地利用計画に関するアイディアコンペが開催されたり、戸塚区や泉区を中心とした地域住民へアンケートも行われた。
また、通信所跡地について協議を行うために結成された「泉区深谷通信所返還対策協議会」からは、跡地に関する計画案も提出されたこともわかった。主に自治会の町内会会長などから成り、地域の意見がしっかり反映されたものだった。
それらの寄せられた意見も取り入れながら、より具体的な「跡地利用基本計画(案)」を2017(平成29)年7月に公表し、改めて市民の意見を募集した。
2018(平成30)年2月、「深谷通信所跡地利用基本計画」が横浜市によって策定された。「計画(案)」が、しっかりとした「計画」となり、この「計画」をもとに具体的な設計や手続きをおこない、都市計画決定に向かっていく。
跡地利用のテーマは3つ
その内容は、「緑でつながる魅力的な円形空間」をテーマにし、大きくわけて「スポーツ施設を含む公園」「公園型墓園」「外周道路」の3つから成る。また、災害時には「広域避難場所」としても利用できるように計画を進めているそうだ。
東側から南側あたりを中心に公園とスポーツ施設、北西あたりに墓園ができる予定
スポーツ施設を含む公園は施設の約65%を占める
「老若男女、誰もが自由に利用できて、市民の交流の場になったり、またスポーツを通して健康増進につながったり、そのような場になることが前提としてあります」と小金井さんが話してくれた。
基本計画では、スポーツ施設を含む公園は約50万平方メートル、跡地の65%を占める方向で進められている。
球技場や陸上トラック、野球場などは市民大会の会場としても使われことも考えられるそうだ。
深刻な墓地不足
また、矢口さんからは「横浜市だけではなく日本全体として今後予想される『墓地不足』が深刻な問題です。従来のような墓地ではなく、自然に囲まれた新しいスタイルの市営墓地を建設する計画です。イメージとしては俣野公園の墓地がわかりやすいかと思います」と墓地についての説明があった。
墓地に関しては、賛成意見、反対意見どちらも多くあったそうだ。市民からの意見も踏まえ、四季折々の花が楽しめるような公園型墓園を採用した。市営の公園型墓園の代表が俣野公園の墓地「メモリアルグリーン」だという。
「メモリアルグリーン」は、筆者も見たことがあるが、“明るい雰囲気でまるで外国の墓地のようなイメージ”といえば伝わるかと思う。
墓地についてはすでに問い合わせがあるらしく、「現在まだ募集はしておりません。募集の際にはきちんと告知しますのでお待ちください」とのことだ。
俣野公園に隣接している「メモリアルグリーン」
外周道路は幅50メートル、ランニングコースも
跡地をぐるりと囲む外周道路は、幅50メートルにもなるという。車が通る道路だけではなく、1周約3kmとなるジョギングコースやサイクリングコースが設けられ、ウォーキングやジョギング、サイクリングなど楽しめそうだ。
泉区のランニングスポットになるかも!
現在、この深谷通信所跡地のアクセスは、県道402号線のかまくらみちだけとなる。
利用者の増加による混雑回避や、災害時の交通網の確保として、環状3号線、環状4号線からも利用できるよう道路の整備も合わせておこなう予定だそうだ。
道路の交差地点には、信号を設置せず環状交差点(ラウンドアバウト)の採用を検討しているそう。すでに海外では普及している交差点で、渋滞の緩和や事故の減少が報告されているとのこと。
災害時は広大な避難場所に
近隣住民へのアンケートでは、災害時に防災施設として使えるようにしてほしい、という要望も多かった。
非常時には円の中心が飛行場外離着陸場となる
「広域避難場所として利用できるように整備し、災害時には仮設住宅の設置や、また救援のヘリコプターが離発着できるようにもする予定です」
災害時のトイレや備蓄などについても検討をすすめていくとのことだ。
完成は2034~2035年!?
ただ、これはあくまでも「計画」であって、基本方針にすぎず、これが決定事項ではない。
今後は、公園であれば環境創造局、市営墓地であれば健康福祉局など、各局と具体的な協議を重ねて、2021年度に都市計画を決定する予定だという。その時にいよいよ跡地がどのように変わるのか全貌が見えてくる。
そして、この都市計画決定が下れば国と土地の契約を行い工事に着手し、15年後の2034~2035年ごろに完成する見込みだそうだ。
スケジュールの短縮を望む声も多かったそうだが、
「生活道路として利用している住民の方もいらっしゃるので、なるべく不便にならないように何ヶ所かに分けて工事をする予定です。なにぶん広大な土地ですし、ある程度の時間がかかるのはご理解ください」と、おふたりとも完成までに時間がかかる可能性を強調された。
道路は整備されていて、生活道路として利用している住民も多い
野球場は? 防犯面は?
矢口さんと小金井さんに、取材中に現地で聞いた声を直接ぶつけてみた。まずは野球場について。
「計画の段階なので、まだはっきりとしたお答えは出来ませんが、野球場だけではなく、テニスコート、陸上トラックなどのスポーツ施設は予定としてあります。ただ、今後面数など変わる可能性はもちろんありますが、完成した際には横浜市の施設として利用していただくことになります」と小金井さん。
市の管理になるということは、抽選制で有料での使用になる。今までここを利用してきた少年野球チームは、開発後これまでと同じように野球場を利用することは難しくなる可能性の方が高い。
一方で抽選により利用者が決まるということは、公平に利用でき、これまで利用できなかったチームへの利用につながるとも言える。
現在のように無料で利用するのは難しそうだ・・・
防犯面については、アンケートでも同じような意見があったそうだ。現在でも深谷通信所跡地の主な通路には街灯を市が設置しており、新しい施設になった場合でも防犯面についてはしっかり考慮したいと前向きだった。
「ただ、繰り返しになりますが、現在の基本計画はまだ決定事項ではなく、あくまで『こんな感じです』というイメージ図です。これからも各方面との協議の上、大幅な変更はないと思われますが、変更となる部分も十分にあるかと思われます。皆様のご意見も取り入れながら2021年度の都市計画決定を目指して進めていく予定です」
あくまで現時点では計画であり、決定ではない。今後も要望があれば、地域住民との公聴会や話し合いなどの場を設けることもあるそうだ。
77万平方メートルという広い土地がどのように変わるのか、都市計画決定となるまでは動向を見守っていきたい。
取材を終えて
2012年から定期的にはまれぽでも追いかけている深谷通信所跡地。2014年の取材から5年経ち、計画案が「計画」として策定され、現在は2021年度の都市計画決定に向けて進んでいることがわかった。少しずつ進展はしているものの、完成は2034~2035年と、だいぶ遠い先のように感じるのもまた正直な感想だ。
完成まで、はまれぽでも定期的に追いかけ続けたい。
-終わり-
取材協力
横浜市政策局基地対策課
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/kichi/shisetsu/fukaya.html
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/kichi/beigun/atochi-fukaya.html
さとしんさん
2019年10月22日 15時10分
「噂の!東京マガジン」でも取り上げられたが、少年野球のグラウンドとして40年以上無料で利用していた一部の利用者が自分たちの既得権が失われることだけを主張していた。また「横浜市が他の練習場を確保してくれるならいい」という理解できない発言もある。おそらく、自分たちは費用を負担する意思はないだろう。他のチームは練習場所、試合場所を抽選または有料で確保している。今後は市の管理になり、抽選制で有料での使用になる。これでやっと公平かつ平等と言える。自分たちの不利益になるから文句を言うのは間違いだと思う。
なりなりなりさん
2019年10月21日 21時16分
約15年後の計画なので、その完成時期の横浜市や周辺環境などの街づくりのプランがあった上で、この土地の活用プランが計画されることを期待します。
bubukaさん
2019年10月20日 00時30分
公園だ、墓地だとセンスない行政の発想はつまらなさ過ぎる。